⚠️二次創作、カップリング(Rig x Fall Elseif)、 同棲、英語名の子をカタカナにしてます。
エルセイフはソファに寝転がってぼーっと上を眺めていた。たまに瞬きをして、グレーの天井と電気のついていない照明を見つめている。
何をしようにもやる気が出ない。ダミー共の様子を見に行く気にもなれない。
そんな調子で今は昼過ぎ。先ほどなけなしの気力を振り絞って買っておいた菓子パンを食べただけで、まだ空腹だが動く気になれない。
何もかも面倒になり、一眠りしようと睡眠薬に手を伸ばす…
玄関の扉が乱暴に蹴破られた。咄嗟に背後に目をやる。
リグが般若のような形相で立っていた。そしてエルセイフの方へ歩いて行く。
一瞬たじろいてしまう。
「な、なんだよ…」
すぐ目の前まで来たリグに若干の恐れを抱きつつも、威勢を張るように睨み返す。
リグはしゃがみ、何かと思えば彼は突然エルセイフの頬をむぎゅっと掴む。
「んぁ…???」
リグはすごい剣幕でエルセイフを見つめる。まるで何をしようとしていたのだ、と問い詰めるようだ。エルセイフはため息を一つついて答える。
「何もしたくなかったから…一眠りして時間を飛ばそうと思って…」
リグの眉間のシワが深くなる。
「だって沢山飲まないと眠れないから…」
リグは呆れたようにため息をつくと、玄関まで歩く。そして扉を閉めて鍵をかけた。
エルセイフはそんな背中を見ながら頭にはてなを浮かべる。
すると振り返ったリグがはっきりと言う。
「これからエルセイフと一緒に住むから。」
「は?」
困惑を隠せないエルセイフを無視して台所へ行く。冷蔵庫に大したものはないが、冷凍庫にはいくつか冷食が残っていた。それを取り出して皿に移し、レンジの中に入れて時間を設定しボタンを押した。
まだぽかんとしているエルセイフの横から睡眠薬の入った瓶を取り、棚の奥深くに封印した。
「な、何して…」
ようやく言葉が出たエルセイフを見て、
「これからしばらくは僕がエルセイフのお世話をするから。」
とリグは言った。
「何で…え?僕一人でも生活でき…」
「不安なの。不健康極まりない。」
珍しくよく喋るリグを見ながら、エルセイフはソファに座り直した。
レンジから高い音が鳴る。
リグは立ち上がって台所へ向かい、温まったポテトが乗った皿を持って戻ってきた。エルセイフの前に置いて、フォークを差し出した。
「食べて。」
エルセイフは仕方なく先端でポテトを突き刺し、口へ持って行った。素朴な味が広がる。当たり前だが、菓子パンでは腹は膨れなかった。昼はこれでなんとか持ちそうだ。でも夕飯に何か買わないとな。そう思いながらも、多めに盛られたポテトを胃に収めた。
リグは満足そうだ。
「お風呂」
リグが言う。
「あー、うん。」
エルセイフが返す。
するとリグがエルセイフの服の裾を掴み、脱がせようとする。
「うわうわうわ何してんの!!!」
「お風呂に入る時は服脱ぐでしょ」
「マジでやめろ!!!」
リグは突き飛ばされた。
「お前さ…僕のことガキかなんかだと思ってる…?」
「…僕がいなくてもお風呂入れる?」
「バカにすんなよ、ただのダミーのくせに。」
ため息混じりにバスルームへ向かうエルセイフを見届けて、リグはカバンを持って家を出た。
シャワーヘッドから流れ出る暖かいお湯が、灰色の肌を伝う。頭のチェス盤は邪魔だったから取ってきた。肌よりも暗い灰色の長髪も濡れ、肌に密着する。シャンプーとトリートメントでケアをして、洗い流す。
その間彼はリグのことを考えていた。
突然家に押しかけ、世話をすると言い出す。
こんなんで良いのだろうかと心の中で問いかけた。
玄関の扉が開く音がする。
リグが帰ってきたのだろうと思うが、それ以上でもそれ以下でもない。
お湯を浴びる。
ガラガラと風呂場の扉が開く。
リグとエルセイフは目が合う。
数秒の沈黙の後
「ギャーーーーーーッ!!!!変態!!!!!」
エルセイフは顔を真っ赤にして悲鳴を上げた。いつもの落ち着いた態度とは似ても似つかない。
そして近くにあった石鹸をリグに投げつけた。
「え、わ、ご、ごめん…ここがお風呂場だってわかんなくtいったぁッ…!?」
意図せずラッキースケベを体験してしまったリグは額に石鹸を受けて急いで退散した。
夕食の場でも、エルセイフは依然として拗ねていた。
「ごめんね…お風呂覗いちゃって…」
彼は眉間にシワを寄せ、黙ったまま目の前のスパゲティを食べている。
リグはこれ以上言ってもうざがられるだけだろうと察して、黙ってフォークを動かした。
夜の十時半。
リグに寝るよう促された。
いつもよりだいぶ早い時間だったため、眠気は来ない。睡眠薬も無いから尚更だ。
「はあ…」
一つため息をつく。
リグに隠れてこっそり薬を取りに行くか、なんて考えながらベッドから降りようとすると、寝室の扉が開く。
リグだ。
「え、何。」
ドキッとするエルセイフに接近し、彼をブランケットに押し込むと自分も潜り込もうとする。
「何何何?!おいやめろ!」
リグはきょとんとしている。
「何する気!?夜這い!?」
「一緒に寝ようと思って…」
「何で!?」
無理矢理入ってこようとするリグをどうにか押し返そうと、彼を蹴り飛ばした。
彼の頭がフローリングにぶつかる鈍い音が鳴る。
わずかに息を切らすエルセイフは立ちあがり、部屋を出ようと入り口へ向かう。が、リグが彼の足を掴む。ビクッとして後ろを見下ろす。
「ダメ」
リグは負傷部からオイル一滴すら垂らさずに、まっすぐにエルセイフを見て言った。
エルセイフはしばらく黙り、観念したのか深く息を吐くと、ベッドへと戻った。
結局リグのベッドへの侵入も許してしまい、現在は電気を消した部屋の狭い一人用のベッドの中で、バックハグの状態で密着している。
「…君あったかくない?」
「ここに来る前にお風呂入ったの。」
「ふぅん…」
エルセイフはまだ不服そうだ。
「なんで添い寝なんてしたいの。」
不満を声に溶かして吐き出す。リグは間髪入れずに回答を寄越した。
「そっちの方が安心して眠れるから。」
そしてぎゅっとエルセイフを抱きしめた。
睡眠薬を使わせないための策略だな、と心の中で悪態をつきながら、仕方なくエルセイフは目を閉じた。眠れるとははなから思っていないが、そうしなければリグに怒られそうだった。
「おやすみなさい。」
うなじに柔らかいものが当たる感触がある。ちゅ、とリップ音が小さく鳴る。
エルセイフは顔を顰めた。ついでに頬も染めてしまったが、リグにはバレないように努めた。
あは
シリーズ化…させたい…
怒らないでね…ね…😰
コメント
2件
最高。食べる