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「びっくりしたよもう」
脱力しきった様子で小柳が言う。
「俺何か泣かせるようなことしたんじゃないかって」
「ごめんて。マジで不安だったもんだからさぁ」
それについてはちゃんと謝る。小柳に対して疑いの目を受けたことを言えば、そんなに不安にさせてたんだ、とぽつりとこぼした。
「てっきり……いや、何でもない」
「え、何?」
言い含みをした小柳を星導は逃さなかった。
「てっきり何だよ」
「……俺すごい受け身じゃん」
「うん」
「言葉であんまり言わないじゃん。……愛というか……そう言うの伝えた方が良いんだろうなって思ってて。……伝えなさ過ぎて泣いたのかと思った」
「……そう言うのちゃんと気にしてたんだ」
素直にそういえば何故か軽く睨まれる。
「なに?」
「………何でもない」
変なの、と言えば不服そうに顔を顰めてから言葉を続けた。
「ずっととか、絶対とかさ、約束できないことじゃん」
「うん」
「だから何か言いづらくてさ」
「そうだったんだね」
彼は何処か感傷的に言葉を紡いだ。思い返せば確かにそういう言葉選びは避けているような気がした。
「だから、俺がそう事言う時はそのくらい想ってるんだなぁくらいの気持ちで聞いてて欲しいんだけど」
「うん」
「俺は絶対に手、離さないつもりでいるから」
「ふふ……何か、プロポーズみたいだね」
受け身だと彼は言うけれど、それは人を気遣って慎重になっているからだと自分の中では解釈していた。
そんな彼からの大胆な今の言葉はきっと指輪よりも深い意味を持っているんだろうな、と星導は物思いに耽った。
メモ
星導
学生時代、小柳の事を親友だと思っていた。その頃、恋心は全くない。
記憶をなくしてヒーローになってから小柳に惚れた。自分が一方的に小柳を好いて恋人になったと思っている。
出会って3ヶ月で告白はちょっと焦り過ぎたかもと思っているが、誰にもとられたくなかったから早くに告白をした。
小柳が過去の自分を好いていた事に全く気が付いていない。
小柳
学生時代、星導を親友だと思っていた。後に抱いていた感情が恋心だと悟る。
ヒーローになって記憶のない星導に告白されて心底困惑する。
「ずっと」「絶対」という言葉にトラウマがある。
→「ずっと」と伝えた星導が消えてしまったため、伝えたらまた居なくなってしまうんじゃないかと考えてしまっていた。
学生時代に星導が好きだった事はまだまだ内緒にしておくつもり。