8話 神隠しもどき( 中 )
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的場「 じゃあ俺1番 ~ 」
名取「 子供か ッ 」
ヴォン ッ
私「 …. スタスタ 」
私「 ? 」
一瞬、何かを感じた
私は3人が先に通り過ぎた入口ゲートの前に立ち止まる。
名取「 伊吹?どうした?」
的場「 ほら、伊吹も早く入りなよ 」
私「 あの!何か、感じませんでしたか?」
七瀬「 ? ….いや、何も 」
私「 そう、ですか 」
私( 気のせいかな….? )
子供「 ママ ~ !あれ乗る!」
母親「 あ、こら!走らないの!」
名取「 休日なだけあって子連れが多いな 」
的場「 ですね 」
七瀬「 敷地も広い、二手に分かれます? 」
的場「 その方が効率が良いでしょう 」
的場「 じゃあ行こうか、伊吹 」
名取「 !? 」
名取「 おい、何で伊吹を連れていくんだ?」
的場「 何でって ….ペアを作るなら妥当でしょう 」
的場「 伊吹と周一さんじゃ、経験値の差で何かあったら困るだろうし 」
名取「 お前な….!」
七瀬「 まぁまぁ、ここで喧嘩するんじゃないよ 」
七瀬「 名取も、これは仕事だ 」
七瀬「 私情を挟むのはオススメしないよ 」
名取「 ….では、せめてこうして下さい 」
的場「 ? 」
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的場「 はぁ、伊吹に色々吹き込もうと思っていたのに…. 」
名取「 だろうな 」
名取「 お前の考えている事くらいお見通しだ 」
的場「 何それ、告白?」
名取「 んな訳あるか!!」
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・
・
七瀬「 ふふ、これではただの女子旅だな 」
私「 そ、そうですね 」
七瀬「 緊張しなくていい、的場一門だからといって君に何かを強要する訳ではないからね 」
私「 ….はい 」
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的場・名取 side
的場「 俺たちは西側からですね 」
名取「 それにしても本当に広いな 」
的場「 周一さん、遊園地に最後来たの何歳?」
名取「 ん….、小学生の時に校外学習で行ったくらいかな 」
名取「 家族で出かけるなんて無かったし 」
名取「 お前は?」
的場「 俺もそのくらいかな、多分 」
名取「 皆、一緒みたいなものか 」
的場「 そう?伊吹は違うように見えたけど 」
名取「 え?」
的場「 クスッ 、気のせいだよ 」
名取「 ….お前は人をよく見ているんだな 」
的場「 何それ? 褒めてくれたの?」
名取「 やっぱり無し、忘れろ 」
的場「 えぇ ~ ッ 笑笑 」
ゾクッ
的場「 ! 」
名取「 ….どうした?」
的場( 周一さんは気づいていない?)
的場「 今、誰かに見られていたような気がしたけど 」
的場「 気のせいか 」
名取「 ….なぁ、誠司 」
名取「 提案があるんだけど 」
的場「 …. 聞きましょうか 」
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伊吹・七瀬 side
七瀬「 こちらは東側からか 」
私「 はい 」
七瀬「 そういえば、次期頭首から一門に勧誘されたらしいな 」
私「 ….はい 」
七瀬「 どうだ?前向きに考えてくれているのかい?」
私「 …. 」
私「 私は祓い屋になりたくないんです 」
私「 正確に言えば、” 和田さんの跡継ぎ “ ですけど 」
七瀬「 ほぉ 」
私「 七瀬さんは何故祓い屋に?」
七瀬「 家系が祓い屋だった、以外に無いね 」
私「 家系…. 」
私「 七瀬さんは私の父、羽澄道春をご存知でしょうか?」
七瀬「 あぁ勿論、知っているさ 」
七瀬「 ….とてもお優しい方だった 」
私「 良ければ、父について話してくれませんか 」
私「 私、何も覚えていないんです 」
七瀬「 私も話したい気持ちは山々だが、」
七瀬「 それは伊吹がもう少し大人になってからにしよう 」
私「 ? 」
母親「 晴人!晴人 ~ !!どこに行ったの!」
私「 七瀬さん 」
七瀬「 始まったね、伊吹 向こうへ式紙を 」
私「 はい。──── …. / ヒラッ 」
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的場「 あ、式紙 」
名取「 という事は、伊吹たちの方か 」
的場「 俺たちは先に仕掛けを終わらせよう 」
的場「 向こうには七瀬さんがいるし 」
名取「 あぁ 」
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母親「 晴人 ~ !!!」
私「 あの、何かあったんですか?」
母親「 え、えぇ。私の息子が居なくなってしまったの!」
私「 迷子、ですか?」
母親「 今日ここに来る前に何度も言いつけたわ 」
母親「 私を見つけられなかったら迷子センターに行くように!」
母親「 でも、迷子センターにはいないらしくて 」
母親「 やっぱり、ここへ来るんじゃなかった…. 」
私「 私達も手伝います、だから落ち着いてください 」
母親「 …. すみません、ありがとうございます 」
七瀬「 どこで居なくなったことに気づいた?」
母親「 えっと、確か…. 」
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私「 …. 」
七瀬「 まぁ、我々に1番深い場所だな 」
私「 そうですね 」
【 お化け屋敷 】
的場「 お待たせしました 」
七瀬「 遅い、何をしていたんですか?」
的場「 色々と仕掛けをね 」
名取「 ここで母親が子供を見失ったと…. 」
七瀬「 あぁ 」
七瀬「 1度、入って中を確認するべきだと思う 」
的場「 ですね 」
的場「 何か面白い仕掛けがあったら発動するかもしれませんし クスッ 」
名取「 ….伊吹、これを 」
私( 紙人形….?)
私「 成程、仕掛けが発動するといいですね 」
名取「 ほら、手 」
私「 ? ….何故?」
名取「 可能なら、そんな事態にはさせたくない 」
私「 優しいですね、周一さん ニコッ 」
私「 でも今回は遠慮しておきます 」
名取「 ….そうか 」
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的場「 思ってたより明るいですね 」
七瀬「 我々が暗闇に慣れすぎているのかもしれませんよ 」
的場「 あはは ッ 、まさか 」
私( お化け屋敷ってこんな感じなんだ )
私( やっぱり遊園地も初めて来たって言えばよかったかも…. )
オバケ 「 バァ ッ!!!!」
私「 わ ッ !!! / ビクッ 」
名取「 おっと 」
名取「 ….大丈夫か?」
私「 大丈夫です / バクバクバクバク(心臓) 」
名取「 ふ、あはは ッ 」
名取「 手、繋ぐか?」
私「 いえ、結構です …. 」
ギュッ / 服の裾を掴む
私「 これは許してください 」
名取「 はいはい 」
・
・
・
・
的場「 あれ 」
七瀬「 これは ….どっちだ?」
的場「 今までの一本道が複数に分かれた、か 」
名取「 何かヒントはないでしょうか 」
的場「 探すしかないですね 」
私( ん?)
私「 何だろ、この小さな隙間…. 」
私( 私ならギリギリ通れるかな、よいしょっと )
ガシッ
私「 へ ッ 」
名取「 あ、この道らしいですよ 」
的場「 チラッ / 何だ、覗けば分かりましたね 」
七瀬「 ….おや?伊吹はどこだ?」
名取「 え?」
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私「 ここ、何….?」
?「 お姉ちゃん、だれ?」
私「 ? 」
慣れた暗闇に見えたのは、小さな男の子が部屋の隅に座っていた姿だった
私「 私は伊吹、君は? 」
?「 ….晴人 」
晴人「 お母さんが迷子になっちゃったの 」
私「 違う、君が迷子になったんだよ 」
私「 晴人くんもお化け屋敷に入ったの?」
晴人「 うん 」
私( じゃあ、私と同じ扉を通って…. )
晴人「 お姉ちゃん、ここどこ?」
晴人「 お母さんに早く会いたい 」
私「 ….そうだね、私もだよ 」
私( お母さん、か )
私「 あれ、さっきの扉がない 」
私( 確かに後ろにあったはずなのに )
晴人「 僕も探した、でも消えてて 」
私「 へぇ 」
私( 神隠しもどき 、子供が消える仕掛けは分かった )
私( 次はどうやって外に出るか )
ガチャッ
私( 誰か来る….!)
私「 晴人、ここで寝てるフリをして 」
私「 絶対に目を開けない 」
晴人「 え?」
私「 早く 」
晴人「 ….うん 」
?「 お、2人いるな 」
?「 どれどれ?」
私「 おじさん、誰?」
逆光で顔は見えないが、これは恐らく 人間 。
?「 そんなことはどうだっていい 」
?「 さぁ、こっちへおいで 」
私「 ….知らない人にはついていけないよ 」
?「 外に出れるよ?いいのかい?」
?「 おや、君…. 」
?「 祓い屋と一緒にいたガキじゃないか 」
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見知らぬ部屋に入り、伊吹は 神隠しもどきの元凶らしき人物と対面 。
この人物の目的とは__?
何故祓い屋を知っているのか__?
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コメント
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遅れちゃった!伊吹ちゃんが怖がってたの可愛すぎる!続きが楽しみ!!