⚠︎注意
・iris 水桃 BL
・学パロ
・水、桃、青、赤による四角関係です
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🍣side
俺、内藤ないこ。
同級生のりうらに片想いをして早1年の高校生である。
お昼の時間になった教室、生徒たちが他のクラスへ流れていったことで人は少ない。
俺はというと、りうらと一緒にご飯を食べようと誘う勇気も一向に出ず、いつも通り友人と弁当を食べている。
💎「ないちゃ〜ん、聞いてるー?」
この水色髪はいむ。
唯一心の通じた親友であり、また恋バナ友達である。
こいつは俺と同じように、同級生のいふに片想いをしている。
🍣「はいはい、聞いてるよ。」
💎「雑…まあいいや、それでさ、体育の時間にいふくんがね──」
今日はいむの惚れエピソード大会らしい。
正直、いふの幼馴染である身としては全く恋愛感情を持てないので、そんなことでも好きになるのかと最早感心するレベルである。
💎「はースッキリした!ないちゃんは何かないの?」
🍣「俺は……最近は特に進展ないかな。」
💎「つまんない。勇気出しなよ!」
🍣「どの口が言ってんだ…」
💎「僕は今日休み時間に話しかけたもんね!」
🍣「結構適当にあしらわれてたけどな。」
💎「うっ……これからだもん!」
🍣「まあ確かに、あいつ今フリーだし。」
適当に雑談しながら、心の底ではこいつのことを羨ましいなと思ってしまう。
だって俺はそんな勇気出せないし。
適当にあしらわれでもしたら1週間くらいは落ち込む自信あるし。
頑張って、失敗しても前に進めるの、いいな。なんて。
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しかし、そんな俺たちにも転機が訪れた。
🐤「ねぇねぇ、ほとけっち。」
💎「んー?何?」
🍣(りうら…今日も可愛い…好き…)
🐤「今日さ、一緒にご飯食べない?」
🍣「はぁっっ!?」
💎「なんでないちゃんが先に声出てんのw」
🐤「ないくんも来る?まろも一緒で良ければ。」
🍣「……!!いい、全然良い!」
🐤「食いつきすごw」
りうらから(オマケ程度っぽいけど)ご飯のお誘いなんて、明日地球がひっくり返ってしまうんじゃないだろうか。
おまけにいふもいるなんて、いむの恋の進展もありうるのでは…!?
りうらが去ってからいむの方を見ると、彼も嬉しそうにこちらを見ていた。
🍣「めっちゃ、大チャンス…!」
💎「だよね!?ちょっと、寝癖ついてないか今からでも確認して!!」
🍣「寝癖あんま気にしないでしょ〜w」
でも好きな人の前で寝癖を気にする気持ちは痛いほどに分かるので、ちゃんと綺麗に整えてあげた。
いむも笑いながら俺の髪を直してくれた。
こうしていむとドキドキする瞬間を共有している時がなんだかんだ1番楽しい気もする。
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🤪「あ〜、きたきた。」
🐤「この辺適当に座って良いよ〜」
💎「…失礼、します。」
🍣(なんで敬語…w)
流石に初めから好きな人の隣に…だと心臓がもたないので、いむの隣に腰掛ける。
🐤「じゃあ早速食べちゃお。」
🍣「いただきます!!」
💎「ないちゃん声デカいw」
🤪「ないこ昔っからよう食べるよなぁ。」
🍣「…デブって言いたいの?」
🤪「ちゃうってwいっぱい食べる人ってなんかええやん。」
🍣(…)
横を覗けばいむが少し不安そうな顔をしていたので、俺は慌てて話題を逸らす。
🍣「そういえば、いむの弁当めっちゃ可愛いね?」
💎「…!そう、僕自分で作ってるんだよね!」
これは我ながらナイスパス。
いむは毎朝自分で弁当を作っているのだ。
いふに少しでも好印象を抱かれたいと言って料理を始めていたが、今となってはいむの趣味の一つとなっている。
🤪「へー…美味しそうやん。」
💎「でしょ!//」
🍣(嬉しそうなの隠しきれてないよ…可愛いw)
🐤「めっちゃ美味しそう、なんかちょーだい。」
💎「…へっ!?」
🍣(は!?!?)
…危ない、また俺が叫び出すところだった。
🐤「ほら、その卵焼きでいいから。」
💎「え〜?しょうがないな…」
🐤「あーん。」
💎「……あーん、」
目の前で鮮やかな黄色がりうらの口に吸い込まれていく。
そしてりうらは本当に幸せそうに卵焼きを噛み締めた。
🍣(まぁ…俺はりうらにあーんしてもらえればいいから!)
これはいむの完勝だ。(戦ってないけど)
俺も手作り弁当の練習とかしとけば良かったなぁ。明日からでも頑張るか。
りうらを見ていたら俺も欲しくなってしまって、いむからウインナーを一個もらった。
いむは俺にもあーんをしてくれて、めちゃめちゃ香ばしくて美味しかった。
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しばらくしたら弁当も全て食べ終わってしまって、これはチャンスでは…!?という思いと共にりうらの弁当をじーっと見つめてみた。
もちろんりうらの弁当の中の何かをもらう策略だ。
🐤「…何ないくん、もしかして狙ってる?w」
🍣「まぁね。」
🐤「うーん、でもりうらはあげませーん!」
🍣「な、なんだと…」
作戦失敗。意外とりうらも食には貪欲らしい。
🐤「まろから貰いなよ。」
🍣「えー。」
🤪「えーってなんやねん、失礼やな!」
🍣「いふの弁当には食べたい物入ってない。」
🤪「どうやろな〜?」
別に全く興味は無かったけど、まろの弁当をちらっと見てみた。
そこには俺の大好物のコロッケの姿が。
🍣「………!!」
🤪「…コロッケやろ。」
🍣「なぜバレた…」
🤪「何故も何も、ずっと好きだったやん。」
🤪「いる?」
いむには申し訳ないけど、ここは譲れない。俺のコロッケが懸かっている。
🍣「…いる!」
🤪「素直やな。そんな偉い子には、はいどーぞ。」
🍣「…」
🤪「…」
🍣「え?くれるんじゃないの?」
🤪「おん、やから口開けて。」
🍣「はぁ?」
🤪「ほら早く〜」
何言ってるんだこのバカたれは。俺の横にいるいむの顔が見えんのか?
とは言ってもいると言った手前引き下がれない。かくなる上は…
🍣「自分で食べれるし!」
俺はそう言っていふの箸に挟まれたコロッケを素手でぶんどった。
💎「!」
🤪「うわ!?何すんねん!俺のコロッケなんやぞ!」
🍣「これはもう俺のモノです〜」
💎「ないちゃん、手汚れちゃうよ。これで拭きな?」
いむは先程まで悲しそうな顔をしていたにも関わらず、俺の行動を見てすぐさまウェットティッシュを取り出してくれた。
本当に良くできた友人である。
🍣「ありがとう、感謝。好き。」
💎「これくらいでそんなこと言わないでよw」
マジで良かった、あーんを回避できて。
りうらにしてもらえなかったのは悔しいけど、それ以上に大切な友人であるいむを傷つけてしまうことだけは避けたかったから。
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💎「今日やばかったね!」
🍣「色々とね…。」
帰り道、同じ方向へ向かう電車の中で俺といむの密会が開催されていた。
🍣「…でも、なんかさ。」
💎「?」
🍣「ちょっとすれ違ってたなぁ…って。」
💎「…それ僕も思った。」
🍣「いむはまだありそうな感じしたけど、俺はもう無理かも…」
💎「そんなことないよ!僕だって最初あんな感じだったもん!」
🍣「そうかな…。」
💎「そうだよ!」
🍣「…」
💎「…じゃあ、今日は僕ん家でパーティーしちゃお!」
🍣「何のパーティー?」
💎「えっ、うーん……『初めて好きな人とお食事記念日』?」
🍣「ながっ。しかもそのまんま過ぎるし。」
💎「じゃあ〜、『お食事記念日』で!」
🍣「…いいねそれ。」
💎「…!、そうと決まったらおやつ買いに行こ!」
🍣「うん。」
そうして、その日はいむの家で盛大な慰め会をしたのだった。
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半年後
🍣「やっほーいむ。」
💎「あっ、ないちゃんやっと来た〜。」
🍣「ごめんごめん、移動教室だったから。」
『お食事記念日』から約半年、俺たちは違うクラスになってしまったものの、こうしてお昼の時間には毎日集まって話をしている。
💎「突然なんだけどさ〜。」
🍣「お、今日なんかあったか?」
💎「あのさ、」
💎「………僕、いふくんのこともう好きじゃなくなったかも。」
🍣「……え、」
驚いた。
いむがいふに冷めたことにではなく、俺も同じだったからだ。
💎「ごめん、言い出せなくて…。」
🍣「全然大丈夫。ってか、俺も実は最近そんな感じで。」
💎「えっ!?」
🍣「脈なさすぎて段々どうでも良くなった…的な……?」
💎「僕もそんな感じ!まじか〜、ここまで一緒とはw」
二人して笑い合う。ここ最近で一番笑った気がする。
一頻り笑い終わって、また別の話題を始める頃にはもうお昼は食べ終わっていた。
💎「そういえば、もう一個話したいことがあるんだけど。」
🍣「ん、今度は何?」
💎「僕さ、」
💎「ないちゃんのこと、好きかも。」
🍣「…え、」
今度は本当に驚いて、思わずいむを見つめる。
たっぷり5秒は見つめ合って、けれど鼓動の高鳴りは感じられなかった。
🍣「……ごめん、ドキドキはしないけど。」
💎「うん、僕もそう。けどさ、だからこそ…信頼し切ってるからこそかなって。」
💎「僕、ないちゃんといる時間が一番楽しい。っていうか、幸せ。」
🍣「それは…俺もそうかも。」
💎「…っほんと!?」
🍣「でも好きかどうかは…」
💎「うん、分かってる。」
💎「だからさ、1週間だけ擬似カップルしない?」
🍣「……まぁそれならいいよ。楽しそうかも。」
💎「よし!絶対に付き合いたいって思わせるから!」
実際、それは思っていた以上に良かった。
平日は帰り道に肉まんを買って一緒に食べたりして、沢山の時間をいむと過ごした。
休日には俺がずっと行きたかった遊園地に連れていってくれて、一日中遊び尽くした。
初めてこんな楽しさを知ったという意味では、間違いなくこの1週間が俺にとって一番最高だった。
俺はその1週間が終わってすぐ、OKの返事をした。
『好き』というよりは、その時すでに俺たちの中には愛が生まれていたんだと思う。
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🤪side
🤪「あ〜、あの時のコロッケが悔やまれるわほんま…」
🐤「まだ言ってんの?とっとと告白すれば良いじゃん。」
🤪「そういう訳にもいかんやろ。」
いつもと変わらない昼下がり。俺は友人のりうらと恋バナに花を咲かせていた。
何を隠そう、この俺は幼馴染のないこのことが好きだ。
脈なし…ということもないけど、明らかに俺よりはりうらに肩入れしている感じがある。
🤪「振られたらマジで格好付かんし…」
🐤「まーないくんはりうらのが好きそうだもんねw」
🤪「くっそマジでお前…、」
🤪「てかそういうりうらはどうなん?」
🐤「…まぁ、最近あんま話せてないんだよねー。」
この赤髪は、隣のクラスのほとけとかいう奴のことが好きだ。
彼が可愛い系なのは認めるが、断然ないこの方が可愛いと思う。
りうらには口が裂けても言えないけど。
🐤「っってか!!!」
🤪「うわっ」
自分が考えていたことが口に出てしまっていたかと焦ったが、次の言葉でそれは杞憂に変わった。
🐤「最近いむとないくん仲良すぎじゃない!?!?」
🤪「あー……まぁそれは俺も思った。」
🐤「お昼だって一緒に食べてくれなくなったしさ!許せないんだけど!」
🤪「…じゃ、また明日一緒に食べるか誘ってみる?」
🐤「…やるしかない。」
かくして、俺たちの恋の大作戦は熱く燃えるのだった。
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🐤「ねぇ二人とも。今日一緒にご飯食べない?」
🍣「いいね!いむはどう?」
💎「全然良いよー!屋上行こっか。」
4人で屋上に向かって、あの日と同じように座る。
🤪「なんか久しぶりやなあ。」
💎「3ヶ月くらいかな?」
🍣「思ってたより長いね。」
🐤「…いむは今日も手作り弁当なの?」
💎「…!」
💎「へっへーん、実はね……」
ほとけがパカっと小気味いい音を立てて弁当の蓋を開けた。
中を覗けば、彩り豊かな食材が並んでおり、健康的な印象を受けた。
🐤「すご!!」
🤪「…ふーん。ほとけのくせにやるやん。」
💎「ちっちっち…これは僕の作ったやつじゃありません!」
🐤「は?誰に作ってもらったの?」
🤪(りうら声が急にキレすぎやって…。)
💎「なんとこちら、ないちゃんが作ってくれたお弁当となっておりまーす!!」
🍣「うるさいわ!!//」
🤪「え、ないこ料理うますぎやろ。」
🍣「まぁ…言われる程でも…?/」
めっちゃ照れてるやん。これはいい嫁認定しても許されるだろう。
🐤「…やっぱりさ、最近二人仲良いよね?」
💎「えーそう?」
🍣「別に変わらないよね?」
🤪「いやでも、最近一緒にご飯食べてくれへんし。」
🐤「特にここ1ヶ月とか全然話せてないじゃん、いっぱい話したいことあるのに!」
🍣「1ヶ月前〜…?」
💎「……あ、それってもしかして。」
ほとけがないこと目を見合わせる。
ないこは横顔も美しいなと再認識する。その顔を正面から拝んでいるほとけは場所代われ。
🍣「…あぁ!なるほどね。」
🐤「え、なになに?」
💎「実は僕たち…」
💎「1ヶ月くらい前から付き合ってるんだよね!」
🤪/🐤「……はぁぁ!?!?!?」
好きな人に恋人ができた件。
end
コメント
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4角関係、あんま見たこと無かったけど、いいかも、!今回も最高でした、😭リクエスト良かったらなんですけど、青桃で、監禁を見たいです!次も楽しみにしてます!