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学校にある噂が広まっていた。
「ねぇ知ってる?あの噂。」
「うん知ってるよ。今流行ってるあの噂のことだよね。」
放課後の教室、生徒が残りヒソヒと話をしていた。その会話の内容が気になった一人の女子が会話に混ざろうとしていた。
「ねぇねぇ、何の話してるの?私も混ぜてよ!」
彼女の名は柊百合葉。生徒会長を務めている、純真無垢で冷静で優等生なただの女の子。そんな柊に、現実離れした出来事がある日突然訪れる。_
「あっ百合葉!今流行ってるあの噂の話してたんだよ。」
「あの噂?なにそれ!」
「まさか、百合葉知らないの?!」
信じられないと言わんばかりに、大きな声を出して驚いている友達に少し戸惑った。
「う、うん。そんなに有名なの?」
「はぁ、しょうがないから教えたげるよ。星翔波神社の神様の噂。」
1│神社の噂
星翔波神社とは、うちの学校のすぐ近くにあるそこそこ有名な神社だ。多くの人が足を運んでいて、とても大切にされている。そんな神社に噂があるとは、初耳だ。
「その噂ってのがね、午前二時ピッタリに鳥居を潜ると、神様が目の前に現れるんだって。」
「えぇ、絶対嘘だ!」
「きっと本当だよ!本当に見たって人いるらしいし!」
馬鹿馬鹿しい。そんなの嘘に決まってるじゃないか。こんな子供騙しな噂誰が流したんだろう。これを確かめに夜遅く神社に行く生徒がいたら、不審者に遭遇して危ない目に合うかもしれない。そんな事があったら手遅れになる。これは何とかしないと。私が口を開くより先に、友達の一人がこんな事を言い出した。
「ねぇあのさ、今日の夜集合して噂が本当か確かめに行かない?」
「お、いいね!行こ行こ!百合葉も行くよね?」
「え、私も?」
正直行きたくない。貴重な睡眠時間をこんな噂如きに取られたくない。だけど、ちょっと興味あるかもしれない。それに、噂が本当かこの目で確かめて噂自体を無くすって言うのもアリなんじゃない?じゃあ、やっぱり行こうかな。行った方がいいよね!
「あれ、行きたくなかった?」
「ううん、行く。逆に行かせて。」
私は少し考えた後、神社に行くことに決めた。ここで神社に行かない方を選択しておけば良かったな。と後々後悔する事になるとは、この時は思いもしなかった。
家に帰った後、私達はメールでやり取りをした。集合場所はもちろん神社の前、時間は一時五十分。現在の時刻は二十二時。まだまだ約束の時間まで余裕がある。一度寝ておこうかな。自室のベッドに横になり、ゆっくりと目を瞑った。
夢を見た。とても変な夢だ。私は誰かを眺めていたのだが、その誰かは分からない。髪は腰の所まで長くて白髪、そして白い着物のようなものを着ていた。何なんだろう、何だったんだろう。とても寂しそうで悲しそうな顔をしていた。ここまで詳しく覚えているのも珍しい。目が覚めると、もう既に一時を過ぎていた。慌てて準備をして神社に向かった。
「ごめーん!お待たせ!」
「遅いよー!来ないかと思ったじゃん!」
「そんな事より早くしよ!あと一分で二時になる!」
私達は鳥居の前で、横一列に並んだ。私はなんとなくで真ん中に立った。
「いい?せーので行くよ!五、四、三、二…せーのっ!」
その合図で私達は一斉に潜った。しかも意味も無く、三人共軽くジャンプしてだ。だが、何も無かった。ほら見ろ、こんなの嘘だったじゃないか!私はこの噂が嘘だと判明すると、どうしてかホッとした。緊張でもしていたのだろうか。
「やっぱ何も無かったじゃん!ほら、もう遅いし帰ろー!」
私は神社から出ようと鳥居の前に近ずいた。でも、出られなかった。神社から出ようとすると、体が弾かれるような感覚に陥った。なんだろう、これ。何かバリアが貼っているような感じがする。
「どうしよう、二人共。私達出れなくなっちゃった!」
私は二人がいる方に振り返ると、やはり二人も驚いていた。そりゃあ驚くよね。どうしよう、帰れないじゃん。さっきまで冷静だったのに、少しずつパニックになりかけていた。
「ねぇ、どうしよう。百合葉がいなくなっちゃった。」
え?いや、何言ってるの。私ここにいるじゃん!
「こ、これヤバくない?大人の人呼びに行こ!」
待って、鳥居にはバリアみたいなのがあって!
私は驚いた。二人は弾かれずに外に出れたし、私の声が届いていない様だったから。