テラーノベル
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episode #10 start
┈
西畑大吾side
……おかしい。
どう考えても、
俺が謙杜を監禁したはずやのに。
今、
この家で
自由がないのは俺や。
家にいる間、
手首にはずっと冷たい金属。
——手錠。
外出?
できる。
ただし、
謙杜と一緒なら、や。
「……なぁ」
ソファで並んで座りながら、
鎖の音が小さく鳴る。
「俺が」
「誘拐犯やったよな?」
「はい」
即答。
「でも今」
「縛られてるの俺やんな?」
「状況が変わっただけです」
淡々と。
(……強い)
┈
きっかけは、
些細なことやった。
外出中、
知り合いに声かけられて、
ちょっと長く話しただけ。
帰宅して、
玄関閉めた瞬間。
「——大吾くん」
低い声。
振り向いたら、
謙杜、
笑ってへん。
「約束」
「守れませんでしたね」
「……あれは」
言い訳、
途中で止まる。
視線、
外せへん。
「上、脱いでください」
(……来た)
「謙杜」
「拒否は」
「できません」
静かに、
確定事項みたいに。
言われるがまま、
シャツを脱がされ。
次の瞬間。
——きゅ。
縄。
腕、
固定。
位置、
壁際。
(……完全に)
逃げ場、
ない。
「……謙杜」
声、
震える。
「嫉妬、しました」
耳元。
囁く距離。
「俺が」
「見てないところで」
「大吾くんが」
「誰かに取られそうになるの」
首筋に、
指。
なぞるだけ。
触れへんのに、
ぞわっとする。
「……やめ」
「質問します」
被せられる。
「俺の前で」
「他の人、優先しますか」
「……せぇへん」
「即答できない理由は?」
「……」
横腹に、
ゆっくり指。
くすぐるみたいに、
でも逃げられへん。
「……っ、やめろ」
声、
情けない。
「泣きそうですね」
「泣かへん」
「目、赤いです」
……くそ。
悔しいのに、
涙、滲む。
「……大吾くん」
少しだけ、
声が柔らぐ。
「俺」
「一線、越えません」
「でも」
耳元。
「逃がすつもりも」
「ありません」
——はっきり。
(……完全に)
(監禁されてるの、俺や)
縄が解かれて、
手錠だけに戻る。
謙杜、
正面に立って。
「外、行きますか」
「……行く」
「俺と一緒で」
「……分かってる」
その返事に、
満足そうに頷く。
歩き出す時、
指、絡められる。
「——大吾くん」
「ん」
「もう」
「立場、分かりました?」
……分かりすぎるくらい。
俺が閉じ込めたはずの男に、
いつの間にか。
心ごと、囲われてた。
いつしか思う……
この日常は、
いつまで続くのだろうか。
謙杜との恋はいつまで続くのだろうか _ 。
┈
episode #10 finish
𝐅𝐢𝐧…❤️💛𓈒 𓏸
コメント
1件
こういう感じのやつ大好きです‼️✨️