忍術学園に通う者達であれば 、
今頃 、新しく進級したクラスや
初めての学園生活を楽しんでいるであろう 。
そんな中 、私の愛しの弟である綾部喜八郎が
何やらひとりの後輩を泣かした 。と
仙蔵から告げられた 。
『…..喜八郎?』
「……..」
「この通り 、口を開こうとしないんです 。」
私の話や 、学園内では比較的懐いていたであろう
仙蔵の言葉を無視するほど 、喜八郎は怒っていた
『喜八郎 、何か嫌なことをされたのか?』
「…..」
『なぜ一年生を泣かしてしまった?』
「……」
『なにがそんなに気に食わない?』
「……」
流石の喜八郎でも 、ここまで無視をしてくると
少し強く出てしまいそうになってしまう 。
そんな時 、戸が大きく開いた 。
「おい清右衛門 、こいつだろ 」
「…ひっく 、う”ぅ”ッ…」
『おぉ、、おー?』
『勘兵衛 、本当に優しく連れてきたのか?』
「失礼言うな」
「…..ッ 、」
『…..喜八郎?』
とある一年生が 、部屋に入ってきた途端
さっきまでビクともしなかった喜八郎が 、
サッと自分の後ろに隠れだした 。
「….喜八郎 、藤内が来てくれたぞ
ほら。自分から謝ろう 」
優しく、諭すように仙蔵は言った 。
そんな時 、ジワっと背中が濡れる感触がした
『…..仙蔵 、勘兵衛 、そして .. 藤内』
『悪いが一度 、2人きりにしてくれないか?』
「……あー 、わぁったよ 。いくぞ 、お前ら」
「え、あ…じゃ、じゃあ藤内 、行こうか 」
三つの足音が遠くなった頃 、
私は喜八郎と体の向きを合わせて抱きしめた
『喜八郎…..俺には 、
なにがお前をそこまで傷付けるのかわからない』
『でも 、少しでも俺に吐いてはくれないか?』
ピクリと体が固まっている
そんな姿に笑がこぼれて 、
またもう一度喜八郎を抱きしめた
「ぼく 、藤内と仲良くしたいんです」
『……そうだね 。』
「でもっ 、皆が .. 藤内ばっかり構うから 、」
「僕 、羨ましくてっ ..
でも 、藤内が好きだからっ… !!」
そう言って 、またぼろぼろと涙を流す喜八郎
やっと 、やっと打ち明けてくれたな
そう思いひとつ 、喜八郎を撫でた
『そうか 、それは辛かったな 。』
『喜八郎 、それは嫉妬と言うんだよ』
「….しっと 、?」
『そうだ』
『きっと喜八郎は 、
藤内が来たことによって自分だけの優しさが
藤内に取られるのが怖かったんだろう??』
すると小さく頷く喜八郎をまた 、
今度は強く抱きしめた 。
『…..だそうだぞ 、藤内』
「….え?」
すると 、さっきまで居なかった
藤内やふたりが戸の前に居た 。
「藤内….」
「…っ 、」
あと一歩が踏み込めない喜八郎の手を握った
すると 、喜八郎も握り返して
一歩を踏み込んだ
「….僕 、藤内が羨ましかったの 。怖かったの 。」
「藤内のこと 、ほんとはすごく好きなの 。」
がんばって 、がんばって口にする事が出来ていた
その言葉に感極まっていたら 、
スルッと私から離れる喜八郎が居た 。
「綾部先輩っ!綾部せんぱい〜!!」
「おわ、、おやまぁ…とーない 」
くるしいよぉ 、と笑う喜八郎と
思いっきり 、骨でも折る勢いで抱きつく藤内
一年生でも 、許されない行為ではないか
そう思いつつ 、その光景を暫し楽しんだ
その日からというもの 、喜八郎はどこか成長した
「綾部せんぱい!!」
「おやまぁ 、とーない 。なぁに?」
「あっあの!予習を手伝って欲しくて!」
「いいよぉ 、どこ??」
「もー綾部先輩!」
「なぁーに富松 、そんな怒って」
「とぼけないでくださいっ!!」
「なんですかこの罠の量は!?」
「えぇ?ふつーだよ」
「だれが埋めるとおもいですかぁ!」
「えへへー頑張ってぇ」
「あ 、綾部先輩!」
「お、綾部せんぱーい」
「おやまぁ 、神崎左門に次屋三之助」
「丁度良かった!あいつは居ますか!
田村三木ヱ門!!!」
「滝夜叉丸もー」
「あぁ、ふたりなら .. 長屋でさっき喧嘩してたよ」
「そうですか!行くぞ三之助ー!!こっちだー!」
「いやこっちだ!!」
「…..そっちは西の方向だよ 、」
「うあぁ、、まただ…」
「だいせいこ〜 、?」
「保健委員の新人の子だ。」
「もうー、危ないじゃないですかぁ!」
「えぇー?ほら 、掴んで」
「…えへへ 、ありがとうございますっ」
『喜八郎 、最近はやけにお兄さんじゃないか』
「そうですかぁ?」
『そうだとも 、私に似ていい兄分だ』
くしゃっとひとつ撫でると 、
喜八郎が勢いよく私に抱きついた
『今日は甘えたなんだな?』
「….お兄様が 、三之助にばっか構うから 。」
『嫉妬か 、愛いなぁ』
なんて言えば 、少し照れる喜八郎
『私のいちばんは 、いつだってお前だよ』
そう言って 、喜八郎のおでこに唇を当てた
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「喜八郎のバカ!!アホ!!」
「お前とはもう絶交だ!!!!」
『…いいし別に 、滝のばか』
コメント
2件
綾部はとーないのことたが大好きで泣かせちゃったんのね可愛いなぁ