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第2話:コラボカフェ作戦実行へ
黙ってコラボカフェに行くといっても、見知らぬ大都会の地に一人で足を踏み入れるなんて馬鹿なことはしない。友達についてきてもらうのは決定だ。でも、二人だけではもし何かがあったらと考えると、安心できない。
なのでここでインターネットの力を使う。SNSで、私たちのようにコラボカフェに行けなかった人達を集め、コラボカフェ黙って行こう!の会を作る。その投稿は、私の相互フォローの人しか見れないようになっているので、名前もどんな性格なのかも知らない人が紛れている可能性はない。その投稿をすると、10秒後ぐらいにすぐ返信がついた。早いのは嬉しいが、早すぎると逆に怖い…
集まったのは7人。その人数しか集まらなかったというより、そこで私が受付を終了した。人数が多すぎても困る。 その7人の中に一緒に行く友達は当然入っていて、「作ってくれてありがとう!」とまで言ってくれた。
その友達の本名をバラしてはいけないのでアカウント名、「にゃこ」と呼ぶ。本名は猫橋麗(ねこはしうらら)といって、学校一ぐらい美少女だ。だから、実在する人物で好きな人がいないのはちょっと勿体ないと思う。でも麗は「三次元より二次元の人の方がいい人が見つかるんだぁ~」と言っていた。それは私も同感だ。
7人の合う日程を決め、どこで集合かも決定した。そういえば、ネットで知り合った友達と会うのは今回が初めてかもしれない。メイクを頑張ろうか、どういう髪型にしようか、どの服を着ていくか。あと二週間もあるのに楽しみでしかたなかった。
コラボカフェ作戦実行当日。
いつもの休日は、早くて8時起床だったが今日は気合を入れるので、6時に起きてしまった。 待ち合わせ時間は、10時なので、まだ4時間もある。早く起きすぎたかなと一瞬思ったが、私はほとんどメイクをしたことがないので、4時間で丁度いいかもしれない。携帯を横に立て、鏡の横にセットして『メイク 簡単』と調べておすすめにの一番上に出てきた動画を参考にしながら鏡と向き合う。お母さんには、学校で勉強会があるからと言っておいた。勉強会なら、今まで何回かは行ったことがあるのであまり怪しまれなかったと思う。
目的地に着いた。電車で約二十分位だったので、ちょうどいいくらいだ。コラボカフェの待ち合わせ場所に行くと、先に麗が来ていた。遠くから見ても相変わらず美少女だ。学校でメイクはしてはいけないので、より一層美しく見えるのだろう。私が麗の隣にならんでいいのか不安になってきた。それに麗も私と仲良くするのが嫌なんじゃんないかという考えが頭をよぎったが、麗は優しい。し、嫌いだったら私と5年も仲良くはしていなかっただろう。と自己解決した。
そして私は麗の元へ向かう。あと13mぐらいのところで麗は私に気づいて、こちらに手を振っている。
「蓮華ちゃん、めっちゃ可愛いよ!!」
と麗は言う。
「いや、麗の方がめっちゃ可愛いよ。」
と、付き合いたてのカップルのような会話をする。すると、私の相互フォローの『ねむぃ』というネッ友らしき人がこっちに全速力で向かってきている。なぜ彼女がわかるのかというと、ねむぃはよく自撮りをアップしている。なので、「はるくんのコラボカフェコーデはお洒落系にしてみた♡」という投稿がタイムラインに乗っていたから今日どんな服で来るのかは一応知っている。
「やっほー!ねむぃです~えと、君がうたちゃん?」
違う。逆だ。ねむぃが聞いたのは麗の方。まあわかるはずもないか、一回もあったことないし そもそも、『うた』というのは私のSNSアカウント名だ。そういう名前になりたかったというわけではない。それしか思いつかなかったからだ。麗の『にゃこ』もそう。麗の苗字が猫橋だから、にゃこになったそう。
「違うよ~私はにゃこで、この隣の子がうた!」
麗がしっかりと正しいことをねむぃに伝えてくれた。
「君がうたちゃんか!コラボカフェ黙って行こう!の会作ってくれてありがとうね」
「いやいや~、それほどでもないよぉ!ねむぃちゃんも何かコラボカフェに行けない事情があったのかな?」
と私が普段絶対言わないような口調で話すので、麗が目が飛び出しそうなほどまん丸に目を開けて私を見ている。
「それがさ~、うちの親、夫婦喧嘩中なんだよね~だから今『コラボカフェ行きたいんだけど』って言ったら空気読めない馬鹿みたいじゃん?」
「そっか~それは可哀想…」
と麗。そうか、親に断られただけでなく、空気を読んで行けなかったという場合もあるのか。すると携帯からブーと通知音が鳴った。開いてみると、それはSNSのダイレクトメッセージで他の参加者が「もう店内入ってるよ~」という報告だった。
「ありゃ、ここが待ち合わせ場所だったのにね~」
グループメッセージだったので、麗とねむぃにも届いていたらしい。それを確認したねむぃが苦笑いをしながら携帯を見る。
「ならもうお店入っちゃおうか」
と私が二人に提案した。早く店内の涼しいクーラーの風を浴びたいのだ。
「うん。そうしよう」
と麗も賛成したので、さっそく店内に入る。もう、心臓がはちきれるぐらいわくわくしていたんだろう。