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「まだまだ話したいことはたくさんあるが、今は君からのプレゼントについて協議するほうが先だろう。それに、疲れている様だ。今日はここまでにしようじゃないか」
ハリソンさんの提案は正直有難い。少し休ませて貰ったけど、やっぱり緊張からくる疲れは取れていない。フェルに癒されたいし。
「わかりました。明日は記者会見でしたっけ?」
「ああ、君の存在を世界に知らせることが目的だよ。君からのお知らせについても時間を用意してある。では、後はケラー室長」
「ありがとうございます」
センチネルのことはまだ伏せていた方がいいのかな?どちらにせよ、宇宙へ向けた発信を完全に止めて貰う必要がある。まだセンチネルには見付かっていないみたいだし……いや、見付かってたらもう滅びてるか。
「ティナ、こちらが用意した品物については明日吟味しよう。それで、この後はどうするつもりかな?先ほどの部屋で休んでも構わないし、必要ならホテルも手配しているよ?」
ジョンさんの勧めはありがたいけど、今夜はゆっくり休みたい。フェルにも報告したいしね。
「いえ、今夜は一旦船に戻ります。また明日の朝会議室に来ればいいですか?」
「ああ、もちろんだ」
「わがままを言ってごめんなさい」
「疲れているだろう?慣れ親しんだ環境で身体を休めるのは大切なことさ。じゃあ、明日は何時くらいに来てくれるかな?」
少し休みたいし……。
「お昼前に来て良いですか?」
「お昼前か、記者会見の前に話す時間はありそうだ。昼食は?」
「食べます!あっ、でも豪華じゃなくて良いですよ。普通の人が食べているようなものが食べたいです」
気楽に食べたいからね。私自身前世も今世も庶民なんだから。
「ふむ、民間で食べられているものか。今日の夕食に比べたらかなりグレードが落ちてしまうが……何が食べたい?」
「それじゃあ、ハンバーガーとかのファーストフードを……」
本場アメリカだけあってハンバーガーとかもとにかくワイルドだった。いや、食べ応えがあったなぁ。後は日本食のお寿司も美味しかった。早く本場で食べたい。
本当はまだまだ食べたいものはたくさんあったけど、さすがにお腹いっぱいになった。包んで貰ったし、フェルと一緒に食べよ。
「ファーストフード、ハンバーガーとかかな?」
「はい、とても美味しかったし手軽に食べられますから!」
「良し分かった、手配しておくよ。私も一緒に食べて良いかな?もちろんメリルも一緒だ」
「楽しみです!それでは、また明日」
「ああ、また明日。待っているよ」
異星人対策室のジョン=ケラーだ。ティナが別れを告げて、次の瞬間彼女は光に包まれて消えた。いやはや、ワープか。技術の差をまざまざと見せ付けられるよ。
「やれやれ、長い一日だったな」
政治家の先生方は早速議論しているし、ティナが土産にくれたトランクだったか、それは軍人達が運び出している。
「お疲れ様でした、室長、先ずは問題なく終わりましたな」
私の部下であり日系人であるジャッキー=ニシモト(彼女募集中)が声をかけてきた。
「色々と予定外の事態が発生したが、まあ初日としては悪くない結果だろう。ティナが食べたものは記録しているかな?」
「ええ、もちろんです。傾向としては、高級品より一般的なものを好んでいるように思えました。ジャンクフードですな」
「うむ、庶民的な感性の持ち主なのかもしれない。直接話してみて、傲慢さは一切感じなかったよ」
「ええ。用意したお土産に食料も加えますか?」
「そうしてくれ。アードで地球の食べ物が受け入れられれば、交易のチャンスになる」
「分かりました。直ぐに手配します」
ジャッキー=ニシモト(減量中)と軽い打ち合わせを済ませると、メリルが近寄ってきた。
「兄さん、お疲れ様」
「ああ、メリル。お疲れ様だ。カレンは?」
「安心して、軽い怪我をしているだけみたいよ。念のため今日は入院して様子を見るけど、問題なければ明日には退院できるって」
「そうか……良かった……」
本来ならば今すぐにでも駆け付けたいのだが、立場上それも出来ない。いやはや、ダメな父親だな。
「兄さん、そんな暗い顔をしないで。カレンだって兄さんの立場は良く分かってるわよ。私が明日朝イチで迎えに行くから、元気な顔を見てあげなさい」
「うむ……何か用意してあげたいな」
「あっ、それならあるわよ。さっきカレンと電話したんだけど」
電話していたのか、ティナが食休みをしている間かな。
「カレンは今日助けてくれた天使さんに御礼を言いたいみたいよ。つまり、ティナちゃんにね」
なんと!
「ティナにか?しかし……」
ティナは最重要人物で国賓だ。いくら私の娘とは言え……。
「良いんじゃない?兄さんが無茶やってるのは皆知ってるし、何より兄さんはティナちゃんが一番信用してる地球人なのよ?これくらいの我が儘は許されるわよ」
「公私混同じゃないか」
「真面目なんだから。大統領に掛け合ってみるわ」
「あっ、メリル!」
まあ、無理だろうな。そう考えていたのだがまさかの快諾。ただ、セキュリティの問題もありホワイトハウスへ娘を入れるわけにもいかないから近くにある異星人対策室の事務所で時間を作ることにした。
ここなら信頼できる人材しか居ないし、一階部分ならば機密文書の類いも存在しない。来客用のスペースだからね。現にカレンも何度か来ている場所だ。
翌日、有難いことにメリルが朝イチでカレンを迎えに行ってくれた。ティナが来るまで余裕があると言う言葉に甘えた形だ。
幸いカレンは軽傷で直ぐに退院できたみたいだ。直ぐに異星人対策室の事務所へ連れてきてくれた。
「カレン!無事だったか!」
一階で私はカレンとメリルを出迎えた。額に包帯を巻いて、左の頬にガーゼを貼っている姿が痛々しい。だがあの火災で、しかも飛び降りたんだ。生きていてくれただけでも嬉しい。
ティナには感謝しかないな。
「……」
バグしようと手を広げたのだが、何故かカレンはメリルの後ろに隠れてしまった。はて、人見知りをするような娘ではないし、今は皆が気を利かせて私しか居ないのだが。
恐る恐ると言った様子でこちらに顔を見せたカレンは、一言呟いた。
「えっ……誰……怖っ……」
……!?
後に様子をこっそり見ていたジャッキー=ニシモト(アニメ好き)は語る。
「あの顔芸は笑うわwwwエ◯ルじゃんww」