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📖 第十八章:「気づき始める心」
(○○視点)
朝の教室。
ざわめきは、昨日よりは少しだけ落ち着いている。
それでも、視線はまだ完全には消えていなかった。
○○は席に座り、ノートに手を置く。
ページは開いているのに、文字は頭に入ってこない。
○○:(……また、見られてる)
黒板ではなく、周りの気配の方に意識が向く。
小さな笑い声、ひそひそとした声。
けれど——
ガラッ
扉の音に、思考が止まる。
冴が入ってくる。
無表情。
いつも通りの歩き方。
何も変わらないはずなのに——
一瞬だけ、目が合った。
○○:(……あ)
すぐに逸らされた視線。
ほんの一瞬だったのに、それだけで胸の奥がざわつく。
○○:(今……見たよね……?)
自分の勘違いかもしれない。
でも、その一瞬が、やけに残る。
――――――
授業中。
黒板にチョークの音が響く。
けれど○○の意識は、そこにはなかった。
なんとなく、隣の方の気配が気になる。
○○:(……なんでこんなに気になるの)
視線を上げる勇気はない。
でも、なんとなく分かる。
冴が、たまにこっちを見ている気がする。
確信はない。
でも——
ノートを書く手が、一瞬だけ止まる。
(……気のせいじゃ、ない気がする)
胸の奥が、少しだけ落ち着かない。
――――――
休み時間。
廊下で友達と話す。
いつも通り、笑っているはずなのに。
友達A:「ねえ、それでさ〜」
話を聞きながら、ふと感じる視線。
○○:(……また……?)
気のせいだと思っても、どうしても気になってしまう。
ちら、と教室の方を見る。
冴がいた。
でも、目が合う前に、視線は逸らされる。
○○:(……やっぱり、見てた……?)
確信は持てない。
でも、胸が少しだけ跳ねる。
理由は分からないまま。
――――――
昼休み。
教室でペンを持ったまま、ぼんやりしていた。
指が滑る。
○○:(あ、落ちる——)
そう思った瞬間。
手が伸びてきた。
同時に触れる指先。
一瞬、時間が止まる。
○○:「……ありがとう」
顔を上げると、冴がいた。
でも、すぐに手は離される。
無言のまま。
○○:(……なんで)
ただ助けてくれただけ。
それだけのはずなのに。
指先に残る感触が、消えない。
○○:(……変なの……)
自分の方が、意識してるみたいで。
少しだけ、落ち着かなくなる。
――――――
放課後。
教科書を机に置こうとして、少しバランスを崩す。
○○:(あ……)
また、手が伸びてきた。
同じように、自然に。
冴の手。
支えられて、体勢が戻る。
一瞬だけ近づいた距離。
○○:(……また……)
顔を上げると、冴は何も言わない。
ただ、当たり前みたいに手を引く。
○○:(……なんで、毎回……)
偶然?
それとも——
そこまで考えて、やめる。
分からないことを考えるほど、余計に意識してしまう。
――――――
帰り道。
並んで歩くわけじゃないのに、なぜか距離が近い。
足音が、自然と揃う。
○○:(……なんで)
意識してるのは、自分だけだと思っていた。
でも——
夕日の中、ふと横を見る。
冴の横顔。
いつもと同じはずなのに、どこか違って見える。
○○:(……見ちゃだめ)
そう思うのに、目が離せない。
少しだけ、口元が緩む。
自分でも理由が分からない。
その瞬間——
冴が、少しだけ視線を逸らした。
○○:(……あ)
まるで、気づかれたみたいに。
胸が、強く跳ねる。
――――――
夜。
ベッドの中。
天井を見つめながら、今日のことを思い出す。
視線。
指先。
距離。
どれも、小さなことのはずなのに。
○○:(……なんでこんなに、気になるの…)
自分でも分からない。
でも——
冴のことを考えている時間が、一番長かった。
静かな部屋。
小さく息を吐く。
○○:(やだ…意識してるの、私じゃん…)
目を閉じても、浮かぶのは同じ姿。
胸の奥が、少しだけ熱いまま——
眠りにつく。
END
コメント
1件
マジで妄想捗る( ¯﹀¯ )