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4、星野エメル
エメルは目の前の人物を見て固まった。
似てる。
「似ている」
エメルの声を聞き、彼は苦笑した。
「似てるって…もしかして、君のお兄さんに?」
エメルが気づくようにわざと言ったことがわかる。でも、確証がない。エメルは確かめるように彼に聞いた。
「私の兄のことを知ってるんですか?もしかして、私が誰なのかも?」
「君、星野エメルちゃんだよね?役者でアイドルで__僕の娘の」
「!」
やはりそうだ。この人は星野エメルの父親だ。…詳しいことは分からないが、母親であるアイの死に関わっているという。
「なんのために、私に…近づいてきたの……?」
「なんのためにって言われても…偶然見つけて、声かけただけだよ」
エメルは鋭い視線で彼を見た。
「嘘だね」
「っ!?」
「分かるよ。私と同じだもん。__嘘つきの目、人を騙すのが得意な目」
彼は固まり、幽霊でも見たような顔をしている。だが、すぐに表情を戻し、「びっくりだな」と呟いた。
「何が?」
尋ねるエメルに、彼は手を伸ばす。
「そっくりだ…」
彼の手は頬から横にずれ、髪を撫でていた。危ない、とエメルの勘が叫んでいる。
「そんなに警戒しなくっても、今は何もしないって」
今は。
その言葉を聞き、エメルは魔力を手に込めていつでも杖を取り出せるように準備をした。それとほぼ同時に、彼の手が口を塞いでくる。エメルはこっそり杖を取り出した。彼はそれに気がついてないのか、更に何かを嗅がせようとしてくる。
エメルは攻撃魔法を彼に向けて放った。
躊躇いなんてなかった。
5、カミキヒカル
不思議な力を使っていた星野エメルに話しかけた時、エメルは固まった。
「似ている」と。
ヒカルは自分が何に似ているのかは大体察しがついていた。僕は笑顔を作り、わざとこう言った。
「似てるって…もしかして、君のお兄さんに?」
エメルが一瞬目を見開いたが、すぐに表情を戻す。そして__
「私の兄のことを知ってるんですか?もしかして、私が誰なのかも?」
確かめるような口調。もしかして、こう言うところはアクアに似たのかなぁ、なんてヒカルは呑気に考えていた。
「君、星野エメルちゃんだよね?役者でアイドルで__僕の娘の」
「!」
「なんのために、私に…近づいてきたの……?」
「なんのためにって言われても…偶然見つけて、声かけただけだよ」
ヒカルは持ち前の演技力で誤魔化そうとした。が、すぐに見抜かれてしまう。
「嘘だね」
「っ!?」
「分かるよ。私と同じだもん。__嘘つきの目、人を騙すのが得意な目」
怪しく光るその目は、どこか彼女(・・)に似ていた。もしかしてエメルはアイなのではないか。ヒカルはそう思ったが、すぐにその考えを打ち消す。いやいや、そんなことあるわけない、と。
「…びっくりだな」
「何が?」
戸惑うエメルに、ヒカルは手を伸ばした。頬を撫で、髪を撫でる。アイに似たこの娘を、今すぐ自分のものにしてしまいたかった。警戒しているのだろうか、エメルの体が硬くなる。
「そんなに警戒しなくっても、今は何もしないって」
そう。今は。
そして叫ばれないよう口を塞ぎ、眠たせるために薬を染み込ませたハンカチを嗅がせようとする。その瞬間__ドンッという衝撃と共に、ヒカルの身体に痛みが走った。まただ。また、エメルが不思議な力を使ったのだ。
遠い昔、図書館で不思議な力についての本を読んだことがある。遠い異国の地では人は魔法という力を使っているそうだ。攻撃したり、修復したり…色々なことができるのだという。
そして、その本で見た杖の形は、エメルが握っているものと全く同じ物だった。
ヒカルの身体からは血が流れ、意識がなくなった。
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