テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「はい、確かに。また来月もよろしくね」
その月の最後の授業が終わると簡単な報告書を出しに来る。
このバイトは基本、現地に直行直帰なので、ここへはこの報告の時にしか来ない。なので事務員の人以外とはほぼ面識がない。
「そうか…どうしようか…」
「すみません、急に決まったもので…」
隣のブースは問題発生かな?
「う~ん…あっ、君!」
突然、隣のブースの事務員に話しかけられる。
「え?自分ですか?」
「そう、君。君って水曜日空いてる?」
まぁ今は水曜日は特に何もない。
「はい。空いてますが…」
「短期なんだけど入れないかな?1ヶ月だけ、高校三年生」
高三か…受験対策はな…
「受験対策はちょっと…」
「あの!受験じゃないの。授業のフォローだから特別な準備もいらないし」
女性が言う。へぇ受験対策じゃない?高三にしては珍しいな。
「それならまぁ…場所はどこです?」
ふ~ん、遠くない…1ヶ月だけだし…臨時収入にもなるか。
「わかりました、いいですよ」
「ありがとう!じゃあ詳しい内容や住所はメールしておくから」
「はい、では連絡お待ちしてます」
事務所を出た。
「あの!すみません!」
さっきの女性だ。
「はい?」
「代わりに行って頂く生徒のことなんですけど、驚くことがあるかもしれないけど、余計なことは報告しないでくれませんか?」
ん?なんだろう。
「驚くことって?」
「そんなおおげさなことじゃないんだけど、私、あのうちが気に入ってて。来なくていいって言われると困るから」
来なくていいって言われかねない内容なのか?
「それは…」
「あ、ごめんなさい!ちょっとこの後行かなくちゃいけない所があって。とにかく、余計なことは報告しないでくださいねー」
行ってしまった…
安請け合いしてしまったけど大丈夫だろうか…
水曜日。メールで知らされた家に来た。
事務員さんからのメールには特別なことは書かれてなかったし…まぁとりあえず会ってみるしかないか。
インターホンを押す。すぐに応答があった。
「はい」
「家庭教師で参りました。加賀美先生の代理の…」
「はい!伺っています。今、開けますね」
少ししてドアが開かれる。
「ようこそ、短い間ですけどよろしくお願いいたします」
「こちらこそよろしくお願いいたします」
上品な奥様だった。
「早速紹介しますね、こちらへどうぞ」
「はい、失礼します」
階段を上がり部屋に案内される。
「沙樹ちゃん、先生がいらしたわよ?」
「は~い」
お母さんがドアを開ける。
お、ちょっと広い、かわいらしい部屋だ。
「あ、男の先生!」
「こら、失礼でしょ?」
「よろしく、藤沢さん」
「先生~、ママも藤沢さんなんだから、あたしのことは名前で呼んでください」
お母さんを見る。
「そうしてあげてください」
困ったような顔で笑っている。
「では、沙樹さん?よろしく」
「よろしくお願いしまーす!」
第一印象は元気な子、だった。
「では私はお勉強中は下におりますので、何かありましたらお声掛けくださいね」
そう言うと階下に降りていった。
さて、どれくらい説明を受けているのかな?
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!