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【閲覧注意⚠︎】この小説はnmmnです。nmmnが苦手な方やタグの意味が分からない方は一度ご確認の上、再度閲覧をするかのご検討をお願いします。又、
この小説は作者の妄想・フィクションです。
ご本人様(キャラクター等)には一切の関係・関連はありません。ご迷惑がかからぬよう皆で自衛をしていきましょう!
閲覧は自己責任です。
※その他BL要素有り (🟦×🏺)
今一度ご確認の上、ご理解ご了承頂ける方のみ本文へお進みください🙌
ご確認ありがとうございます!!!
それではどうぞ〜🫶✨
🏺『』その他「」無線「”○○○”」
この世には奇妙な飲み物や食べ物が多く存在する。
出処の分からない奇妙な肉を市長公認で販売している店もあれば、見た目は可愛らしいのにめちゃくちゃ腹持ちの良い食べ物が売られていたりもする。
とにかく、このロスサントスでは丸一日街を巡っても制覇できない程の飲食店が存在するのだ。
俺はそんなこの街の活気溢れる姿が好きで、だからこそ営業開始をツイックスに告知してくれる飲食店にはよく足を運ぶ。
今日もたまたま良さげな店があったからフラリと立ち寄っただけで、コンセプトやメニューの内容を把握するのはからきしだがとにかくオススメの品を十個ずつ購入して店を出た。
『オールインワンケーキと、緑マムシ?んだそれ』
めちゃくちゃ身体に害を成しそうな飲み物に首を傾げる。
『マムシってなんだっけか。…虫か?、うわ気色悪ぃもん混ぜてんな』
まぁラベルには薬品商品と提示されているのでそれなりに健康になる効果が含まれているのだろう。
『ん。あとこれがー、おまけで貰ったやつだな』
手に持ち日差しに透かして見れば、ピンク色の液体がキラキラと反射して心做しか瓶の中でハートを描いている。
初回のお客さんだからと店で一番高いものを一つおまけで付けてくれたのだ。
『ありがてぇけど何だこれ…、”惚れ薬”?、子ども騙しの飲み物か?。説明も長くてあんまし耳に入んなかったしなァ…、』
これを飲んで最初に見た人物に惚れるとか、誰かに服用させるなら事前の説明が必要だとかなんとか色々と話してはいたが、まぁ一つしかないので誰かに譲る訳もなく、両手を塞いでいた品物をポケットに一度全て押し込んでからパトカーに乗り込む。
これでも一応、今は街のパトロールをしている真っ最中だ。
警察として正義を行使する人間たちは、休む暇がないと断言出来るほど事件への対応に日々追われている。
特にギャングが関わる大型犯罪はダントツで人手も尽力も多く使うことになる訳だが、その合間にも街の至る所では小さな犯罪…大小付けるのもなんだがコンビニ強盗や飛行機ジャックなど、色々と多発しているのは確かだ。
だから俺は日中や夜間のパトロールをこまめに行っている。
特殊だなんだと異色な目で見られる事の方が断然に多いが、意外と普通の業務も自由に堂々と出来るのがこの特殊刑事課のいい所でもあると思う。
『レギオンも落ち着いてるし…、今日は平和か』
一番人が集まりやすい大型の駐車場に車の窓越しから目を向けて見れば、いつも通りに出店がチラホラとあるだけで他に怪しい行動に出そうな人物も居ない。
街中の喧騒も比較的穏やかに聞こえ、しばらくは落ち着いた時間が流れると判断した。
『゙んん。“つぼ浦パトロール終了します。どっか手が必要な事件あったら呼んで下さい”』
大半はこう伝えても“ゆっくり休んでくれ〜!”と明るい声で労われてしまうのであまり応援要請の前段階としては意味を成さないのだが、一応伝えるだけ伝えて無線をオフにする。
本署に車を走らせて相棒を綺麗に磨き、しっかりとガレージに戻してから一息浅く空気を吐いた。
『はぁ…゙んー、゙あぁ…だいぶ寝みぃな』
コキコキと首を鳴らしながら本署に足を踏み入れる。
短い廊下に自分以外の足音は響かず、ただサンダルをずって歩く気だるげなその音だけがやんわりと反響し思わず苦笑いが漏れた。
『今日はキャップも居ねぇしなァ…、大人しく仮眠でも取るか』
いつもの定位置、いや、寝床と言っても過言ではないその少し固めなソファにゴロンッと豪快に寝転がる。
空調は完璧、畳の匂いも落ち着く。
これで二方面にある障子も閉める事が出来れば完璧に部屋の一室と言っても大差ないのだが、あいにく障子全てを閉める労力なんてもう残っていないほど眠いので何がなんでも起き上がらずに眠る所存だ。
『ふぁ…、゙ん。……、…』
一度スマホで時間を確認してから目を閉じる。
………
……
…
そして、次に目が覚めた時には余裕で日付を跨いでいた。
「つぼ浦〜!、…こいつ大丈夫か?、声掛けても全然起きないぞ?」
オルカが心配げに肩をペシペシと叩いてから腕を組む。
「こいつの眠りって深いんだよなぁ。俺が起こしとくから事件対応行ってきて貰ってもいい?」
ちょうどピコンッ!と大型の事件が通知され、オルカは一度大きく頷いてから階段を駆け上がっていく。
「あっ!、そうだ!、つぼ浦が起きたらこれ渡しといてくれ〜!」
そう言ってかなりの距離から豪速球の何かが投げられ、青井はそれをすかさず両手でキャッチした。
「ユウフォーキャッチャーで捕まえたつぼ浦だ!、似てるからやる!それじゃあ行ってくるぞ〜ッ!」
「あっぶッ、ない…、ふぅ…」
捕まえたもふもふのぬいぐるみを見てみれば、確かに焦げ茶の毛に柄物のアロハTシャツを羽織っていて似てなくもない。
「ふはっ(笑)…同期に愛されてんねぇ」
時計を見れば十二時を大幅に過ぎてもうすぐ一時になる。
「仕方ないなぁ…、おーい、つぼ浦〜、起きろー」
肩をガっと掴みぐらぐらと揺すれば、つぼ浦は喉を鳴らしながらもぎゅっと瞼に力を込める。
眉間にはシワが寄り、アイデンティティとも言えるサングラスはつぼ浦の手の中でカキュカキュと変に悲鳴を上げていた。
「壊れる壊れる」
握りしめられているサングラスを無理やり引き抜いてからローテーブルに置く。
その横にはぬいぐるみも鎮座しており、早く起きないかと催促するようにくりくりの瞳が二人を眺めていた。
「はいはい起きる」
『゙んっ、ン……、ん゙ぇ…。?、あぁ…、おはよう、ござぃまス…』
上半身を持ち上げられてしまえば眠気も段々と引いていくもので、乱雑に目を擦ってから正面に立っている人間を見上げる。
青い鬼の面を付けたこの人は青井らだお先輩(アオセン)で間違いないだろう。
『ん…アオセン、いま何時っすか』
「いまちょうど一時になったところだけど」
『はぁ、そうですか、ッけほけほ、』
どうやら眠り過ぎてしまったらしく、身体の気だるさは回復しているが喉がカラカラで軽い咳が出る。
「飲み物はあるの?」
『あるある…、あります…』
適当にポケットへ手を突っ込み漁る。
『てかそのぬいぐるみなんすか?』
「あーこれ?、これはオルカがね。お前に似てるクマのぬいぐるみ捕まえたから持ち主に渡しておいてくれってさ」
『へーぇ。確かに服のセンスが良いな』
「ん〜(笑)、まぁそうかぁ?」
二人でそのぬいぐるみを眺めながら、パッと取り出した飲める形状の物をノールックで躊躇なく口に付ける。
喉に通した液体はサラサラと飲みやすく、そして超絶怒涛の激甘だった。
『ごくっ、っは〜ッ…、゙あっまこれ…』
一気に飲み干し手元を見れば、ハートの形状を模した瓶がカランっと一滴も残らずにそこにはある。
確かおまけで貰ったやつだったなぁと目をぱちぱちとさせふいに正面を向いた途端、その人物もこちらに視線を寄越し…そしてピシャリと固まった。
まるでこの空間にだけ時間という経過が無くなったかのような静けさだった。
「…おまえ、それ何飲んでんの?」
『?、なんかおまけで貰ったジュースっすけど』
あっけらかんとした様子でつぼ浦がそう伝えれば、青井は大きく息を吸ってから長く長く息を吐く。
「それさぁ、惚れ薬ってやつじゃない?」
『ん、あぁ。確かにそんな事が書いてあったような…』
後ろのラベルに目を向けてグッと瞳を細めれば、しっかりと薬品商品(惚れ薬)と記載されている。
「全部飲んだの?」
『飲んだっすね』
再度青井に視線を向けて、コキリと軽く首を傾げるつぼ浦。
心做しかトクトクと脈打つこの胸の高鳴りはなんだろう。
「おまえマジで…、本当にやばいよ」
『なにがっすか』
「警戒心がないと言うか、雑というか…、はぁ、とにかく別の物飲んで効果薄めなよ」
『あー…、了解です』
何がなんだか分かっていないつぼ浦と、どうせ何も分かってないんだろうなぁと仕方なさげにため息を漏らす青井。
手の平に丁度収まる程の飲み物を取り出したつぼ浦の様子を眺めて腕を組む。
”惚れ薬の効果が切れたら数十分説教をする”という予定が青井の頭の中でリマインドされた。
『ごく、ごく、…っは…、、……゙あ?』
「…は?」
開かれたその手の中に転がっているのは、ラベルが緑色の緑マムシと表記されている小瓶。
途端に目を瞬かせ、胸元をぎゅっと握りしめるその姿にピクリと眉間のシワが一瞬だけ寄る。
「つぼ浦?」
まさかとは思うが、その商品名の意味が分からずに飲み干したなんて言わないよな?とまぁ確定で正解だろうその考えを口には出さず名前だけを呼ぶ。
『ぁ…、えっと…、、』
先程の高鳴りとは比にならない程の胸の鼓動、ドクドクと頭に血が上り、名前を呼ばれた途端に身体が身震いを起こす。
クラりとする頭の中で反響するその声が、妙に心地よく聞こえた。
「……おまえ、ほんとうに馬鹿だね…」
しゃがみ込んで様子を伺う青井のその一挙一動がとてつもなく何か別の色を見せてきて仕方がない。
例えるならば薄いピンク色。
いつの間にか自分の口元からはか細く息が漏れ、その呼吸を繰り返すうちにだんだんと身体の熱が高まって行くのを感じる。
「その飲み物は逆効果でしょうよ」
『……、…、あー、俺…、ちょっと…体調悪いかも、?、なんでだ、』
「でしょうね」
呆れたような顔を向けられ、何も言い返せずにきゅッと口を噤む。
「はぁ……、”青井らだお、つぼ浦匠、退勤しまーす。お疲れ様でしたー”」
“おつかれ〜!”と言う声が一斉に響けば、青井は手早くスマホから退勤をタップして立ち上がる。
「お前も退勤して」
『あぁ、はい』
言われた通りに退勤しもう一度その顔を見上げれば、既に私服に着替え終えた青井が自身の首に手を添えて悩んでいる。
「どうしよっかなぁ…、…つぼ浦お前、歩けるの?」
『え、それは流石に歩けッ、』
急いで立ち上がり一歩前に進めば、途端に膝がガクンと落ちる。
「゙あッ、ぶな。危なぁ。歩けてないじゃん」
両脇にガっと腕を通して間一髪でその大柄な身体を支える。
「大丈夫そう?、肩貸せば歩ける?」
反応が返ってこないその違和感を無視しながら顔を覗けば、案の定驚きの表情を顔に貼り付けてフリーズしているつぼ浦。
「はぁー…、ダメそうだなこれ」
そのまま勢いよく抱き抱えて運べるように微調整をする。
「お前はこれとこれ持って。はい」
両手にはサングラスとぬいぐるみ。
青井はテキパキと本署を出てガレージに向かい、そのままつぼ浦を助手席に乗せて本署を後にした。
『……、…アオセン』
「なーに?」
『なんか、俺、やばい気がするぜ…、』
「そうだね」
ガタガタと時折揺れる車内の中で、突然意識が戻ったかのように口を開いたつぼ浦が至って真面目な口調でそう告げる。
「吐き気とかする?」
『しないです…けど、、なんか、動悸が凄い』
警察になれるかどうかの合否を発表される時よりも、二人きりで会話をしている今の方がドキドキと胸が強く鼓動している気がしてならない。
「…お前ね、それは惚れ薬と緑マムシのダブルコンボキメたから余計に効果強まってんの。分かる?」
『いや…、そうなんすか』
この状態になってしまっては今さら否定するのもおかしな話だ。
大人しく頷きサングラスをかけ直せば、膝の上にいるぬいぐるみの頭をポンポンッと軽く撫でて気を紛らわす。
「着いたよ」
『?、どこにっすか』
「俺の家」
『あぁ、アンタの家、、……゙え?』
途端に自分の顔から血の気がサーッと引いていくのを感じる。
「発情状態のお前を本署に置いておく訳にもいかないし、かといって道端のどっかに捨てるのも可哀想だしね」
『俺は猫か』
「あながち間違ってないでしょ。今俺から離れたら相当苦しむと思うよ?、お前」
“試しに離れてみようか?”と言われて眉間がピクリとシワになる。
「ここに一人で居られるならそれでもいいけど…」
まぁ無理だろうなと分かりつつも青井は一足先に車から降りて鍵を閉める。
そして数歩家の方面へと足を進めた途端、パリンッ!と車の窓ガラスが割れる音が響いた。
施錠したはずの車のドアがガチャりと開き、青井はやっぱりなぁと苦笑いを浮かべる。
『…すみません。後で弁償します…、』
理性よりも本能の方が優先順位が高いらしい俺の身体は、いま相当バグっていると冷静に悟り息を吐く。
何度目かも分からない呆れた空気感を漂わせながら近づいてくるその足音ですら、他の環境音よりも鮮明に聞こえる。
『ッ、』
「…。はぁ、、説教は後でね」
『…はい』
抱きかかえられて家にお邪魔すれば、そのまま奥の部屋へと運ばれどサリと丁寧に下ろされた。
「タオルとか水とか色々持ってくるから、絶対床に転げ落ちるなよ」
『、あぁ』
鬼の被り物を収納してその場を後にした青井は寝室の扉を閉めてトタタッと軽い足取りで廊下を歩いて行く。
ガチャンッ。
『ッは、はぁ…、やべぇ、マジで、んだこれ…、』
青井がその場から居なくなったのを見届けてから、つぼ浦は震えた声で胸を抑えた。
清潔感のある柔軟剤の香りと少しの甘さが残る青井自身の柔らかな匂い。
呼吸をする度に頭の奥がくらりと刺激されて心地よく、それでいて何か危うさを感じる。
これ以上何も外部から刺激を受けることのないように身を縮めれば、寄ったシーツと圧縮された枕から直にその危険な香りを鼻に通してしまった。
『!、っ、っ…、いや、ダメだ。落ち着け…、』
今すぐにでも枕に顔を埋めたくなってしまいそうな衝動を無理やり押さえつけて、代わりにクマのぬいぐるみを顔に寄せる。
『(何も考えるな…何も感じるな…、)』
飲み物(薬品)の効果とは言えこんなにも簡単に身体へと吸収され適応してしまうとは、もっと精神力を鍛える必要があると頭の片隅で考える。
余計なことを考えれば気が紛れて幾分か呼吸が楽になった。
『すぅ…はぁ…、すぅ…、はぁー…、…。』
数分それを繰り返した後に顔を上げてみれば、当たり前のようにそこには青井が立っている。
「落ち着いた?」
『…爆発しそうっすけど。一旦は落ち着きました』
「それは良かった。じゃあこれに着替えてくれる?、上着は預かるよ」
トサリとベッドに投げられた灰色のTシャツと下ジャージに目を見開き、つぼ浦は即座に首を横に振った。
「?、体格差はそんなに変わらないから着れると思うけど。そんなに身体だるい?」
『いや、だるいって言うか、なんというか、、』
まさか服を纏うだけでも爆発するには十分な材料になるとは青井自身は知る由もないのかも知れない。
「休憩しにくいでしょその格好じゃ」
“なんか火薬の匂いがするし…”と特殊刑事課ならではのロケットランチャーをぶっぱなした後の末路を遠回しにチクりと突かれる。
「脱いでくれなきゃベッドが灰まみれになりそうだし、とにかく早急に着替えて」
『ぐッ、』
家の主が日頃の鬱憤混じりにそう言っているのだから、これは飲み込むしかないのだろう。
『わっ、かり…ました。着替えりゃいいんでしょ、着替えりゃ…、っ、』
アロハシャツを青井に手渡し、つぼ浦は上下ともに渡された衣服をしっかりと身に纏う。
着替える際にふわりと香ってきた服の香りがダイレクトに肺の中へと流れ込めば、途端にまた胸が苦しくなった。
『はぁ、はぁ…、』
青井の私服を身にまとっていると考えるだけでも、つぼ浦の頭の中の熱はぐつぐつと煮だってたまらない。
「わぁ。爆発しそう」
『ガチで気をつけた方がいいぜ。俺いま相当きてるんで。ほんとに…、』
ギロリと無意識に睨みを効かせた明るい色の瞳が青井をジーッと耐え忍ぶように見つめる。
「はは、こわいこわい」
それを軽く受け流しタオルとペットボトルの水を投げ渡す彼は、誰がどう見ても相当に肝が座っていると感じ得ざる負えない。
ダウナーかつ落ち着いた声色で語りかけるその言葉が、トクトクとまた脈をゆったりとさせていく。
「どう?、落ち着いてきた?」
『……あぁ、少しだけ…』
何もかも手に取るように分かられている気さえするその言動にこちらも苦笑いを浮かべる。
「その薬の効果っていつまでだったかなー…、人によっては結構長めに効果が持続してた気がするし…、お前マムシ飲んでるしなぁ…」
普通に考えても通常の効果持続+余計な興奮状態を身体に蓄積し続けているに違いない。
「無知は罪だねぇ」
『っ、ぐぅの音も出ねぇな…、』
額に滲む汗の量がじわじわと時間の経過と共に増えているし、なにより吐く息が熱い。
熱でもあるんじゃないかと錯覚するほどの身体の火照りだ。
グレーのTシャツがじんわりと湿っていくのが分かる。
「…苦しそうだね」
『……まぁ、それは』
つぼ浦がそう答えれば、本署の時と同じようにまたベッドの近くでしゃがみ込み、冷静な眼差しでジーッとその様子を見つめる青井。
『っ、…、あの…、あんま近づくのやめた方がいいっすよ』
「なんで?」
『いや、ちょっと、余裕が無いんで…、』
黒目をあちらこちらに移動させてどうにか目を合わせないようにと努める後輩。
「……ねぇ、いま俺のことどう思ってるの?」
『それはもう好、ッ、っ、っはッ!、あぶねぇ!』
「はは(笑)」
『何言わせようとしてんすか?!、マジで!、』
耳までカッと赤く染まったつぼ浦を眺めては、また薄く笑みを漏らす。
「いやどう思ってるのかなって」
『興味本位で聞かないでくださいよッ、俺ほんとにミリで理性保ってんすから!、』
「理性切れたらどうなるの?」
『そっ、れは…、…いや、切れないぜ。絶対に切れない。うん。切れないんで問題なし』
想像すらもはばかられるアレやこれやが薄く霧がかって脳内を埋めつくす。
「そっか。つぼ浦は偉いねぇ〜…」
クシャり、さわさわッ…。
『ッ?!、、はっ、はッ、ちょっ、やめッ、』
髪が乱れるとかそういう次元の問題じゃない。
触れられた頭からつま先にかけて…一気に微弱な電流が放たれたかのような感覚。
心臓がキュッと締め付けられ、脳が痺れる。
『っ、っ、ふッ、ん、゙ン、やめっ、ろ、、ッ!、』
青井の手首を両手で掴み、胸を大きく上下させてからつぼ浦は口をはくはくと開く。
『おれ、今、洒落にならない、ホントに、』
「そうだねー。見てれば分かるよ」
捕まえたはずの腕はゆるゆると顔の近くまで移動し、圧倒的に筋力が抜けている事がよく分かる。
「お前は馬鹿でホントに可愛い奴だね」
スリッ…と頬に手を添えられ目を見開けば、青井はもう片方の手を伸ばしてまた頭を撫でる。
「媚薬とかってね。体内から出さないとなかなか効果が消えないんだよ。二時間、三時間、ずっと何もしないで耐えられるもんじゃないの。意味わかる?」
『…わ、分かんねぇな、』
「わかんないかぁ(笑)、…まぁそういうものなんだよ。…だからさ、そろそろ諦めな?」
揺れる瞳に柔らかな男の表情が映り込む。
その笑みはやはり慈悲深く、そしてにっこりと弧を描いていた。
『゙や、め、ッ、っ、アオセンっ、』
「はいはいどうしたのー?」
子どもをあやすような落ち着いた声で、大胆にもつぼ浦の下ジャージをひざ下まで下ろす青井。
そのままつぼ浦の上半身を正面から抱き上げてぎゅっと片手で拘束する。
脇の下から背中の中心部に腕を通し、またさわさわと身体を撫でれば…つぼ浦はたまらず声を漏らした。
『ッ?!、ぁ、゙んンっ、何すんだっ、てめッ、』
上官とはいえこれ以上のお触りは自分の身が持たない。
「どうせ力抜けて動けないんだから。抵抗せずに受け入れな?」
耳元で囁かれる声が甘く脳に浸透する。
「大丈夫大丈夫、ほら、気持ちいいでしょ」
ツツツツ…と背中をなぞる指が心地いい。
『っ…、…゙ぅぅ〜、』
胸を押してもびくともしないその身体に、渋々諦めたつぼ浦の手が恨みがましく青井の両肩を掴む。
「…ふぅ。後が怖いけど、一応お前の為でもあるからね?」
『……、クソッ…、、』
グッと口に溜まった唾液を飲み込み、ドキドキとする胸に心の中で舌打ちをかます。
近距離で感じる吐息と、胸の厚さと、温かい包容力。
それだけで頭の血管がプツプツとちぎれて沸騰しそうだ。
「とりあえず、俺がどうにかしてみるから目でも瞑ってな」
『…、…、、ん…、』
好きな人には従順になってしまうなんて知りたくもなかった。
大人しく目を瞑ったつぼ浦を見届けた青井がまた背中を優しく撫でれば、もう片方の手で心臓部に手を添える。
「すっごいドキドキしてるね(笑)」
『薬のせいだ…』
指先に伝わる胸の鼓動が痛いほどに激しく脈打っている。
「シャツの下から触るよ」
『ぇ、ッ゙っ、』
びくつく身体を無視してペタペタと心臓部から胸筋の辺りを行き来する青井の手。
「筋肉あるなぁ…」
少し張った胸が突起を掠めるたびにぴくりと動く。
『ン、っ、っッ、はっ…、』
「胸のマッサージでもしましょうか?」
『、ジジくせぇこと言ってんじゃねぇぞ…、』
訝しげに開かれた瞳と視線が交差し、その瞬間にきゅっ…とそのツンツンに張られた突起を軽く摘む。
『ッく♡、』
「んー良い反応。気持ちいいですかぁ?」
『ふっ、ッ、ぁ、゙んぅ…、ん、っ♡、ン、』
ふにゃふにゃに溶けた顔が信じられないと言った様子で奥歯を噛み締める。
「つぼ浦はこうやって摘まれるのと、指先で擦られるの、…どっちが好き?」
『゙あッ♡、っ、や、』
「擦られる方が好きなのね」
ピンッ!、と少し強めに弾けば、つぼ浦の背筋も反射的にピンと伸びる。
「っふふ、おもしろ〜(笑)」
『遊んでんじゃ、ねぇ、ッ♡、俺はっ、』
「そうだね。俺のこと信じて委ねてくれてるんだもんね。分かったわかった」
そう言って頭の後ろを優しく手のひらで支え、そのまま軽くキスを落とす。
『!、ん、へ、』
「口開けて。あーって、できる?」
『ぇ、ぁ、あー…、ン、ン゙ン…、ンっ、』
瞬間こきゅりと舌を吸い寄せられ、頭の中がグラりと揺すぶられる。
『ン、ンゥ、ッ…♡、っ、』
思考を巡らすことすら出来ない強烈な刺激に、自然とつぼ浦の腰が揺れていた。
「っは、はぁ…、俺の肩に腕回して」
言わずもがな勝手に回してしまう身体はもう限界に近い。
「下触るよ」
『はぁ、はぁ、っ、ぇ?、な、゙にッ?!、』
下着を下ろされ陰部だけが外界の空気に触れたそれは、パツパツに熱を帯びて震えている。
『な、な゙に、ッ♡、まって、アオセ、ッぐ…、』
なんの躊躇もなくその張りつめた男の性器を片手で握り込み上下に動かし始めた青井に何も言葉が出ない。
ただはくはくと熱い呼吸を繰り返し、しばらくすると自分が置かれている状況に羞恥を覚えたのか…青井の首筋に顔を埋めてギュッと身を縮める。
「まだ恥ずかしがるとかいう理性は残ってるの?」
『ふーっ、ふーっ…、ッ死にそう、っ、死にてぇ、』
職場では散々茶化したり真面目に死線を乗り越えて来たりと似たり寄ったりの日々を過ごしているのに、こんなにも自分をさらけ出して慰められるのは後にも先にも恐らく青井らだおしか居ない。
「…根は真面目だから、こういう時ほど困るんだろうなぁ…、大変だね。お前」
『゙い゙あっ♡、っ、やだ、ッん♡、ぁ、やだッ、』
ごしゅごしゅと擦られ続け、つぼ浦の口元から緩い抵抗が紡がれる。
そんな様子でさえも青井は小さく笑みを浮かべて、ゆったりと目を細めていた。
「何も考えずに気持ちよくなりな?」
『ンなこと、ッ♡、でき、ッできない、ッ(泣)、できな、゙ぁ♡、っだめだ、ッだめ、』
「ダメじゃないよ(笑)、ね。ンー……。たくみ?」
『ッ゙っ♡』
震える背中をギュッと抱きしめて、耳元で普段呼ばない名前を囁き続ける。
「匠、たくみ…これ好き?、ねぇたくみ、」
『゙♡、゙ぅぅ(泣)、あたま、゙あたまがっ、』
呼ばれただけで気持ちが良くて、もっと欲しいと身体が疼く。
「俺の手で擦られて気持ちいいね。俺のこと大好きだもんね?」
『ッひっ、っ♡、ぁ、゙う、゙んッ、』
「どこ擦られたら気持ちいい?、カリ?、それとも裏?」
『゙っ、ぁぇ、う、うら、♡(泣)っ、ゔ゙らっ、ッ…、ッうら気持ちい゙いっ、゙ぅあ…♡、きも゙ちッ、ふへっ、ぁ゙ぇ♡、』
ポロポロと生理的に流れてくるつぼ浦の涙が、青井の服をじんわりと濡らす。
「そっかぁ…。ここね?」
うわ言のように呟いたその言葉を丁寧に拾い上げてグチュリ♡と擦りあげれば、あまりにも素直に喘ぎを漏らすその身体。
『きゅふ♡ッ(泣)…、ぁ、ぁ♡、ぁぉせ、ッ♡、』
「………、ふぅ…。」
凶暴な野良犬が懐いたかのような多幸感に胸を少しだけ踊らせて、それでも今のつぼ浦をこのままにしておく訳にはいかないと天秤が良心に傾く。
「…うん。じゃあ、そろそろイこうね。…大丈夫、怖くないよ」
『ぁっ、゙ぁ、゙あおせッ♡、ッ、おれ、やだ(泣)、ぁ、アンタ、の、まえで、こん゙なッ♡、゙こんなの、』
ミリで残った理性を引っ張り出して、つぼ浦がギリギリと青井の肩に爪を食い込ませる。
「ふふ(笑)…、あぁごめん。笑っちゃった。つぼ浦は真剣なのにね。…ごめんね?」
おかしな事に、そんな抵抗でさえも心が疼いてしまう自分がいる。
「、…ねぇ、いい子だから…俺の言うこと聞いて。優しく出来るうちに終わらせた方が身のためだよ。…大丈夫だから、出しな?」
『ッ、やだ…ッ♡、ゃ、゙ぁぉせ、ッ、離して、アオセ(泣)、゙ぁ♡、ぁッ、゙あ〜だめ、゙だ゙めだッ♡、だめ、ッっ♡、゙っ、ッ〜〜〜〜♡♡、』
濁点のついたその声に無視を決め込んで”スリ゙ッ♡”と亀頭を指の腹で擦れば、つぼ浦の身体が数秒ガチガチに強く硬直し、その後緩やかに解けていく。
『はっ…♡、はっ…♡、ッ(泣)、っは…、けほけほッ、』
吐き出された液体は青井の手のひらに溢れ、ポタリと重く滴る白濁がベッドに付かないよう、すぐさまタオルで慎重に拭った。
「わぁ…凄いでたね。これで少しは薬も抜けたんじゃない?」
『はっ…、はっ…、ッ♡、はっ…、ン♡、ン…、』
声をかけたものの反応は無く、チカチカと目元が痙攣するのか…首筋から伝わる身じろぎは無意識で細かく震えている。
「…あー…じゃあ、このままおやすみ。あとは俺に任せれば良いよ」
上から下までを撫で下ろすように背中をさすれば、つぼ浦はだんだんと呼吸を落ち着かせて腕の力も緩まって行く。
『ん、あおせ、っ…♡、アオセン、アオセ…へは(笑)…ン、ぁぉせ、』
「ねぇくすぐったいよ(笑)。っ…もう本当にお前はァ…、…。はぁ……おやすみ」
穏やかな寝息が聞こえたのを最後に、つぼ浦の意識と本能的な五感の全てがプツリと暗闇に落ちた。
次に意識が覚醒した瞬間、本署の一角にあるソファで自分の身体は休息を取っていた。
『……、…゙ん、?、』
上半身を起こし、ソファの背にもたれ掛かる。
いつも通りの景色と、いつもとは違う、ローテーブルに置かれたぬいぐるみ。
それを眺めながら目をぱちぱちと瞬かせる。
『俺…あれ…、』
服も整っているし、髪も整っている。
いつもと寸分違わない身なりに、少しだけほっと息を着いた。
『よかっ、た…か』
ここまで完璧に後始末をしてくれたのならば、恐らくあの時の事を根掘り葉掘り振り返ることもしないでくれるだろう。
効果の抜けた正常な頭でふわりとその時の状況を思い出してみれば、途端に胸の奥がズクズクと熱で侵食される。
あんなに触れられて、あんなに名前を呼ばれて、あんなに淫らな姿で、まさか自分が青井らだおという男を求めてしまうなんて。
子どもをあやすような落ち着いた声色で、何度も名前を呼ばれては頭がクラクラと意識を削がれていったあの感覚。
『っ、』
完璧に思い出した記憶は全て羞恥に値する。
火照った熱が耳まで到達し、思わず口元をパシリと手で抑えた。
『(なんて事してんだ俺はッ…、)』
抵抗も出来ずに施されるがまま、まるで恋人のようにキスをし、あへあへと醜態を晒すなんて。
『゙うぉぉ…、記憶、消してぇぇ、、』
バッとぬいぐるみを手にして顔に押し付ける。
もごもごと言うつぼ浦の言葉は周囲には聞こえない。
「あ、起きてる!」
『?!、』
視線だけをそちらに向ければ、オルカが腰に手を添えてこちらを見ていた。
「そんなに気に入ったか?、つぼクマ!。かわいいもんなぁ〜(笑)、沢山愛でてやってくれよ?」
ニコニコと笑みを漏らしてから、トランシーバーの声掛けに追われるようにその場を後にするオルカ。
『……、はぁ…』
その楽観的な明るい声に、張っていた緊張がぷつりと切れてぬいぐるみを片手に抱えた。
『…お詫びの品、買いに行くか…、』
スマホを開いて魔法少女カフェの開店を確認する。
先輩に会いたいような、会いたくないような…、そんなぐちゃぐちゃとした蟠りを抱えながら。
未発展な感情一つ[完]
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