テラーノベル
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妄想女は、走って会社に戻って行った。
渡辺はやっと大きく息を吐き、目黒の服の裾を握る。
真っ青な顔をしている。
今にも倒れそうだ。
目黒ー翔太くん、大丈夫?
渡辺ー・・諦めない、あの女。
岩本ー守ってやるから。
深澤ー照、我々もあの女の対象だぞ?
佐久間ー皆んな対象にされてる。
向井ー会社に電話したんやろ?
深澤ー嘘だよ。
岩本ー今のうちに帰ろう。
皆んな、それぞれ車に乗り込み帰って行った。
目黒の家に帰って来た2人。
渡辺はソファに倒れ伏す。
目黒ー大丈夫?
渡辺ー水。
目黒ー待ってて。
ひと休みして、渡辺の顔色も戻ってきた。
笑わない、話さない。
目黒は抱きしめている。
ポロポロと涙が出て来た。
渡辺は小さな声で、「怖い」と言う。
目黒ー守るから。
渡辺ー俺たちのこと、皆んな知るんだ。
目黒ー妄想だと思っているよ。
渡辺ーあの女の妄想通り、俺たちは生きているじゃないか。
目黒ー翔太くんは何が怖いの?
渡辺ー俺たちをそういう目で見ていることが怖い。
目黒ー一部のファンだけだよ。
渡辺ーそれでも!
目黒ーじゃあ、どうしたいの?
渡辺ー分からない。
目黒ー別れるなんて言わないよね?
渡辺ー言わない。
目黒ー安心した、でも、何とかしないとね。
渡辺ー関わりたくない。
目黒ー無視することが1番いいかもね。
渡辺ーもう会うことないかもしれないし。
目黒ーだといいけど、あのスタジオ使ってる限り、会うかもね。
渡辺ーもう嫌!
目黒ー妄想したい人にはさせといたらいいかな。
渡辺ー何言ってんだ!
目黒ー俺たちがその出来上がったものを見たりしなければいいんじゃない?
渡辺ーん、そうだけど。
見る機会がないから安心していられる。
何を書こうと勝手だが、こちらが見なければいいこと。
だが、妄想女は、控え室に作品を置いて行った。
渡辺は気持ち悪い物みたいに、すぐゴミ箱に捨てた。
もちろん誰も中を見ていない。
それから控え室の鍵をかけるようになった。
たとえ自分達だけしかいなくても。
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