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私の避ける行動でかっちゃんを傷つけてしまったことに反省して、今回はデートに来ています!
「かっちゃん!こっちこっち!」
私たちは今遊園地に来ています!
「お前、ウロチョロすんなや!はぐれるだろうが!」
そう言ってかっちゃんは私の手を握る。
ボッと音を立てて顔を赤くして、大人しくなる私を見てふんっ、と鼻で笑い、
「いい子だ」
と意地悪に頭を撫でられる。
子供扱いしないで欲しいんだけど?と思いながらもどこから行こうかと視線をキョロキョロさせる。
「あ!かっちゃんまずは!」
と言って指を指す。
ゲッ、と顔を顰めて、見る視線の先には、
「あのカチューシャ!一緒につけよーよー!」
かわいい動物のカチューシャが!
グイグイと嫌がるかっちゃんを連れて行って、商品を見る。
かっちゃんはこれでしょ!
と選んだカチューシャは狼の耳の着いたカチューシャだ。
「ほら!似合う!」
と少し顔を赤らめてそっぽをむくかっちゃんはとても似合っていた。
「じゃあお前はこれだな。」
とかっちゃんが私に着けてくれるカチューシャは
「わ!うさぎだ!」
ふわふわのうさぎのお耳だった。
2人でこれをつけながら遊園地を回る。
絶叫系が無理な私はコーヒーカップでクルクルと回して楽しんでいる。
「お前なぁ、個性鳥とかでそれこそ絶叫じゃねぇか」
と呆れられるけど、ヒーロー活動をするのとオフの時じゃ全然違う。
「怖いものは怖いの!」
と言ってくるくると回していると、
「あんまり回すと酔うだろうが!」
と言われる。そんな注意も聞かずに回していると次第に気持ち悪くなって、コーヒーカップをおりた時にはすっかり体調は悪くなっていた。
かっちゃんにお水を買ってきてもらっている間に、ベンチに座って待っていると、
「あれえ?お姉さん1人〜?」
と声をかけられる。
私の視界に入ってきたのはチャラそうな男の人2人だった。
「俺らといっしょに遊ばねぇ?」
と声をかけられるけど、
「結構です」
と冷たく返す。
「へぇ〜、そういう感じー?」
と言われて腕を掴まれて無理やり連れていかれそうになる。
「触んないでっ!」
と思いっきり振りほどくと、さっきより強い力で後ろに引っ張られた。
グラッと体が傾いて、後ろに倒れ込むと、私よりなん周りも大きい体にすっぽりと収まった。
バックハグ状態になった私はこの感じは絶対かっちゃんだとわかった。
地を這うような低い声で、
「おい、おめぇら、人の女に手ぇ出すとはいい度胸じゃねぇか」
と、まるでここが地獄なのではないかと思わせるぐらいの殺気を出していた。
男の人たちはひっ、と情けない声を出して走り去っていく。
「何掴まってんだ!アホ!」
と言われる。
「ごめんなさい」
と謝ると
「何もされてねぇか」
と言われて
「大丈夫」
と返すと、思いっきり抱きしめられる。
「俺が1人にしたのも悪かったな。」
と言われる。
2人で少しだけ休憩して、また回る。
絶叫系を覗いて他は全制覇したんじゃないかと思ってかっちゃんにそれを伝えると、
「まだあれ行ってねぇぞ?」
と指をさされてそちらを見る。
ひっ、お化け屋敷…
私は絶叫系よりも何よりも、お化け屋敷が大嫌いなのだ。
だって、怖いじゃん!
そんなことを訴えても知らん顔でかっちゃん連れていかれる。
「乗り物式だから大丈夫だろ」
「いやいや!そういう問題じゃないから!」
そんな悲痛な叫びなどかっちゃんに届くはずもなく、ズルズルと私は連れていかれる。人生の最終地点…。さようなら。みんな。
地獄のようなお化け屋敷から抜け出しげっそりする。
「お前ビビりすぎたろ、」
笑えてくるわと言っているかっちゃんも少しビビってたじゃんか。
という言葉がでかかって飲み込む。
「怖いものは怖かったんですー」
と言うと
「じゃあ最高のとこ見せに行かせてやるよ。」
と私たちは遊園地を後にした。