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#イケおじ
甘寧
488
#美少年
あ
123
朝。窓から差し込む光が、部屋を照らす。その眩しさに、眉を顰めながらも、上体を起こす。
「……んー」
早く、朝の運動を始めなければ。ダラダラと生きていれば、誰かに追い越され、バカにされてしまう。
女は、そんな歪んば思考を毎日巡らせていた。誰かに劣ることは許されない。休んでいる暇はない、と。
女は、身軽な服に着替え、扉を開けて、外に出る。朝の空気は気持ちいい。爽やかな風が肌を撫で、眠たかった頭を切り替えさせる。
「……さて、と」
準備運動を始める。いつもより体が柔らかい。今日は調子がいいのだろうか。
準備運動が終わったところで、息を吸い込む。
「行くか」
足に力を入れ、地を蹴る。
──ここで、女は自身の身体に違和感を覚えた。いつもなら、多少疲れが溜まるほどの距離を走っている。が、今は、それが無い。なんというか、心地いい、というのだろうか。苦しさや疲れが全くない。それどころか、疲れが取れた気がする。
いつも走っている距離。およそ20kmを走り終えたら、更に違和感が増えた。この生活を続けて、約5年。だが、20kmという距離は、慣れることはない。だが、今日は全く疲れていない。いつもはあるはずの足の痛みも、呼吸の乱れも一切。
「……?」
まあ、それほど自分が成長したのだろう。次は距離でも増やしてみようか。
さて、そろそろ朝食を摂ろう。身体は一番大切なものだ。栄養不足なんぞ、言語道断。誰よりも優れたいのならば、まずはそこからだ。
いつも通り、野菜を1口大に切る。その最中、誤って指を切ってしまった。人差し指に血が滲む。急いで、水で洗い流す。
「誰よりも優秀な私が、こんな惨めな失敗を……」
まるで、包丁を初めて持った子供のような失敗を犯してしまうとは、やはり、どんな日常の動作でも、油断はできない。改めて、そう実感した。しかし、不思議だ。指が痛くない。包丁で切ったのだから、痛みを感じるはずなのだが。
「まあ、そんなもんだろう」
朝食を食べ終えたあとは、外出用の服に着替える。昼食と夕食の食材を買いに行かねばならない。そのために、街へ向かう。それが、この女の習慣の一つでもあった。
徒歩30分ほどの場所にある、商業の街「ベルサルム」。この街は便利だ。野菜から肉から魚、宿や武器まで。この街に無いものはない。と言っていいほど、なんでも揃っている。
「来たよ……あの女」
「あれがか?そうとは見えねえぞ」
「近づかない方がいい……嫌味しか言われねえって噂だ。しかも、村をひとつ滅ぼしたって話もあるんだぜ……?」
「ほんとかよ……あんな別嬪さんがか?」
「ほんともほんとだよ」
少し、うるさい人間もいるが、ここはいい街だ。
と、その女の目に、2人の男女が写った。恋仲のようだ。人の目を気にせず、愛を囁きあっている。……不快だ。実に不愉快だ。
歯を噛み締め、今すぐあの二人を殺したい衝動を抑える。ここで人殺しをしてしまえば、あの噂も事実となってしまい、この街にも出入りできなくなる。さっさと買い物を終わらせて、家に帰ろう。ここに居ても、気分を害するだけだ。
食材を買い終わり、家へと戻る。30分という長い道のりだが、今となってはもう慣れた。重い袋も、腕を鍛える道具と思えば、逆にもっと買い物をしたくなる。
家の扉を開く。いつもは、自分がそこに座り、暇つぶしをしたり、ご飯を食べている椅子に、見知らぬ男が座っていた。
「よお、同類」
コメント
1件
「非の打ち所のない完璧主義の裏に、こんな暗い執着が潜んでるの、めっちゃ好み……🥀」 朝の20km走って疲れないとか怪我しても痛くないとか、なんかもう人間やめてる感じがしてゾクゾクした。買い物先でイチャつくカップル見て殺意抑えるとこ、彼女の“歪み”がじわじわ滲んでて好き。最後の「よお、同類」で一気に不穏になった……続きが気になって仕方ないです🌙