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熊
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意識が朦朧としていたが、嗚呼、やってしまったな、というのだけはわかった。
日「ぁ”ッ…ご”め”、、な”さ”ッ…」
吐いたせいでうまく声が出せない。
独「取り敢えずイタリアッ!拭く物と水をとってこい、!」
伊「わかったんね…!」
独「大丈夫だ日本ッ俺たちがいるからな」
「今は安静にしてろ…」
日「は“ぃ”ッ”…」
こういうときに頼りになるんだよなドイツさん。
…いやいやそんなこと考えてる場合じゃない。
〜ドイツ視点〜
日本はやっぱり隠していた。苦しそうな表情を一切見せなかったから、もう心身共に回復したのかと思っている自分が居た。
それは間違いだったんだ、早く気付いていれば良かったのに、そんな今思っても仕方がない思いが頭を駆け巡る。
日「し”ん”ぱ”ッか”け”ちゃッ”て…、」
まだ日本は俺たちのことを気にしている。そんな心配の声は、俺たちの不安の材料となるだけだった。
伊「もってきたんね…!」
独「おうッ…!」
袋とタオルを手に取り、床を拭く。異臭も混乱によってかき消され、残るのは混沌のみであった。
伊「こんな量の錠剤ッ…飲んでどうするつもりだったんね…?」
イタリアも答えはわかってるだろうに。なのにそんなこと言ったのは、この殺伐とした雰囲気を少しでも和ませたかったのだろう。
独「…イタリアもわかってるんだろ、…?」
伊「………ッ…」
イタリアは何も言わない。どうやって気まずさを紛らわせようか…
独「…よし、作戦変更だ。ピザじゃなくて粥作るぞ」
日本が体調を崩すだろうと思って、お粥の材料を一応買ってきたのだった。さすが俺。
伊「ピッツァはッ…?」
独「また次回だな」
伊「…わかったんねッ…じゃあ、Ioは何すればいいんね?」
ピザのことになったら絶対に食い下がらないイタリアなのに、珍しくOKを出してくれた。
独「じゃあ米を研いでくれ。できるか?」
伊「リゾットのときとかでよくするんね!だからできるんね!」
独「Danke.(ありがとう)じゃあ早速作ろうか」
伊「Inteso(わかった)!」
伊「えぇぇ…これどうやってやるんね?」
そう言って見せてきたのは炊飯器。
独「イタリアやったことあるんじゃねぇのかよ…」
伊「いやリゾットはこんな機械使わないんね!」
炊飯器のこと「こんな機械」って言ってる…
こりゃイタリアも末期だな。
独「はぁ…ちょっと貸してみろ」
俺は慣れた手つきで米を研いでいく。普段あまり米を炊く機会はないのだが、日本に喜んでもらいたくて練習していた。
伊「わぁ~!ドイツすごいんね~!」
独「そんなすごくねぇよ」
伊「そんなことないんねッ!」
独「……ッ…」
褒められたのは久しぶりだからか、頭の方に血が上るのを感じる。
伊「ドイツ顔赤~いwww」
独「…ぅるせぇ…//」
伊「もしかして褒められて照れちゃったんね~?」
余計なお世話だイタリア。
独「……そんなことどうでもいいだろ…!」
「それより粥作るぞ粥!」
伊「わかったんね~…」
〜日本視点〜
一階から二国の楽しそうな声が聞こえる。いや楽しいのかはわからない。とにかく話し声。
それよりもくっきりと、自分の情けない吐息が聞こえてくる。
かろうじて意識を保つことができるだけで、他には何もできない。これほどまで自分が情けないと思うことはあるのだろうか。
「ねぇ父さん」
「どうした」
まただ。何で思い出してしまうんだ。思い出すと、もう会えないような気がして悪寒が止まらなくなる。やめてくれ。思い出させないでくれ。
「人として情けないことはどのようなことなのですか」
少し間が空いたあと、父さんは言った。
「自分を駄目な奴だと、自分をろくでもない奴だと思うことだ」
「なるほど」
人として情けないことは、自分を否定的に捉えること━━━━。
急に息が詰まったような、そんな気がした。
伊「……日本ッ……?起きてる……?」
イタリアさんがおどおどした声で私に話しかけたのが聞こえる。イタリアさんの顔を見る余裕もない私は、ええ起きてますよとだけ言った。少なくとも自分ではそう言おうとした。
独「ピザって言ってたんだが、食べられないと思って粥を作ったんだ。今大丈夫か?」
正直食欲もないし、食べたらまた戻してしまいそうな気もする。ただ、折角作ってくれた料理を食べないと言って断るのも気が引ける。
日「ぁ”、、は”ぃ”、、」
独「感謝する。じゃあ口を開けてくれるか?」
ドイツさんの手からもらったお粥は、温かいのか冷たいのか分からなかった。だけど美味しくて、温かくて、冷たくて、五口程食べてもういいですと伝えた。
コメント
3件
うわあ……お粥の“温かいのか冷たいのか分からなかった”って一文、すごく刺さりました。身体は温めてくれているのに、心の奥が冷え切ってる感じが一瞬で伝わってくる。回想に出てくる父親との会話も伏線っぽくて不穏だし、ドイツとイタリアの気遣いが痛いほど染みる回でした……続きが気になります!