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二人が順調に未来を変えつつあると思っていた矢先、それは起こった。
未来の記憶では、JO1の活動を妨害する存在はなかったはずだ。
だが、この世界では、二人の才能に目をつけた、別の芸能事務所のスカウトマンが、蓮に接触してきた。
「君のような才能あるダンサーが、あのグループで埋もれてしまうのはもったいない。うちに来ないか?」
未来の記憶では、このスカウトマンの存在はなかった。
奨は、警戒心を抱きながらも、この状況が未来の悲劇の原因になりうることを察知した。
蓮がスカウトマンに誘われることは、メンバーの間に不和を生み、ひいてはグループの存続に関わる問題になるかもしれない。
「蓮、そいつには関わらないほうがいい」
奨は、蓮に忠告したが、蓮は戸惑っていた。
「でも…俺はもっとダンスを極めたい。奨くんも、そう思ってたでしょ?」
蓮の言葉に、奨は何も言い返せなかった。
未来の奨は、蓮の才能を伸ばしてあげられなかったことに、後悔を抱いていた。
だからこそ、蓮は未来で、奨との愛に固執し、グループの夢と葛藤してしまったのかもしれない。
そして、スカウトマンは、巧みに二人の関係を探り始めた。
「君と與那城くんは、随分と仲が良いようだね。特別に可愛がってもらっているとか?」
奨は、スカウトマンの言葉に、未来の記憶がフラッシュバックするのを感じた。
それは、二人の関係が世間に知られるきっかけとなった、あのスキャンダルの始まりだった。
二人の愛を、メンバーの不和、そしてグループを壊すための道具にしようとしている。
奨と蓮は、新たな試練に直面した。
未来を変えることは、新たな敵を生み、新たな困難を呼び寄せる。
そして、その困難は、二人の愛の絆を、そしてJO1の未来を、再び揺るがそうとしていた。
スカウトマンが去った後、二人の間に重い空気が流れた。
奨は、蓮の才能を誰よりも理解している。
だからこそ、蓮がより高みを目指したいと願う気持ちも痛いほど分かる。
「奨くん…俺、どうしたらいいんだろう」
蓮の声が震えていた。
未来を変えたい、JO1を守りたい、と決意したばかりなのに、もう目の前に、未来と同じ、いや、それ以上に困難な選択が突きつけられた。
「…俺は、蓮の才能を、誰よりも信じている。でも…」
奨は、言葉を続けることができなかった。
未来の記憶では、奨が蓮の才能を伸ばしてあげられなかったことが、二人の間に溝を作った。
今、目の前に、蓮の才能を伸ばせるチャンスがある。
しかし、そのチャンスは、JO1を、そして二人の愛を壊すかもしれない。
奨は、蓮の夢と、JO1の未来と、そして二人の愛の間で、激しく葛藤した。
蓮もまた、愛する奨と、自分の夢と、JO1という存在の間で、答えを見つけられずに苦しんでいた。
新たな試練は、二人の絆を試す、愛の試練だった。
そして、それは、奨と蓮が、未来の過ちを繰り返すか否かを問う、残酷な問いかけだった。