目を開けると、その眩しさに何度も瞬きをしてしまう。 ゆっくりと起き上がり、窓の外を見ると1面真っ白な雪が振り積もっていた。
暖房が効いたこの部屋では寒さは感じないはずなのに、 何故か酷く寒さを覚えた。
……なんで僕はここに居るんだろう。
「っ…」
唇を強く噛み、どうしようもない胸の痛みに耐える。
何事もなく死ねれば、それでいいと思っていた。でも、それがどれほど難しい事だったのか今になってようやく分かった。
もう、やり直せる時間なんてない。それなのに、後悔ばかりが募っていく。
いつからだろう。 僕が、 間違えてしまったのは。
1「事の発端」
それはいつも通り学校に行こうと家の玄関を出た朝の事だった。
少し歩いた所で、足が止まる。
「いっ…た」
突然何かに殴られたかのような強い痛みが頭に響いた。
「っ…う………」
頭を抱え痛みに耐えるも、ぐにゃりと視界が傾き、ふわりと浮遊感がしたかと思えば地面に倒れ込んでいた。
呼吸が乱れ、冷や汗が全身を伝う。
「はぁっ、はっ」
なに、これ。
だんだんと意識が遠のいていく。そんな中、微かに悲鳴が聞こえたような気がした。
ぼんやりとした頭で、見慣れない、白い天井を眺めていた。 横に目をやると自分の手に繋がっている点滴が見え、ここは病院だということに気がついた。
…僕、倒れたんだっけ。
先程の記憶が蘇る。あの時の頭痛がまだ少し残っているのか、頭の奥に鈍い痛みが響いた。
起き上がろうにも体が酷く重く感じ、なんとか無理やり状態を起こしてみる。寝起きだからか手に力があまり入らなかったが 特に異常はないようで少し安心した。
ガラリ、と病室のドアが開き看護師さんが訪れたかと思えば、 「あら、目が覚めたんですね!先生を呼んで来ます」 と言って慌ただしく病室を出て行ってしまった。それから間もなく、
「ゆきっ!!!」
母が勢いよく飛びついてきた。
「うっ」
強く抱きしめられ、苦しいよ、なんて言って僕は笑顔を見せる。
すると今度は父と、メガネをかけた中年の医師が部屋に入って来た。 父は僕の顔を見て心底ホッとしたような顔をしていたが、その横にいる医師は俯き何とも言えぬ暗い表情をしている。落ち着いていたはずの、心臓の音がうるさくなった。
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今日から増やしていくので見てもらえたら嬉しいです(* 'ᵕ' )