注意事項
・この作品はwrwrd様の二次創作です。
・本人様とは関係ありません。
・検索避けに協力してください。
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ci「shpくん、”ut先生”って見たことある?」
shp「いや、ないで。」
談話室で話すのは、この軍に入って3ヶ月目のciと、1年目のshpだ。
2人が話す、”ut先生”は、2人の先輩である。
shp「姿は見たことないけど、声なら聞いた事あるで。」
ci「そうなん!?ど、どんな声やった!!」
shp「うーん…。覚えとらん。」
utは、この軍…いや、他国にまで噂されている軍人だ。
戦闘力は無いものの、知能が凄まじい。
今は、この軍で情報の管理や収集、不審な人物が居ないかを見張っている。
ただ、なぜそんなにも噂が広がっているのか。
それは、彼はレベル違いの”引きこもり”であるからだ。
ciも、さらにはshpにも姿を見せたことがない。
部屋に籠っていて、基本移動するのは夜らしい。
夜型人間とでも言うのだろう。
sho「なんや、utに会いたいんか?」
談話室に訪れたshoがにかっと笑った。
shp「はい。shoさんは会ったことあるんですよね。」
sho「まあな。でも確かに最近は見んわ。」
「rbはぁ?」
後ろに隠れるように立っていたrbは、へらりと笑った。
rb「見るで。俺とutは同じ仕事やる時あるしな。」
ci「え、あるんすか!!」
shp「やっぱ信用…?」
rb「はは、そうかもしらんな。ut、ciが怖い言うてたし。」
ci「えッ。こわい!?」
怖いかなあ!?とciがshpの肩を揺する。
shoが満足そうに笑い、手招きをした。
sho「会わせたるよ。おいで。」
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コンコンコンコン。
4回ノックをした。shoは口元に人差し指を持ってきて、しーっと言った。
shpとciは顔を見合せて、黙り込んだ。
rbはにやにやと笑った。
rbは2人を、物陰に隠れさせた。
しばらくして、扉がほんの数ミリ開いた。
sho「よう。ut!!元気しとった!?」
shoが元気よく声を出す。
rb「よっ。ちゃんと寝とるか?」
ut「ぇ、shoちゃんに…rb。きゅうやね。」
その声が届いた。
格好良い声だが、寝起きなのかふにゃふにゃとしていた。
sho「いやあ。お前に会いたくなって!!」
rb「えッ…。あ、ああ…。お、オレモ。」
ut「へんなやつ…。」
utは顔半分を部屋から出し、きょろりと廊下を見渡した。
shoとrbしか居ないということを確認し、扉を開けた。
ut「どうぞお、きたないけどお。」
shoが部屋に入る。
rbが部屋にはある前に、2人に手招きをした。
2人は急いで駆け寄る。
そして、静かにその部屋に入った。
その姿は、想像していた格好良さ…
ではなく、ヨレヨレだった。
くったくたのスーツに、不格好なネクタイ。
部屋は書類が散らばっていたり、ゴミ箱からはティッシュやカップラーメンのカップが溢れていた。
utはタンスをなにやら漁っていて、混乱している2人に気づいていないようだ。
ut「これみてやあ。さがしたんよ。」
タンスから引きずり出した書類をぽんぽんと後ろに投げる。
sho「うわッ。B国の基地内地図!?調べたん?」
ut「そ。てつややで。て つ や 。」
rb「ほぉん。こりゃ次の任務に役立つな。」
ut「せやろぉ。ぼく、がんばってん。」
「まえのはなし、つづきしてええ?」
タンスを漁ったまま、喋り出す。
ut「あの、こうはいの。shpと、ci。」
名前が出てきて、2人は身体を固めた。
何を言われてしまうのだろう。
ut「あのふたり、こわいわ。とくに、ciな。」
びくり。肩が跳ねる。
何がダメだった……
ut「だってさ、みてやこれえ。」
いきなり、タンスに入っていた箱を地面に叩きつけた。すると、中の手紙がぶちまけた。
その手紙は、ciがutへ送っていたものだ。
会えないからせめてと。
これが、迷惑だったのだろうか。
ciは、静かに俯いた。
ut「ようきゃこわい。」
え?
…。
え?
utは手紙を1枚1枚手に取り、箱に戻した。
よ、陽キャ怖い、??????
ut「shp、knのこうはいなんやろ?ともだちの、こうはいとか、きまずいやんか。」
「ciは、みるからにようきゃやし。」
もういやや〜と崩れるut。
ciとshpは悲しむを超え、吹き出しそうになっていた。
sho「…ぶふッ。」
先に吹き出したのはshoだった。
utが目線を動かす。
sho「お前に会いたい言うて、着いてきちゃったで。」
ut「え。」
shp「どうもっす。」
ci「…こんにちわ。」
ut「…えッ。」
utはshoへ駆け寄り、隠れてしまった。
shpは吹き出しそうになっていたが、ciは少し遠慮気味に後退りした。
ut「ひぃッ。な、なな、なんでおるんよ!!」
「ぼくッ、ぼぼッ。ぼくッ。」
sho「はいはい。落ち着いてな。utが思っとるより優しいから安心せい。あと、陽キャってことも無い。おもろいから!!」
ut「…ッ。ほんまぁ、?」
rb「なっ。shp、ci。」
shp「はい…ぶふッ。」
ut「わ、わらったぁ…!!ぼ、ぼくん事わらったぁ!!」
ci「…。」
ut「…ぇ、と。えと。」
utがちらちらとciを見る。
ciは静かに頭を下げた。
ci「すみませんでした。今後は一切近寄りませんし、害も与えるつもりは無いです。本当に、すみません、でした。」
それだけ言って、部屋を出てってしまった。
shpは慌てて追いかけた。
ut「…あれ。もしかしてぼく、おこらせた?」
sho「怒らせたって言うより、傷つけたやね。」
「ci、メンタルよわよわらしいわ。」
ut「ええ…。でも陽キャやんか。手紙めっちゃくるで?」
rb「あれは陽キャちゃう。人との上手い関わり方を知っとるだけ。多分、あいつ根は陰の方やと思うで。」
ut「…。そうなんかなあ。」
「じゃあ、shpは…?」
sho「shpも全然陽キャちゃうよ。あいつ、めっちゃウザイけどな!?」
「煽りキャラ取られてもたあ!!!」
ぼふんとベットを叩く。
utは、ciの背中がどうしても可哀想に見えてしまった。
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shp「ci!!!」
腕を掴む。
彼は悲しそうに顔を歪めていた。
ci「俺のせいで、あの人は今まともに仕事が出来ていない。俺が来てからやろ。あんなに引きこもりになったんは。」
shp「いや、元々は俺ん時からやで。ciは気にせんでぇや。」
ci「手紙も、ウザがられてたんや。俺、しつこかったんや。全部、間違えた。」
「なかよく…なれなかった。」
ciがぽろりと涙を零した。
shpは、背中をべしべしと叩いた。
shp「お前ほんま考えすぎ!!とりあえず、飯行こ!!」
ci「…うん!!」
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ci と言う男は昔から人から突き放されるのを恐れていた。
故郷の村では、仲間はずれという子供がよくやるしょうもないイタズラの対象になっており、友達と呼べるこれは居なかった。
そして、父親は幼い頃に他国へ行った。
ciはなんだかんだ父親が好きだったので、毎回手紙を書いて送っていた。
だが、返事がないので母親に尋ねると、悲しそうな顔をして気にしないでと言っていた。
村の人から聞いた話では、父親はciの事を嫌っていたのだと。
そうして、軍学校で友達だと思っていた奴に、イタズラを受けるようになった。
数十人もの軍人が一斉にciに暴力を奮った。
ciは仕方なく軍学校を抜け出した。
それからは早い事だった。
詐欺師として裏でコソコソ動いていた。
人と関わるのは少しだけでとっても気が楽であった。
だが、やはり1人は辛いもので。
tnに勧誘されたとき、救いと恐怖が混ざってしまった。
きっと大丈夫だと言うものだからciは、W国に入った。
勿論一般兵からは、定期的にイタズラの手紙が届くが、仲間がいたので気にもならなかった。
でも、そのうちの一人はciを嫌っていたらしい。
自分は迷惑をかけてしまっていたらしい。
ああ、もう自分に抵抗する事なんて許されないのだろう。
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ut「ひ、ひぇ〜…っ。」
夜の廊下を書類抱えながらひそひそと歩くのはutだ。
昨日、後輩と新人に見られてしまったので、2人を避けているのだろう。
tn「あ、ut。」
ut「tnちぃ〜っ…」
tnに駆け寄り書類を見せる。
tnはちらりと見て、書類を受け取りutの肩に手を置いた。
怒られるかと思いutは縮こまるが、どうやら違うようだ。
tn「ciを見てないか。約束の時間超えてて。」
ut「えっ…ciって、新人の?」
tn「せや。インカムも部屋に置きっぱで…。」
ut「えぇ…知らんよぉ。きっとshpと居るんちゃう?」
tn「連絡くらいするやろ…ciやで。」
まず、ciをよく知らないんだよぉとutは嘆いた。
だが、まあ読んでわかった。
あんなに無視をしてもずっと手紙を送ってきて、中身はutに対しての尊敬だったり軍人の大変さなどを語ったものであったり。
真面目な子なんだなとは思っていた。
陽キャには変わりない!!
utははふと息をついた。
tn「…まあ見つけたら連絡くれや。」
ut「うぇっ…ぼく寝たいねんけどぉ、」
tn「ああ…せやね。好きにしてや、すまんな。」
離れていくtnを見送り、さっさと歩き出した。
暗い廊下の雰囲気は怖くて苦手だ。
まあ…昼間のわいわいしてる時よりかはマシではあるが。
ビチャビチャッ
ut「おひゃっ…!?」
遠くから何かが一気に落ちた音がした。
液体だろう。何かを零したんだな。
utは怯えて丸まりながらゆっくりと近寄った。
近寄ったというか、自室に戻るにはそこを通り過ぎなければならなかった。
カランッ
ut「あ、あれッ…このめがね、」
見覚えのある瓶底メガネが階段上から転がってきた。
拾い上げて上を眺める。
転けたのだろうか?
いやいや…陽キャとは話したくないなあ。
utが困り果てていると、上からciがフラフラと慌てて降りてきた。
ut「ひゃッ…ああ、あい!!こ、こりぇッ、おとちたよ!!」
カミカミになりながらも、メガネを差し出す。
…が、ciは通り過ぎて行った。
ut「ぁえッ…むしぃ!?」
ぷんぷんと怒りながら、床にそっとメガネを起き階段を駆け上がった。
途中で珍しく一般兵とすれ違ったので、これまた驚いて躓いた。
…
登りきると、そこには吐瀉物が撒き散らされていた。
先程のビチャビチャッという音はこれ?
一体誰だ。
utはciか一般兵だと考えた。
うーん…と顎に手を当てていると、下からciが走ってやってきた。
ut「ひやぃんッ!!ciッ…こ、これ!!………ci、?」
ciはutに気がついていないようで、ひざ掛けのようなタオルで吐瀉物を拭き出した。
utは悩みに悩んだ。
声をかけるべきなのか。
だって彼は陽キャで!!絡んできて!!
…。
いや。
彼は誰だろうと1人の後輩だ。
utはそっとしゃがみ、タオルを手に取った。
ut「これ、ひざ掛けやろ…?汚れちゃうで。」
これ使う?とティッシュを取り出した。
ciはぼーっとutを見ていた。
ut「…ci?こ、これ…ciが吐いちゃったん?」
ci「…。」
ut「…ci、ッ…!!ci、君これ!!」
服の下には、青黒い痣がいくつもいくつも。
長袖で隠された手首には切り傷が沢山。
ci「…ぁ、あれ!?u、ut…せんせッ!?」
ciはハッとしたようにutから離れた。
ut「な、なぁ…なにこれッ、なにされてん?」
ci「…い、いや…気にしないでください。」
ut「な、なんでよッ…いたそう、やん…か。」
ci「…ぼく、陽キャですよ、んなことされるわけないやん。」
ut「…嘘や。」
ci「…貴方は、だから僕が嫌いなんですよね。」
ut「…ぁえ。」
ci「…僕は、こうもしないと人から嫌われる。でも、貴方はそんな僕が嫌い。じゃあ…どうすりゃええの。」
ciは汚れたひざ掛けをぐしゃりと握った。
utは近寄るが、突き飛ばされてしまう。
ci「…来ないでくださいよ!!ぼく、これ以上惨めな思いしなくないの。嫌われてる人に気を使わせるとか…ほんま、僕最低すぎ、」
ut「な、なぁ…ciッ」
ci「…そりゃ僕は陽キャのフリをしてましたよ。笑顔振りまいて、皆に猫かぶって。そうすれば皆気ぃ良くしてくれるし。でも、貴方だけは違う。」
「…安心してくださいよ。明日、僕ここ出るんで。」
ciはポケットから辞表と書かれた封筒を取り出しutの足元に叩きつけた。
ci「…1人でも、仲間に捨てられたなら僕はもうここに希望なんてない。まあ、最初から一般兵には嫌われてたし、言うてそんな希望は無かったけど。幹部の人は優しいからって。…希望を持っていたんやで、情けない。」
utは辞表をちらりと見る。
震えた字でごにょごにょと書かれた物だった。
ut「…誰にやられてんよ。」
ci「一般兵に決まっとるやん…なあ、きっと…もっと嫌われるけど、これだけ見てぇや。」
ciは自分の拳で、腹をねじ込むように殴った。
すると、ごぷっと音がして、また吐瀉した。
ひざ掛けがそっと受け止めていた。
ci「…んな、体にされてんよ。…もう、むりやん。救いようもない…。」
少しの衝撃が腹部に加わるだけで吐瀉をしてしまう身体になってしまったci。
そんな彼の小さな背中は悲しみで溢れていた。
utは、前の発言を後悔した。
あの頃、ciは暴力に対して抵抗していた。
それは、仲間がいるからであった。
そのうちの一人、utが嫌いだと言ったことで、どん底まで落とされ、ここ最近は抵抗してなかったらしい。
ci「…はぁッ…はふ。」
ut「…ci、君の手紙な、読んでんで。」
ci「…え?」
ut「書類ミス無かった!とか。訓練でshpに勝てた!とか。…ほんま、努力家なんやなって分かっとる。無視を続ける僕に対してめげずに手紙をくれる君はほんまに凄いなあって思ったわ。」
「僕は、それを陽キャって勝手に解釈しててんな。…君は、努力家やのに。」
ごめんなさい。
utの口から出た、小さな謝罪だった。
ciは膝を抱え込んでふるふると涙を零した。
ut「…、ci、寝といてええよ。」
そういうと、ciはくらりと倒れた。
それを受け止め、自身のスーツを枕替わりにしてやった。
tnに連絡を入れた後、階段下を見下ろす。
数人と目が合った。
ut「…ん”っん。えーっと…a.b.c.d…。」
「ああッ!!なるほどぉ、君らね。りょーかい。」
パチンッと指を鳴らす。
数人は青ざめた顔で静かに見つめていた。
ut「わぁーった。B国の奴らやぁ。覚えとるよ〜、B国内におったねぇ。」
「ああっ、逃げちゃだめやで〜?逃げたら痛い事なっちゃう…。」
バンッ。
数人が足を撃ち抜かれ、バタリバタリと倒れていく。
ut「…ほぉら。友達怒らせちゃったぁ。」
ut「ないすー。」
shp「いえ。それより、ciは?」
ut「tnが連れて行ったで。恐らく、医務室じゃなくてtnの部屋やねぇ、うーん。」
shp「…流石すね、一発でスパイを見抜いて、何処の兵かまでも。」
ut「…うん?あっははぁ…。」
「かっこええやろ?」
shp「…ぶふッ、やっぱ、第一印象に騙されてましたわ、俺。」
ut「別に意図的ちゃうねんけど皆騙されるから、もう一般兵とかにも下に見られて悲しいわ。」
なんかもう矛盾ばっかですね😭
コメント
16件
この話ほんと好き…
最高すぎて涙ギチョギチョやで…?🫶🤍
え、好き……なんか今のwrwrdが出来た過去みたいな感じで好き! ここからut先と仲良くなって____ 好きすぎる、まじで神作美味しい、(*¯ч¯*)'' ŧ‹”ŧ‹”