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書き終えた今でも、相沢蒼という男の背中を思い出す。

彼は決して“完璧な探偵”ではなかった。

むしろ、不器用で、過去に囚われ、何度も間違える人間だった。

けれど――彼が最後まで信じたのは、「人の記憶」だった。

それが、たとえ偽りや改ざんの上に築かれたものだとしても。

霧島家の罪、香坂真理の幻、そして弟・涼の声。

すべてが“消えていく記憶”の中で、

それでも彼は一つだけ確かなものを見つけた。

「真実とは、正しさではなく、信じる力で形づくられる。」

この物語を書いている間、私は何度もこの言葉に立ち返った。

真実を暴くことは、誰かの嘘を壊すこと。

けれど同時に、誰かの“祈り”を守ることでもある。

霧に包まれた世界の中で、

相沢が最後に選んだ「truth(真実)」というコード。

それは“システムの停止”であり、同時に“心の再起動”でもあった。

彼の中で再び動き始めたのは、

兄として、探偵として、人としての“記憶”だったのだろう。


✉️ 登場人物たちへの手紙

霧島翔へ。

あなたの芝居は、決して終わらない。

真理が言ったように、“真実は舞台の上で生き続ける”。

香坂真理へ。

あなたの名が“MARI”という計画に残っていること。

それは偶然ではなく、希望の象徴だったと思っています。

相沢涼へ。

兄への想いを、誰よりも静かに、誰よりも強く貫いたあなた。

その優しさが、物語の中心にあった。

そして、相沢蒼へ。

君の歩みは、まだ終わらない。

霧の先に、新しい“幕”が待っている。


🌫️ 読者へ

「霧の館」シリーズをここまで読んでくれたあなたへ。

この物語の霧は、謎を隠すためのものではなく、

“人が抱える曖昧さ”を象徴するためのものでした。

正しいか間違いかではなく、

愛したか、守ったか、信じたか。

その曖昧さこそが、人を人たらしめる“真実”だと、

そう信じています。


霧の向こうにまだ見ぬ物語があるなら、

相沢はまた、歩き出すだろう。

次の舞台は――

『霧の館Ⅲ ― 真理の残響 ―』。

そこでは、「記憶を失った相沢蒼」が再び“真理”と出会う物語が始まる。

どうか、その霧の続きを見届けてほしい。


――2025年 秋、霧の夜にて

作者より


           

𝓕𝒾𝓃

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