確かに目の前には君がいた。俺の大好きな春千代くんがいた。でも、悲しそうな顔をしてた。初めて見たスーツ姿。少し鉄の匂いが混ざったような匂い。前の春千代くんじゃないような気もした。大好きなはずなのに。せっかく会えたのに、言いたいことが沢山ありすぎて言葉が詰まる。何も言ってくれない春千代くんを見るのも何故か辛くて。気づいた時には泣き出していた。手を伸ばしてくれた春千代くんを遠ざけるように、俺は走り出していた。色々な感情がぐちゃぐちゃになって。とにかく悲しくて。路地裏を抜けようとした時に、春千代くんが引き留めるかのように後ろから抱きついてきた。
春千代「ごめん」
また「ごめん」か。やっぱり俺じゃダメだったんだ。とにかく辛くて。子供みたいに泣いてしまった。最後に強く抱き締めてから、
春千代「ごめんな。また近いうちに会いに行く。それまで待ってて。」
と言われた。
「まって」と言いかけた時には春千代くんは居なくて。まともな会話なんて出来なかった。でも、
「近いうちに会いに行く」
この一言で少しだけ救われたような気がした。
ぼーっと考えているうちに千冬が迎えに来た。
千冬「急に走り出すなよ。んで、会えたのかよ。」
武道「うん…」
千冬「良かったな…ほら、たって帰るぞ」
そういうと俺の手をとって立ち上がらせた。
コメント
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楽しみすぎます!