忍術学園は 、今日も賑やかだった
校庭や教室では楽しそうな声が 。
五年長屋へ行けば 、勘兵衛が同室の清右衛門か
はたまた別の組の秀作か 。どちらにせよ 、
凄まじい怒号が飛ぶのには変わり無かった
そんな 、日常の中でも
今日は特に騒がしかった 。
「ッ、滝なんか…しらないっ!!!!!」
「私だって…..私だってッ」
「私だってお前のことなんか大っ嫌いだァ!!」
とある長屋から聞こえる大きな声と 、
その声に驚き逃げ出す鳥達の様子から
清右衛門と勘兵衛 、秀作らは
すぐにその場所へと向かった 。
『喜八郎に滝夜叉丸 、どうし….』
「あ”ぁぁ、、さ”く”ら”き”せんぱぁ”い”….!」
「わわわわ、どしたの滝夜叉丸くんっ…」
「…ったく 、アイツはどこだよ喜八郎は」
「そ”れ”が”ぁ”ぁ、、」
『ゆっくり話そう、、な??』
「….ぐすっ….実はっ….」
滝夜叉丸が言うにはこうだ________
「今日も私は美しいな__♪」
「お前もそう思うだろう?喜八郎!」
「……..」
「….喜八郎??」
その日も喜八郎に
いつも通りの言葉を掛けたそうだが 、
喜八郎がそれを無視したということ 。
無論 、それだけでは滝夜叉が怒らないのを
私はわかっている 。
「…..どうした喜八郎 、どこか痛むのか?」
「….んん、へいきだよ」
滝夜叉が言うには 、それは嘘という印らしく
体調が悪い時や嫌な事があっても 、
まわりには知らせず 、溜め込む癖があるという
そんな時は 、心配かけないよう決まって
“ だいじょうぶ ” や “ へいき ”を使うとの事こと 。
「嘘だな?」
「….は 、違うし 。」
いつもなら 、こくりと頷き
大人しく従う筈だったと言っていたが
人間はいつも一緒の行動はしない生き物だからな
喜八郎は凄く拒み 、駄々を捏ねたそうで
まだまだひよっこの滝夜叉は
まだそういった類に耐久がなくて 、
怒り返してしまったそうで 。
色々いざこざがあり 、冒頭に戻る 。
『…..そうか』
『お前は喜八郎の為を思って叱ったのだな』
「….はいっ 。」
『だが 、少し言葉の選択を
間違えちゃったんだよな?』
「はぃっ……」
うるうると涙を溜めて
いよいよ泣くぞ泣くぞ 。と言う時に止めに入る
『だが 、泣くことは許されん』
『お前は男であり 、スターなのだろう?』
『泣き虫なスターに 、喜八郎は任せられんな』
そう言ってやれば 、袖でぐしぐしと顔を拭って
滝夜叉は大きく意気込みを吐いて見せた 。
「わたしっ….泣きません!!」
「スターたるもの!!同室一人守れなくては!」
にひっと笑う滝夜叉の頭を撫でくり回せば
勘兵衛がひとつ伸びをした
「よし….元気出たところで 、」
「お宅のお姫様を探しに出るぞ〜」
「体調悪いんでしょ!?はやくいかないと!」
秀作が滝夜叉丸を連れて一目散にかけていった
その後勘兵衛は転ぶなよ、と
ため息をひとつ落として
喜八郎を探しに走り出した 。
そして私も 、ひとつ笑を零してから
我が愛しの弟を探しに出た 。
滝夜叉が喜八郎のことを 、
ただの 、守らなきゃいけない同室から
どう変化していくのか
分かりたいようで分かりたくないものだった
“ あ” ぁ “ 〜〜!!! ”
大きな泣き声は 、学園中に響き渡り
それは 、裏山まで聞こえていた 。
その泣き声を 、私と滝夜叉は見覚えがあり
すぐさま体育委員会での活動を中断し
滝夜叉を担いでその泣き声を辿りに帰った
『喜八郎!!!』
その泣き声は 、まさに喜八郎そのもので
なぜか 、仙蔵にひっつき虫のように
一向に離れようとしなかった 。
『…..何があったんだ?』
そうすれば 、この場にいた
伊作 、留三郎 、鉢屋 、尾浜が
顔を見合わせて苦笑いをした 。
『….さては鉢屋お前また悪戯を…』
「今回は違いますッ…」
『じゃあ一体誰が何を….』
喜八郎が滅多に泣く子じゃないのは確かで
泣くとしたら 、何かすごい怖い思いをしたとき
それか 、誰か大切な人になにかが起きたとき
それが 、今日はその後方の方だった
「いや 、お恥ずかしいことに..」
「私が喜八郎の落とし穴に落ちてしまって、、」
『おぉ!喜八郎ついに四年生も落としたのか!』
そういって喜八郎を見れば 、また
うるうると目が潤いだして 、
また 、振り出しに戻った 。
『……ていうことは 』
『仙蔵が落ちたときに足を捻って 、』
『それを知った喜八郎が泣いたと』
「……….はい」
『それは仙蔵が痛そうに思わせたのが悪いな』
「….え 、!?」
『忍者たるもの 、人に心を読まれるべからず』
『よし 、今夜は四年生も混じえて鍛錬だ!』
「えぇぇ!?」
「仙蔵っ….」
「仙蔵お前ッ」
『なんだ?文句か』
「 「 「 何もありません!!!!!! 」 」 」
『そうか 、じゃあ滝夜叉』
『体育委員会に戻ろう』
「はっはい!!」
そうやって走ろうとしたら
つんっと何かにつつかれ 、そのものを持ち上げた
『どうした喜八郎』
そう笑いかければ 、俺の首周りをすりすりと
顔を擦り合わせてきた 。とても愛らしすぎる
「ぐずっ…..お兄さま 、ありがとうございました」
『なに 、俺は何もしていないよ』
「来てくれただけで 、嬉しいんですっ」
そう言われた途端 、
自分の中の自制が効かなくなり
喜八郎を抱いたまま私は門に向かった 。
その背後からは 、
滝夜叉 、留三郎 、仙蔵 、伊作 、鉢屋 、尾浜と
順々に追いかけて来ていた 。
「先輩!喜八郎も一緒ですか!!」
『あぁ 、重りとして連れて行こう』
「喜八郎は無理がありますよ!!!!」
「喜八郎は体力が少ない方なんですっ..!!」
「止まってくださぃッ……うわぁぁぁああ!!」
「ちょっ…伊作先輩!?」
「大丈夫ですか!?!」
今日は沢山走ることができて実に良かった
裏山に行けば 、小平太が大人しく座っていて
喜八郎を見た途端はしゃぎ出すものだから
ひとつ言葉を零せば再び静かになった
走ってる最中 、きゃーと騒ぐ喜八郎が
なんとも愛らしくて体育委員会一同 、
食べてしまおうかと作戦会議をしたものだ
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『天才トラパーとして大活躍だそうじゃないか』
「いえいえ〜 、お兄様には及びませんよぉ」
コメント
4件
あああああやっと念願の続きが読めたぞおおおおおおおおおおおおおお
待ってました〜!本当に最高です♡次も待ってます~