霧に包まれた霧島家の事件から数か月――。
真相を暴いた探偵・相沢蒼は、あの夜の終わりに届いた一通の手紙を忘れられずにいた。
「真実はまだ終わっていない。火傷の男を探せ。」
封筒の中に入っていたのは、右頬に火傷の痕を持つ男と霧島翔が写る一枚の古い写真。
霧島家の“本当の黒幕”がまだ生きている――その暗示だった。
そんな折、事件の真相を追い続けていた新聞記者・永井沙織から相沢のもとへ連絡が入る。
彼女の声は震えていた。
「相沢さん……“火傷の男”が見つかったの。
港区の“黒鴉(くろがらす)劇場”に……」
しかし通話の最中、突然の銃声と共に電話は途切れた。
相沢が急行した先で見たのは、倒れた永井と、舞台に残された奇妙な写真。
そこには炎に包まれた劇場の中で、仮面をつけた“火傷の男”が静かに立っていた――。
新たな舞台は、閉ざされた古い劇場。
そして、その劇場を支配する謎の男、篠原怜司。
彼の名刺には、霧島家の暗号と同じ記号が刻まれていた。
再び動き出す“霧の連鎖”。
やがて相沢は知ることになる――霧島家の事件は、
ひとつの“終わり”ではなく、“始まり”に過ぎなかったのだと。