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「好き。ホントに好き。大好き」
だけど、透子は切なくオレを見つめながら、まだ想いを伝えてくれる。
こんなにハッキリ言葉に好きだと言われたことがないだけに、正直ここまで言われるとどうしていいか戸惑ってしまう。
だけど、今の透子を見てるだけで、もうその気持ちは十分伝わってくる。
「わかった。わかったから。もうちゃんと伝わってるから」
透子が無理してるように思えて、思わずなだめる。
「ホントに伝わってる?」
だけど、まだ不安なのかまた切なそうな表情をしながら聞いてくる透子。
「伝わってる」
だから、ちゃんと安心するように、静かに優しく微笑んでその言葉を伝える。
「ありがとう。透子。ちゃんと伝えてくれて」
やっぱり素直に好きだと伝えてもらえることは、すごく嬉しいから。
その言葉を伝えたいと思ってくれてるほど、今透子の中でオレが好きだと感じてくれているということが何より幸せだから。
「私の方こそ。いつもたくさん気持ち伝えてくれてありがとう。今日も、こんなに幸せなプレゼント用意してくれて」
オレにとってはすべてが当たり前のこと。
オレが全部してあげたいこと、したいこと。
「ホントはもっと早く結婚式したかったんだけど、どうしてもこれだけの時間が必要だった」
「まさかしてくれるなんて思ってなかったから。してくれるだけで嬉しい」
お互い忙しくてなかなか時間が取れなかったのもひとつの理由ではあるけれど。
でもいつか必ず透子には結婚式を挙げさせてあげたかった。
だったら、オレは少し時間がかかったとしても、透子に最高の結婚式を用意しようと決めた。
それは誰かに任せるとかじゃなく、オレが全部プロデュ―して考えた結婚式。
オレなら透子はどんなことをしたら喜んでくれて、どんな風な演出でどんな人達に祝ってもらえたら嬉しいか、それが全部わかるから。
「樹。ホントは気付いてたんだよね?」
透子がそう尋ねてきた言葉で、やっぱりオレが確信していたことは間違いじゃなかったんだとわかる。
「全部オレが無理させてたことだから。ただオレが透子好きになって結婚したくて。だけど、透子にはきっといろんなこと我慢させてた」
「そんなことないよ。私は樹と一緒にいられるだけで・・・」
「ほら。またそんなこと言う」
「でも・・・それもホントの気持ちだし・・・」
「うん。それもちゃんとわかってる。オレだって同じ気持ちだし。透子がいてくれたらそれだけで幸せ。だけど、オレはそれだけじゃなく、もっと透子を幸せにしたい。一緒にいるからこそ、もっと透子を笑顔にしたいって思うし、もっとオレといることで幸せだと思ってほしい」
「それなら私だって同じだよ」
「うん。だからだよ。透子も同じように思ってても、周りのことを考えたりしてそれを言葉にしない」
あえて言葉にしないことで、きっと透子は結婚式を挙げるという考えを自分の中に持たずにいようとしていたのだと思う。
きっと透子のことだから、いろいろ深く考えて自分は考えるべきではないなんて思ってたりしてたのだろうけど。
だけど、透子は何一つそんなこと気にすることなんてなくて。
年齢はこんなにも離れてるからオレは透子に惹かれて好きになったんだし、仕事での関係性や立場だって同じ。
先輩としてまた透子と会社で再会出来たから、オレは透子をまた好きになることが出来た。
今では親父との問題もまったく何もなくなったワケだし、透子が心配することなんて今は何一つない。
だけど入籍して夫婦になっても、透子はなぜかたまに自信を失くしたり、オレを気遣うことがある。
きっとそれが透子のいいところなんだろうけど、すべて自分で考えて幸せを自ら逃すことはしてほしくないから。
じゃあそれなら、もう答えは一つしかない。
「だったらオレが透子が言葉にしない分幸せにするしかないでしょ?」
だから透子は今のまま何も言わなくても大丈夫。
オレが全部その気持ちを受け止めてあげるから。
透子が好きだと言わないなら、オレが好きだと伝え続ければいい。
透子が結婚式をしたいと言わないなら、オレが結婚式を用意すればいい。
「オレならどれだけ時間がかかってもその願いを叶えられる。きっと透子が諦めちゃうようなことでも、オレはそれを諦めたりしない」
透子が諦めても、オレが全部叶えてあげればいいだけ。
「その時実現出来なくても、それはその状況が整ってないからで。いつかすべてがちゃんと整った時、その願いは叶えられる。オレなら絶対」
どれだけ時間がかかっても、オレなら必ず叶える自信があるから。
透子の為ならオレは絶対諦めずに頑張ることが出来るから。
だから透子に望むこともずっと変わらない。
「オレを信じてればいいって、いつでも言ってるでしょ? 透子はオレを信じて側にいてくれればいい」
ただそれだけ。
それだけでオレはどんなことでも頑張れて、どんなことも幸せだと思える。
「やっぱり好き。大好き」
すると、透子がそう言いながら勢いよく抱きついてくる。
素直に愛情表現してくれる透子が愛しすぎる。
「でも・・・オレはそんな言葉はもう透子には言えないかな」
そして透子を抱き締めながら静かにそんな言葉を呟く。
「えっ・・・?」
すると、オレに抱きついていた透子の腕の力が少し緩み、顔を上げてオレの顔を確かめるように見る。
そして不安に感じたのか一気に不安そうに顔が曇る透子。
そのままオレを見つめながら、何かを思ったのか、今度は俯いて、そしてオレに抱きつく腕の力も逆に今度は強くなる。
「透子? オレはもうそんな言葉だけじゃ透子への気持ち収まらないんだよね」
「えっ?」
その言葉に反応して顔を上げた透子を、じっと見つめながら。
「透子・・・。愛してる」
優しく見つめながら、オレは一番伝えたい言葉を透子に伝えた。
ホントはいつだってこの言葉を伝えたいけど、心からこの言葉を伝えるのは、透子が同じようにオレを好きになってくれる時に伝えたかった。
こんなにも透子への愛は大きいのだと、それは自信持って言えるけど。
オレの中で簡単に伝えられない言葉だから。
「樹・・・」
そしてその言葉を伝えた瞬間、透子の顔も一気に嬉しそうに幸せそうな笑顔に変わる。
「今までもずっと、そしてこれからもずっと。いつでも、どんな透子でも、愛してる」
今なら伝えられる。
今の透子なら受け取ってくれるはず。
この大きすぎる永遠の愛を。
「樹・・・。私も愛してる」
一番聞きたかった言葉を、今幸せそうに目の前で微笑みながら伝えてくれる愛しすぎる人。
「知ってる」
そう言って微笑みながら、その目の前の愛しい人に、愛を込めて口づけをした。
もう今ならわかるよ。
透子もどれだけオレを好きでいてくれてるか。
もうどれだけオレに夢中になってくれてるか。
オレを見つめるその瞳からも、オレに抱きついてくるこの腕からも、オレへ伝えてくれるその甘い言葉からも、この重なる愛しすぎる唇からも。
今の透子の全部で、オレへの想いを大きすぎるほど感じることが出来るから。
だから、オレをずっとこれからも愛し続けて。
ずっと求め続けて。
オレの透子への想いは、どこまでも永遠に続いていくから。
何度でもこのオレの想いを伝え続けていくから。
どこまでも深く深く、透子だけを永遠に愛し続けていくから・・・。
二人で顔を見合わせて微笑み合うのと同時に、オレは透子の異変にすぐに気付く。
「透子。なんで泣いてんの!?」
「だって、幸せすぎて、なんか気付いたら」
「これから結婚式なのに。綺麗なメイクが崩れちゃうよ?」
そう言いながら、透子の涙を指で拭う。
涙の流し方も綺麗で、実際それさえも絵になるくらいで、そんな姿にさえ、オレの胸は高鳴る一方だけど。
「ホントは透子が愛しすぎて、このままどうにかしたいくらいだけど、さすがに今は我慢しとく」
「もう・・・」
オレの冗談に少し気が緩んだのか、涙も止まって笑う透子。
そして、ちゃんとオレは透子の顔を見つめ。
「うん。大丈夫。そんな崩れてない。綺麗なままの透子」
変わらず綺麗なことを伝える。
「ホント?」
「透子はいつだって綺麗だよ」
「もう、そういうことじゃなくて」
「いや、ホント。大丈夫。そのままで」
「信じるよ?」
「オッケ。これから透子見せつける場所に行くんだから、大丈夫じゃなかったら、ちゃんと直してもらう」
「わかった。なら信じる」
「じゃあ、行こうか。皆が待ってる」
「うん」
片手を差し出しその美しい花嫁の手を取り会場へと一緒に歩き出す。
透子はずっとこうやってオレについてきてくれればいい。
オレがどんな時も透子の手を握って、どこにだってつれていく。
ずっとこの手を放さず、ずっと守り続ける。
その手も、その笑顔も、透子のすべてを、透子のこれからの人生を。
ずっとオレが隣で守り続けて幸せにし続けていくから。