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第十話
注意書きは第一話をご覧下さい。
水side
先生「…それじゃ、ゆっくり休みなさい」
水「ありがとう、ございます…」
あれから僕は保健室に寄った。
保健室の先生は少し事情を話すと、それ以降深堀してくることはなかった。
いろいろ察してくれたのか、僕はみんなの下校時刻になるまで保健室で過ごさせてもらうことになった。
水「…ぁ、せんせいっ…」
先生「ん?どうしたの?」
水「その…テストって…返してもらえますか…?」
先生「あー…どうでしょう…後で担任の先生に聞いてみるわね」
水「わかりました」
水「…」ボフンッ
水「…ッ…ッ…」ポロポロ
ひと段落ついたところで、ずっと我慢してた涙がどんどんこぼれてきた。
声を押し殺して、大粒の涙を流しながら布団に潜る。
僕って、ほんとうにダサいな。
先生「稲荷さん、少し担任の先生と話してくるわね」
水「わ、わかりました」
先生「鍵は…閉めておく?もし、猫宮さんが来たらアレだし…」
水「………お願いしてもいいですか…?」
先生「ええ、わかったわ」
先生「じゃあ、行ってくるわね」
ガラガラ…バタン
水「…」ボフンッ
妹side
先生「で、あるので、ここは〜……」
妹「…」
初めまして。ほとけの妹です。
きっとみんな私に対する印象は悪いでしょう。
私だって思っています。
でも、そうするしかないのです。
妹(“私”は今日も、“アタシ”を演じなきゃいけない)
どうか、テストで1位をとって帰ってくることを願うばかりです。
放課後
妹「…」ポチポチ…←スマホをいじる
今日は人生で初めて、ほとけの学校の前にいます。
理由は、結果を知りたかったから。
もし、1位じゃなくても、母より私が早く知れば、助けられるから。
妹「……にしても、遅いな…」
校門から学生が出てきている中、ほとけは一向に出てくる気配がなかった。
妹「………あ、あの人…」
青「…」
ほとけを探していると、隣に住んでいる方が校門から出てきた。
妹(確か…いふさん…だっけ?)
妹(あの人に聞けば…!)
私はすぐさま駆けつけました。
妹「ぁ、あのっ…!いふさん、ですよね?」
青「ぇ、君は…隣の…」
妹「ほとけの妹です」
青「どうしたんですか?」
妹「えっと…ほとけを待っているんですけど、まだ学校の中にいますか…?」
青「……」
いふさんは黙り込んでしまった。
妹「…?ぇ、ぇっと…?」
青「……ほとけなら、帰ったらしいで」
青「…たぶん、俺のせいやな、笑」
妹「そ、それってどういう…?」
青「…きっと、知ってるんやろ?」
青「ほとけが、1位を取らなきゃいけなかった理由」
妹「!」
取らなきゃいけなかった…?
それって……
妹「…ほとけ…テスト1位じゃなかったんですか…?」
青「…」コクッ
妹「ッ!」
うそ…あの完璧人間が…?
誰よりも努力してる子が…報われなかったの…?
妹「そん、な……ッ」
青「……なぁ、ほとけがなにを抱えているのか、教えてくれへんか?」
妹「……ほとけは…ッ」
妹「1位を取らなきゃ……もう、自由を手にすることは出来ないんです…」
青「…え、?」
妹「ッ…ごめんさない。もう行かなきゃッ…」ダッ
青「あ、ちょっ…!」
妹「…ッ…ッ…!」ダッダッダッ
救わなきゃ…私が、ほとけを救わなきゃ…!!
私が今までそうしてもらったように、私も恩返ししなきゃ…!!
妹(……やっぱり、離れるべきだ…!!)
ガチャ
妹「ただいま…!!」
母<〜〜〜〜〜!?💢
水<〜〜〜〜……
妹「!」
リビングから母の怒鳴り声と、ほとけの情けない声が聞こえてきた。
妹「ッ…」
妹(演じなきゃ…ッ)
ガチャ
妹「おかあさーん?ただいまー!」
妹「…ッ!」