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#主の性癖
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音も、色も、時間さえも無い。ただ灰色に煙る地平線が、空の果てまで退屈そうに横たわっている。
かつて何かがそこにあったという記憶さえ、風に削られて砂に埋もれていた。
そんな中、小さな光を放つひとつの影。その影の足元には、何重にも重なった魔法陣がうっすらと輝いていた。
祈るように膝をつき、両手を重ねる魔女。魔法陣の輝きが増すにつれ、長い白髪が宙を舞う。
「これで、ようやく……」
掠れた声が、誰もいない世界へ溶け込んでゆく。
その瞳に映るのは、滅びた世界ではない。
暖炉の火。
紅茶の匂い。
食卓を囲む楽しそうな声。
もう二度と戻れないはずだった、遥か遠い記憶。
だから――
最後にもう一度……
次の瞬間、世界を呑み込むほどの光が溢れ出した。
そう――これは、
世界を救い、
そして滅ぼした魔女。
ニティアの物語。