ふと空の魚っぽい雲を見て空架ぐち逸は考えた
無性に刺身が食べたい
ロスサントスという町は、とても面白く、食べ物にしても個性豊かで味も上質なものが多く楽しいが刺身に触れる機会が余り無い
出身がジャパニーズな空架は己の記憶はなくとも食の知識はしっかり覚えている
まさに食に貪欲な日本人らしい事だ
つまりは彼は日本食に飢えていた、それはそうだ
彼が昨日食べたものは、ホットドック、甘い生地のハンバーガーそして味の濃いケン○ッキーにメイプルシロップがかかったもの、そしてコーラに業務用のバニラアイス
そして868の皆さんと映画を見た際のチュロスとポップコーン
まさに、アメリカン
普通の人ならノックアウトする量、胃もたれに悩まされるであろう重さだか、侮るなかれ
彼は食べる量だけは適合しているしなんなら普通に越えている
ルーティンのように毎日、毎日食べ続けた結果
飽きてしまったのである
なんだか急に日本の味がちょっぴり恋しくなってしまった空架だか、急に刺身が食べられるという旨い話はない
そんなことを考えているうちに雲は別の姿へ形を変え、風に流されている
「えっ?ぐち逸どうしたん?こんなところで」
大きな車に乗った伊藤刑事だ、ここは海沿いの一般の道路、誰がいてもおかしくないはずだ
きちんと端に止め、ふと黄昏ていただけ
なんだ?やんのか?俺の鎮静剤が火を吹くぞ?
「こんなところでって普通の道路ですけど?なんなんですか?」
「いやいや違うって!、なんでそんな喧嘩腰?
ただ何をやってるのかなー?って来ただけじゃん」
ここの警察は暇なのか?とむっとしてしまうが、きっと俗に言うチルタイムとやらなのだろう
こちらの通知も全然鳴らない
「いやただ黄昏ていただけです、なので帰っていただいて結構ですよ?」
ぐち逸冷たい!とわめく彼はそういえばと話を勝手に続ける
「ぐち逸さえ良ければなんだけど、魚貰ってくれない?いっぱいあるからさ」
「魚?なぜですか?」
「いっぱい貰っちゃってさ、今日取れたて新鮮だから今渡すねはい」
「いやいるとは、まあ貰えるものは貰いますけど」
どうやらそういう話らしい
なんなら押し付けに回っているようで引き取り手に困っているらしい
勝手に手荷物検査をしたかと思いきや大量の魚を隙間に積めてくるし
本人の車から大量の捌かれた魚とにらめっこして私の車に勝手に積んでいく
本当に警察か?この人
勝手にパンパンに積んだことに満足した伊藤刑事は
んじゃまたなー!とすたこらさっさと逃げようとしたので刺しといた、2本ほど
それが勝手に漁った報いだと思って反省して欲しいものだ
背後に聞こえる怒号を無視をしてマンションに帰る
これだけあれば、868さんの分にもなるだろう、成瀬さんと芹沢さん紫水さん辺りは名前的に日本人ぽいし
刺身をほっしているに違いない
〈刺身食べる人いますか?〉
〈食べる食べる!何?食えるの?〉
〈おー?刺身?ここで食べれるの?〉
〈ぐち逸さんもペインさんに貰った感じですか?〉
〈食べたい人マンション集合で〉
どうやら刺身パーティが始まるようで
他の方数人もペインさん達に貰ったらしく
刺身のラインナップは
マグロにサーモン、ハマチにブリ、タコ、イカなんだったらカツオもあった季節感はどうなっているんだ
包丁を握り、バニさんと魚を捌いていく
もう適当に一口大に捌き、ゴハンを炊き準備する
貰っているお返しに美味しい物をたべていただこう
「んじゃ、みんなで食うか!ケイン~!ご飯炊けた~?」
「無事炊けてます」
「よし!刺身たべるぞー!」
にっこりとみんなの肩に乗った兎は、行く末を見守っている
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