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私を忘れず帰りを待ってる人たちが居る。それだけで胸が張り裂けそうな思いだ。
家族や親友、顔見知りでも私を覚えている人々が居る。ここに居たいのに居てはいけない。
私はそういう人種なのだ。
記憶喪失というのは本当にめんどくさくて辛いものだと今知った。今更知った。
私の家族が今この瞬間を見ていたらどう思うだろうか。きっと、絶望や失望の思いでいっぱいになるだろう。
今の私はそういうのを大切な人に思い知らせる出来損ないだ。
こんなことならここにいなくて、そのまま死んでしまえれば良かっとまで思う。
でも、これが運命だ。私が変えることも、逃れる事もできやしない。
だから受け入れるしかない。受け入れてここで生活をするしかない。今できるのはそれだけだ。
さて、ネガティブからは1度離れてここがどんなところかを把握しよう。
🐱「花壇…花?…あ、すごい大きな家…」
なんと、大きな家がたっていた。充分住める。とてもありがたい。
🐱「見てみるかなぁ、何も無かったらなかった後で考えればいい」
そんな素っ気ない独り言を口にした。誰も聞いているはずもなく、ただの音になった虚しさが空気に蝕まれて消えた。
誰もいない。ベットと暖炉、それだけがある。
🐱「良かった寝る場所はあるんだ。」
まずは食べ物がないことに疑問を抱くべきなのだろうが、そんなこと気にしている間もない。
🐱「あ、写真…?」
ふたつのベットのそばにかけられた写真。かなりほこりをかぶっていて、色あせた写真。
あまり気にする必要はないのだろうが、そんなこと脳裏に浮かぶことはなく、その写真に釘付けになっていた。
不思議だ。記憶喪失だからといって写真だけでこんなに心惹かれることはあるだろうか。
色あせていて、ホコリだってかぶっている。
なのにすごく美しい。写真ってこんなものだっただろうか。…多分違うだろうな
まぁいい。家は見れた。外の様子はよく見ていなかったことを思い出し、外に出た。
🐱「花壇が多いな、雑草だってはえすぎなくらいはえている」
🐱「空気がすんでる…すごく心地いい。あ」
気づいた。ハサミや小さなスコップ、ジョウロ…そんなものが乱雑に置かれている。
🐱「雑だなぁ…でもほぼ新品みたい。すごく綺麗だ。」
🐱「そういや、近くに花があった…」
すぐに青色の花を摘んだ。
コメント
1件
誤字脱字や意味の違う字は教えてくれるとありがたいです