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郊外の一戸建てではあるが、狭苦しい自分の家とは雲泥の差だな、と思いながら麻里がエントランスの外側のドアをくぐると、ガラスの壁で隔てられた大きなスペースの向こう側にいた武司が、コンコンとガラスを叩いて麻里を迎えた。


武司が内側からエントランスの内側のスライド式ドアを開いた。


「ようこそ麻里ちゃん。ママたちがお待ちかねだよ」


武司が笑顔でそう言う。麻里はさっきまで武司がいたスペースをまじまじと見た。床にはふかふかの絨毯が敷いてあり、北欧風のテーブルが1台、椅子が数脚置いてある。


「ねえ、そこ何?」


武司は麻里の指先が差すスペースを見て、きょとんとした表情で答えた。


「何って、共有の応接スペースだけど?」


「共有なの?」


「宅配便とか業者さんが訪ねて来た時に使うんだよ。あ、そうか、麻里ちゃんちは一戸建てだから知らないんだね」


「ねえ、あたしたち、ひょっとして身分違いの恋ってやつ?」


「あはは、そんな大げさな。さ、行こう。我が家は20階だよ」


二人はエレベーターに乗り込んだ。

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