百円玉を二枚
自販機に入れてボタンを押して
出てきたのは茶色で甘くてシュワシュワした
炭酸の飲み物
貴方が好きなものを好きでいたいから
好きでもない炭酸飲料を片手に
大嫌いな喉越しを味わって
そのまま胃の中に流し込む
「あれ、y/nって炭酸苦手じゃなかった?」
「んー?いや……今ハマってるだけ」
「えー?あれだけ俺が昔買ってきた時文句言ってたくせに?まじ?」
「そんな言ったっけ?」
「言ったよ!炭酸は喉越しが気持ち悪くて嫌とか、ガスが戻って鼻がツーンとなるから飲めないだとかさ」
「えー、記憶ない」
「……まぁ、好きならいけどさ」
隣にこうして話しているのは幼馴染の若井
家が近い訳でもないけど
ちょうど若井が学校に行く道の途中に
私の家があるから一緒に歩いていくのが日課
元貴もいるけど
元貴は朝が苦手なのでだいたい置いていく
それでもって遅刻ギリギリにいつも来る
「元貴〜、来たよー」
「相変わらずピンポンでないね」
「これまたおばちゃんに怒られるぞー?」
「いつもごめんねって言いながら出てくるもんね、毎日大変そう」
朝が弱い元貴が
最悪起きなくて学校を遅刻するのを防ぐため
一緒に行けなくてもピンポンを押しに行く
そしてこういう時
だいたい出てくるのは元貴のお母さん
「ごっ……めん!まじ今起きた!やばいっ!」
「俺ら先行ってるよ?」
「ごめん遅れるっ!まじやばいっ!あ、y/nおはよ!若井と先行ってて!」
「あ、うん……急ぎすぎて転ばないでよ」
「はぁーい!」
大森の表札が着く家からは
ドタバタと慌てる音が終始鳴り響いて
そんな家を横目に
私たちは学校に向かった
コメント
5件
大好きだわマジで神
あぁ!素敵な新連載! 楽しみです!