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脳裏に浮かんだ光景は『聖女の森』の川辺で魔獣に襲われるカッツェ達の姿だったのよ。


頭に訴えてくる映像は私へなのか、それともシエラへのものなのか分からなかった。だけど、シエラにもきちんと見えたようで思わず声が漏れたみたい。


「カッツェにぃが黒いのに追っかけられてる」

「え!?」

「シエラ?」


シエラの漏らした言葉に2人のシスターが驚きの声を上げた。


「あのね……カッツェにぃが川でおっきな黒いのにね……うーん……


シエラは自分の見た光景を上手く説明できないみたい。

まあ、4歳児だから無理もないんだけど……


もどかしい!

私が説明できればいいのに。


「まさか『聖女の予見』!?」

「それじゃあシエラは!」

「私にも見えないのに……この子は……」

「今はそれよりもカッツェ達よ!」


私を凝視して驚愕するシスター・ミレにシスター・ジェルマの喝が飛んだ。


「そうですね。私は直ぐに森へ向かいます。すみませんがシエラをお願いします」

「分かりました。こちらは気にしなくて大丈夫です」

「あの子達を連れて直ぐに戻ります」


そう言ってシスター・ミレはあっという間に礼拝堂から飛び出していったので、先程の不吉なビジョンと彼女のいない心細さにシエラはパニックを起こしそうになっていたの。


シスター・ミレがあの黒い怪物に八つ裂きにされてしまうんじゃないか?

その不安と恐怖と喪失感に苛まれるシエラの心が私の心を侵食していく。


しすたぁー、しすたぁー、しすたぁー……


シスター・ミレを求めて心の中で何度も彼女の名前を呼んでいるのは私かシエラか。シスター・ミレ絡みだと私とシエラの心は完全にシンクロして、段々と私とシエラが1つになってきている様に思えた。


「大丈夫よ。シスター・ミレはとても強いから」


突然、シエラの頭に少しカサカサしているけれど優しい手が乗せられた。シエラが驚き見上げればシスター・ジェルマが穏やかに微笑んでいた。


「でも、カッツェにぃ達を追いかけてるのすっごくおっきいんだよ」


あんなに小さくか細いシスター・ミレが、どうしたらあんな恐ろしい怪物に勝てると言うの?


「シエラはまだ知らなかったわね」


だけど、シスター・ジェルマはくすりと笑った。


「シスター・ミレは聖女なのよ」

「聖女様?」

「ええ、それも歴代最強の、ね」


え!?

シスター・ミレって聖女級に優しい女性ってだけでなく、正真正銘の聖女だったの!?


シスター・ジェルマはシスター・ミレの聖女としての活躍を語って聞かせてくれた。それは昔話に出てくる凄い人の様でシエラは興奮して聞き入っていたし、私もシスター・ミレへの憧憬の念がいっそう強くなっていった。


「それでも心配なら一緒にシスター・ミレの無事を神に祈りましょう」

「神様にお願いするの?」

「そうよ」


シスター・ジェルマはにっこり笑ってシエラの頭を優しく撫でた。


「シスター・ミレと同じように、シエラも聖女の力を持っているのよ」

「わたしも?」


自分が大好きなシスター・ミレと同じ!

私とシエラは、その事実に打ち震えた。


「シエラが神様にお願いしたら、きっと叶えてくれると思うわよ」

「わたしが神様にシスターの無事をお願いすればいいのね!」


シエラはシスター・ジェルマに教えてもらいながら一生懸命に神様にお祈りをした。


その祈りが天に通じたわけではないと思うけれど、シスター・ミレが泣いて謝るカッツェ達を連れて無事に帰ってきた時には、シエラは自分の願いが叶ったと飛び跳ねて大喜びした。


今日という日は人生で最高の日!


だって私とシエラは聖女という存在を初めて知って、シスター・ミレがなんとその聖女で、リアフローデンを守っている偉い人だったのよ。


自分の大好きなあのひとはとっても凄い人なんだて……

そして私はその大好きな彼女と同じ聖女なんだって……


この事実に私とシエラの内から湧き上がる気持ちは同じだった。


それは無常の喜び。


シスターと自分は同じ聖女なの。

それは他の人とは違う、私とシスターだけの確かな繋がり。


ああ、私はシスターの娘なんだって、シスターは私のお母さんなんだって思えた瞬間だったの……

転生ヒロインに国を荒らされました。それでも悪役令嬢(わたし)は生きてます。

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