テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#恋愛
桜咲かな
687
#ハッピーエンド
にゃみ3
30
にゃみ3
526
#政略結婚
常陸之介寛浩
330
「――我が国の未来の為、これは世継ぎである貴方の使命でもあります。分かっていただけますね?」
説明を一任されたエルロットが話を終えてそうエリスに問い掛ける。
「……そんな、元はリリナに来た縁談で、私は王子からすれば邪魔者でしかないのに……。王子は、それで納得しているのですか?」
話を聞いてどうしても納得のいかないエリスは黙っていたアフロディーテへ問い掛ける。
「リリナには好きな時にいつでも会えるという条件を付けたら、エリスとの結婚を了承してくれました。だから問題は無いの。貴方はシューベルト王子の機嫌を損ねず常に笑顔で暮らしていればいい、それだけで国の未来も明るくなるし、貴方自身も何不自由無い暮らしが送れるのよ? 素晴らしいことじゃない。タリムもきっと国の未来が明るくなることと娘の貴方の幸せを喜んでいるわよ」
白々しい笑顔を向けながら思ってもいない言葉を並べ立てるアフロディーテ。
エリスはその笑顔で、全てを悟ったのだ。
アフロディーテは厄介者である自分をこの国から追い出したいと思っていること、愛するリリナを女癖の悪い王子の元へ嫁がせたくないこと、そして何より大切なリリナを手離したくないが為に自分を差し出すのだと。
本心は断りたいエリスだったけれど、これはもう決定事項。
思えば、父であるタリムが亡くなったその日から味方であった者たちは次々に辞めさせられ、肩身の狭い思いをしていたエリスは断ることは出来ないと知っているからこそ、
「……分かり、ました……謹んでお受けいたします」
そう答えるしか道が無いのだと全てを諦めてしまったのだ。
エリスが縁談を承諾するや否や彼女の気が変わるのを恐れてか両家の間では、あれよあれよと話が進み、二ヶ月も経たないうちに挙式まで終えることになった。
まさに電撃婚とも言えるシューベルトとエリスの結婚は、国内外でもかなりの話題になった。
ただ、シューベルトの噂が噂だけに誰もがエリスに同情していたし、周りはこれが政略結婚であることも分かってはいたが、それを口にするものは誰も居なかった。
挙式を終え、夫婦となったエリスとシューベルトだが、二人の寝室は別々で顔を合わせることすら数日に一度あるかどうかという間柄だった。
そんな二人が共に寝起きしたのは、初夜の一度きり。
処女だったエリスを無理矢理犯す形で欲望の赴くままに抱いたシューベルト。
事が済み、疲弊している彼女の身体を労ることすらせず、『妻になったくせに、夫である俺を満足させる事も出来ない女に用は無い。今後俺が誰と寝ようが文句を言う筋合いは無いからそのつもりでいろ』と吐き捨てて以降エリスには指一本触れていない。
そんなシューベルトはエリスという妻が居るにも関わらず、別宅に気に入った女を住まわせたまま結婚前と変わらず夜な夜な女の部屋を訪れては朝まで楽しんでいたが、それを咎める者は一人も居なかった。
コメント
1件
うわあ……読んでて胸がぎゅってなったよ。エリスお姉さん、父を亡くした直後に周りからどんどん居場所をなくして、最後は自分の意思を全部無視された結婚……アフロディーテのあの白々しい笑顔が本当にゾッとする描写だった。しかもシューベルト、初夜でただ欲望のままに扱ってあとは放置って、妻を一人の人間として見てないんだね……。エリスの諦めきった「分かりました」にじわじわ苦しくなる。でも、こんな重い展開なのにすごく引き込まれたよ。続きが気になる……!