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やっぱり今日はおみが来てくれるようになった。予想はしてたから昨日のうちに親に梅干しを買ってきてと言っておいた。今私の机の上には3パックの梅干しがある。匂いだけで涎出てくる。私は梅干しが好きじゃないからこれが好きなおみの気が知れない。そんなことを思いつつ一時間後にはおみが来ることを妄想していた。何を話そうかとか、どうやって撫でてやろうかとか。そんな私の体に異変が起きたのは一瞬だった。

急に苦しくなった。喉が腫れてるってゆーか動かない。息ができない。ナースコールどこ。まさかまた春高後に発症するとか、本当に笑えないんだけど。もうすぐおみが会いに来てくれるって言うのに、今回のはやばい。呼吸困難は何回かあったけど一瞬餅が詰まった感覚だった。けど今は吸っても吸っても空気が入ってこない。あったナースコール。でも押す力がない。まずい。今私は1人だ。看護師さんも近くにいない。どうしよう、どうしy

「ちょ、どうした、」

「息できないのか?ちょっとそれ貸せ。」

…おみだ。おみがいる。私が握ってたナースコールが押されてないことを見て、私の手ごとボタンを押す。

「過呼吸になってるぞ。落ち着け。ゆっくり吸え。」

「おみぃ…ゲホッ、咳そっち行っちゃうから、汚いからちょっと離れゲホッ、ね、」

「それどころじゃないだろ。ほらさすってやるから。呼吸のことだけ考えろ。俺は気にすんな。」

「ん…、ゲホッありがと、」

ゆっくりさすって、たまに軽く叩いて呼吸を促してくれる。おみが近くにいるって言う安心感が凄い。呼吸は戻らないのに楽になる。

そうこうしているうちに看護師さんと先生が何人か入ってきてくれて、いろいろ処置をしてもらった。だんだん呼吸が楽になってきて、私はそのまま寝てしまった。


目を覚ますと、まず最初に手に違和感を覚えた。さっきより増えた点滴が刺さっているのもあるが、問題は右手の手首ら辺だ。彼が手を握ったまま寝てしまったようだ。がっちり握ってあって振り解けそうにない。

周りを見渡すと部屋の中はオレンジになっていた。窓の外を見る限り、今は夕方なんだろう。私がうきうきしてたのが10時あたりだから、相当寝てしまっていたようだ。おみに申し訳ないと思いつつ、左手で彼の頭をぎこちなく撫でる。

「…起きたわけ。体調はどうなの。」

撫でていると急に左手を掴まれ上に持ち上げられた。どうやら起こしてしまったようで、しかも不機嫌ときたもんだ。

「今は元気だよ!ありがとねおみおみ。」

「別に…俺はそういうのが聞きたいんじゃねーんだけど。」

「え?元気じゃない方がよかった…?」

「そうじゃ…、ねぇけど。」

「お前体調良くなってるんじゃなかったのかよ。こないだなんてもう発作ほとんどないって言ってたし。」

バレた。まぁ予想はしてたし、私嘘下手だからむしろよくここまでバレなかったよって感じだ。

「…ごめん。嘘ついた。」

「なんで。俺そんな信用ないの。それともお前のことだし心配かけたくないとか思ったわけ。」

まるで私のことを見透かしたかのようにおみは言ってくる。飄々とした顔で言ってくるのにカチンときて言い返してしまう。

「あったりまえじゃん!?ただでさえ大会で忙しいおみだよ!?私なんかの病気のことで動揺とかして欲しくないの!私はバレーでかっこいいおみが大好きだから!…それを壊すようなこと言えるわけないじゃん…」

「だからって…隠すのは違うだろ、なぁ。」

だんだんと普段よりも強い圧がかけられる。心なしかおみが少しずつ手に力を込めてきて、右手が痛くなる。

「おみ!ねぇごめん!手離して!」

「あ、わるい…、無意識だった。痛かったか。」

「いや、私が悪いわけだし、大丈夫。」

「…んで、お前は何を隠してるわけ。もしかしてよっぽどの難病でしたーとかか?」

「そうじゃないけど…もう治らないって言われただけだよ。しかも一生物のやつじゃなくて、寿命言われるやつ」

「だけってお前なぁ…いや、もうそこは気にしないけど。…どのくらいな訳、その…寿命は。」

「だいたい半年ぐらい。夏休みがタイムリミットかなー。」

「なんでそんな軽々しく言えるわけ…ほんとわかんないよその能天気さ。」

「別に軽く見てないよ!?私そこまでバカじゃないし!」

「ちょっと唾飛んできてるよ…」

「私のなんだからいいじゃん。残り半年しか手に入らないんだよ!?」

「いや汚いし…そんなセール品みたいな言い方されても喜ばないよ俺。」

「つれないですわねー」

「うるさい。」

「…残り半年、ね。お前は三年生だけど俺は来年受験とかしなくていいし、これからはお前優先にする。部活も手抜かないけどな。」

「?受験しないの?」

「いや…おれプロなるし、もう声かけはきてるからそこ行くつもりだよ。」

「そっか。さすがおみおみ!」

「まー私も受験しなくていいわけだから、勉強しなくていっか!」

「何言ってるんだ。お前は受験勉強しろ。」

「なんでよ!ヤダヤダやりたくない!やっても意味ないじゃん!!」

「…お前は大学まで行って青春するんだろ。高一の時に言ってたじゃねーか。」

「何言ってんのよおみぃー。私その時まで生きてらんないs」

「いいか。お前は諦めがよすぎるんだよ。もっと生きようとするぐらいしたらどうなんだよ。」

「あ…そうだね。ありがと、おみ。」

やっぱ…うちの彼氏すごいわ。寿命を受け入れてるふうにして、しれぇっと私を生かそうとする。むごい。もしこれで寿命通り死んじゃったら私未練しか残らないじゃん。そうなったらオバケになっておみに取り憑いてやろ。

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