「今日は十五夜なんだって」
「へぇ、あの有名な。日付までは知らなかったかも」
「だからといって、現代ではあまり騒がれないけどね」
しかも、今昼だし。
スクランブル交差点で会うと、結構な頻度で話題を提供してくれるまふゆは、結構私のことが好きみたいだ。
「月見団子とか、家で食べたことないかも。そもそも十五夜を意識しないからだけど」
「月見団子ってお供物として用意されていて、作物の収穫に感謝したり、これから実る作物には豊作を願うんだってね」
「へぇ〜。じゃあ農家だったらやってたってことかな」
「私達はご飯を食べられていることに感謝したらいいんじゃないかな」
「確かに」
十五夜にお団子フェアとかやったらいいのに。映えるだろうし、多分儲かる。あと単純に美味しいものを食べたい。これじゃ純な気持ちで感謝できてないかな。
「他にも、十三夜や十日夜って呼ばれるのもあるんだって」
「え、それは知らなかった」
「十五夜が一番有名だからね」
「あ、学校給食で十五夜はよく聞いたのよ! デザートに申し訳程度の月要素があって」
「確かに、十五夜はよく祝われてたね」
何にも知らなかったけど、実は昔何か教えてもらっていたのかな。ちょっと特別な日っていうイメージだけだった。あと月が綺麗っていう謎のイメージ。
「昔は十五夜だけしかお月見をしないのは、縁起が悪いとされていたみたいだよ。片見月って言うんだけど」
「三回もデザート食べてたかな。思い出せない」
「あと、十五夜、十三夜、十日夜が晴れると良いことがあるって言われてたみたい。三月見が晴れると良いことがあるってね」
「一応今日は晴れてるみたいだね」
まふゆからちょっとした話を聞けたし、帰りに団子でも買って帰ろうかな。夜食べたら太るかな。一日なら大丈夫か。
「って、なんでそんなに詳しいのよ……。あ、そういえば、まふゆって誰かのこと待ってたりした?」
「してないけど、どうして?」
「いや、遠目からだけど立ち止まってたように見えたから」
「……さあ。気の所為だと思うけど」
「ふーん」
私のことを待っていてくれたり、なんて期待したけど。まあ、そういうことにしておいてあげよう。
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