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僕、剣持刀也は俗に言う〝生理男子〟というものだった──────。
ピピピッ ピピピッ ピピピッ
規則的に鳴るアラーム音が耳障りだ
「はぁ……お腹いた、」
「用意しないと。」
ガタン ガタン
電車の揺れで悪化する下腹部の痛み
なんで僕だけ……
いやいや。
僕は〝剣持刀也〟だ。
どんなときだってネガティブには考えない。
これは僕の個性のひとつで人には無いもの…
普段の僕ならこう考えていただろう。
なのに、なんで……
今日はこんなに負の感情だけが頭の中に…
「剣持さん…?」
ふと前から聞き覚えのある声がした。
「社長……」
「はい。どうしましたか?」
「具合でも悪いんですか?」
「いえ。大丈夫です。ご心配なさらず」
「そうですか」
たまたま社長と乗り合わすとは。
運がいいのか悪いのか……
僕は社長が好きだ。
初めは尊敬の意味だと思っていた……
でもいつしかそうでないと気がついた。
そう、これは〝恋心〟だ……
今日はろふまおの収録日だ…
お腹が痛いので少し憂鬱だが、
バレないように過ごさないといけない……
「皆さん。ストレ溜めていませんか?」
「僕はそんなに溜めてないと思いますよ」
「俺も溜めてないと思うけどな」
「アニキは無自覚なだけですよ」
「〜〜〜」
「〜〜〜」
「カットでーす!」
「ぁ゛〜〜疲れた〜!」
「疲れましたね〜」
「このまま打ち上げ行っちゃいますか?」
「そうですね〜」
「行くか〜!」
「もちさんって……」
「もういないじゃん笑」
気持ち悪い……お腹痛い…
僕は貧血もあってその場に座り込んでしまった。
「ぅ゛ぅ〜……」
「大丈夫ですか……!?」
「えっ……社長…」
「なんで……」
「朝から体調が悪そうだったので…」
「大丈夫ですか…?」
「……はい。大丈夫です」
「少しお腹が痛かっただけなので……」
「……送っていきますよ」
「いえ。本当に大丈夫ですから」
本当は、倒れそうなくらい辛い……
来て欲しい……そうおもっているのに。
迷惑掛けたくない、でも家に来たら
〝アノコト〟がバレる……。
「……そうですか」
「……社長、待ってください」
「どうしました?」
「やっぱり、送って行ってください。」
「出来れば僕の家に」
「もちろん」
「剣持さんの家ってこっちで合っていますか?」
「はい。ありがとうございます」
「剣持さん。着きました…」
「ふふっ…お疲れのようですね」
目を覚ますと
見慣れた天井……と社長がいた。
「うぇっ!?社長!?」
「どうしましたか?」
「なんで……」
「体調不良の方を置いて帰るほど情がないわけではありませんからね」
あれ。あの時、僕寝ちゃってた……?
…………!
シーツ!!漏れてない……
「あ、シーツなんですが…」
「ぇっ……」
「すみません……言わない方が良かったですよね」
「……」
バレてた……
よりにもよって社長に…最悪だ。
「すみません…!泣かせるつもりは…!」
「ぁ…いやこれは……っ」
「……社長は、悪くないです」
「僕の問題で……」
「いえ、私に非があっただけですので…」
はぁ……嫌われたかな。
なら、もういっその事吹っ切れてしまおう。
「僕…社長のことが好きなんです」
「なのにこんな惨めな姿見られて…」
「嫌いになったでしょう?僕のこと」
思いは伝えられた……
これでもう悔いは無いな…
「……」
こんな社長の顔見たことないもん笑
そりゃそうだよな……
年下で、同性で……同じグループを組んでるやつが
いきなり告白してきたんだもんな……
「すみません……」
なんで謝るんですか…社長は何一つ悪くないのに
「私から言おうと思っていたんですが…」
私から……?
え、どういうこと…
「社長……どういう」
「私が先に思いを伝えようと思っていたので……」
「私もあなたのことが好きなので」
「なんで……僕のことなんか」
「あなただから好きなんです。」
「そしてあなたからの恋心にも気がついていました……」
「黙っていてすみません」
「いつから…」
「少し前ですけどね笑」
「あんなに情熱的に見られていたら、私でも気が付きますよ」
見ていたこともバレていたのか……
……はずかし
「僕の身体のことも気づいてました?」
「えー、あーそれはさっき……ですね」
「引きましたか?」
「こんな身体の僕を見て」
「引くわけないでしょう?」
「あなたの個性なんですから」
「そこも含めて私は好きですよ」
「社長……ありがとうございます」
「私は思ったままを伝えただけですよ」
〝カッコイイ大人〟だな……