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5月10日____
最初の頃と違い最近は眠れる事が増えた。
アイツも俺はもう逃げないと分かったのか外に出る扉以外のドアノブには電流を流すのを辞めたみたいだ。多分前俺がたまたまドアノブを触り電流が流れ痛がってる姿を見たからそうしたのだろう。
触れた手も後で治してくれた。
てかなんでお前は触っても流れねぇんだよ。
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時計の秒針が進む音がする。
俺達はリビングのソファに並び、アイツは仕事中なのかパソコンを叩き、俺は読書をしていた。ずっと家に居るから何か暇つぶしできるものはないかと解放された他の部屋に入り漁ってた所を部下に目撃された昨日。それを伝えてくれたのかジュリア・フィリップスの『消失の惑星』という海外小説をもらった。話の内容は難しいが読めば読むほど惹き込まれていき時間を潰していった。
(ピーンポーン…
そんな時間を過ごしていると誰かが来た。ここに来てから初めての来客になる。
🍍「ッ…誰?」
📢「…知らん、同僚の奴か…?」
アイツが言うにはここのマンションに住んでる奴らは全員マフィアらしく設備も整備されているし敵や怪しい奴、外からの来客をエントランスに通す事はまず無いらしい。となると仲間の奴らしかいないと推測される。アイツは立ち上がりインターホンを確認する。
📢「………ッ!?」
インターホンを見たアイツは見た事ない嫌そうな顔をしこっちに戻ってきた。
🍍「…?どうし___」
📢「ッなつ、すまん…」
そう言うと俺の腕を引き俺の部屋に連行する
🍍「ッちょっ…どうしてッ…!」
📢「しばらくここにいてくれ、鍵かける」
そんな事を言って部屋から出ていく。ついでに鍵も閉められ俺は監禁された。いきなりどうしたものかと困惑する。でもさっきあんな顔をするくらいなら本当に会わせたくない相手なんだろうと察して俺は自分のベッドに座り本の続きを読むことにした。
「いっるましぇん”しぇ”ええ”え”ええ”ええ”えッッッ!!!」
🍍「…….?!」
「元気にしてたかあ”あ”ッ!?!?相っ変わらず無ッッ頓着な部屋だこと!!!」
本を読もうとすると甲高い女性の声がした。隣の部屋まで聞こえ耳がキーンとする。普通にディスってくるから多分同僚なんだろう。それほど仲が良いんだろうか…
📢「うっせぇな黙れよ前髪モッピーが」
あっ不仲っぽいなこれ。ていうか前髪モッピーってなんだよ聞いた事ない単語だな
「いるませんせーに会いたくて来ちゃった♡」
📢「きっっしょ」
「おいきしょい言うなよひでぇな」
そんな2人の会話が嫌に聞こえてきて本に集中できなかった。いや本を読むより会話の方が面白いんじゃないかと思い始め悪いと思いつつ好奇心で扉の前まで行き聞き耳を立てた
📢「んで、なんの用だよ」
「んふふ〜♡俺ってば天才っ!敵本部の情報をゲットしたんだ〜」
📢「へー(棒)」
「ちょっ…本当に大事なんだからっ!」
📢「へーへー、んでなんだよ?」
「ったく…まず前話したある軍団が毒薬をオークションして購入者を殺害したり奴隷を使っての実験が行われていた事は聞いてるな?」
📢「あぁ、そいつらは捕まったがまだ奴隷共は行方不明なんだってな」
「うん、口を割らない奴らばっかで拷問をして何とか言わせて情報を集めてこっちでトラッキングをした。」
📢「…誰か分かったのか?」
「西側のファミリーのベクトリア・カポ」
📢「…は?その人昨年に俺らのファミリーとの交流があったよな?俺らみてぇな下っ端相手にも陽気だったじいさん」
「特にいるま気に入られてたよな?w あまりにも笑わないからってだる絡みしてw」
📢「……嘘だろ?あの人が?」
「俺も思ったよ。でもベクトリア・カポは何もしていなかった。」
📢「……ん?」
「…俺らの知らない所でもうひとつのファミリーができてたんだ。今さっきこっちに宣戦布告の手紙が届いた。」
🍍(…ガチやん……)
なんか来た人は聞いた感じヘラヘラしてそうで仕事の話の内容も『今日はコイツ殺せ』とか『これ調べとけ』とかそう言う簡単なものかと思っていたのに。まさかの本格的な話し合い… 全然関係ないからだろうけど言ってる事が分からない。
🍍(…てか……)
なんで俺はアイツに攫われた…?
仕事のため?人質?それとも___
「…そういえばお前家空けることが少なくなったよな?」
📢「…それがなんだよ」
「え〜?だって____」
「遊びで女抱いてるじゃん?」
🍍「___ッ……」
「お前性欲強いし女にモテるしさ?俺も部下もお前が外で女とホテル入るとこ見てるし」
📢「…ストーカーかよ、お前ら」
…そっか、アイツにとって俺は性処理道具としか見てないのか。ずっと優しくしてたのも全部俺がここから出て行かない為に…
聞かなければ良かった。そう思い俺は扉から耳を離しベッドに戻って本を読もうとした。
📢「……大切にしたい奴ができたからな」
🍍「ッ…」(ピタッ
「…え?え??お前恋人できたん??」
📢「恋人じゃねぇけど…離したくない奴」
……俺の…事…?
🍍「ッ…/////////」
…なんで俺、顔赤くなんかッ…
🍍「っひッ…!??」(バタンッ!
📢「ッ!?らんっ!!!」
「…なーんかたまに人の声聞こえんだよね〜?」
俺は思わずびっくりして倒れてしまった。銃弾が扉を貫通したのだろう、頬に何かがかすり、痛くて触ってみれば手が赤く染まっていて。驚いて固まってる時、後ろから部屋のドアが開いた音がした。
「……君、だれ?」
後ろを振り向けばアイツじゃなくて黒髪に前髪だけピンクで右耳に花札みたいな桜のピアスをぶら下げた男が立っていた。男の右手には先程撃ったであろう拳銃が握っていた。男はまるでゴキブリを見下すような目で俺の事を見ている。
🍍「ッ…ご…ごめっ…なさッ」(カタカタ
「謝って欲しいんじゃなくてさ?お前は誰だって聞いてんの。」
🍍「ッぁ…ぇ…えっとッ…」
「…お前、まさか敵陣の奴じゃ__」
((カチャッ…
📢「…そいつから離れろ」
「ッ……!」
耳飾りの男の後ろには拳銃を構えたアイツが立っていた。表情からも声からも分かりやすい怒った姿に怯みそうになる。男はそんなアイツにも動じなく自嘲するように話し始めた
「…いるま?こいつは誰?」
📢「……」
「教えないとこいつ撃つよ?俺、別に死んでもいいしっ 」
そんな事を言いながら俺に銃口を向ける。でも俺はそんな事よりいつ死を直面しても良いような暗い顔をし悲しそうに笑う男を見てしまい
🍍「ッ!!だっ…めッ…!」
思わず本音を言ってしまった。
「……ッえ…?」
🍍「…死ぬ…のッ…?」
この男の事なんて分からない。今日初対面だし名前も知らないこの男なんか…あっちだって何も知らない俺が勝手に言ってるようなもんだ
📢「…はぁ…教えるから2人共、来い」
ソファに腰をかけてから数分が経つ。
誰も何も話さないこの空気に逃げたくなる。
「…いるま、早く紹介して?お前の方が知ってんだろうが」
先に空気を切った男は俺を睨みつけながら言った。
📢「…こいつは丹羽那津。カポに許可をくれてここに住んでる」
「…じゃあ敵じゃないんだね?」
📢「あぁ、俺が誘拐した」
「へぇ……え?は?」
まぁそんな反応するわな…
「えっ?お前何してんの!?女の次に男にも手出し始めたん!?」
その言葉にアイツは何も答えない。てか事実だし。無言が1番困る。男もそう思ったのか何も言わなくなってしまった。
📢「…なつ。こいつは桃李瀬蘭」
🍍「…前髪モッピー……」
🌸「なつ君??それは違ぇよ??」
📢「そう、らんa.k.a前髪モッピーな?」
🌸「おい要らんトッピングすんな」
確かに前髪だけピンクで染めてるからいるまがそう呼ぶ理由が少し分かる。というかちょこちょこいじってる当たりいるまって結構ノリが良いんだろう。話してて楽しい。
🌸「…まっ、よろしくね?なっちゃん」
🍍「…よろしくお願いします。らんさん」
🌸「さん付けじゃなくてもいいよ?あといるまに何かされたら教えるんだよ?」
もう手遅れっちゃ手遅れだけど。そう思いいるまを見れば目を逸らした。俺も言うのは嫌な為この事は言わないで置いた。
🌸「あと、さっきのありがとね?」
🍍「さっきの…?」
🌸「死ぬなってやつ。死なないから大丈夫だよ?」
そう言ってらんは微笑んだ。俺に初めて本音で話せる相手ができたと感じた。
コメント
2件
投稿ありがとうございます!! 続きが楽しみすぎます😭