テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
✦ 純が姫子を見た瞬間、胸が痛むような“既視感”に襲われる
昼休みが終わったばかりのオフィス。
人の声が少しずつ戻り始める中、純は席に戻ろうとしていた。
そのとき──
コピー機の前で資料を揃えている姫子の姿が目に入った。
ただそれだけのはずなのに、
胸の奥が、急にきゅっと痛んだ。
(……なんだ、これ)
姫子は純に気づかず、静かに紙を揃えている。
その横顔を見た瞬間、
昨夜の夢の“影”が重なった。
光の中で振り返った影。
手を伸ばそうとしていた影。
名前を呼びかけようとしていた影。
(……同じだ)
純は思わず立ち止まった。
胸の奥がざわつく。
夢の残像が、現実の姫子に重なって離れない。
(なんで……森野さんなんだ)
理由は分からない。
でも、胸の痛みだけは確かだった。
姫子がふと顔を上げた。
純と目が合う。
姫子は驚いたように小さく会釈し、
すぐに視線をそらした。
純は返事が遅れた。
胸の痛みが、まだ消えなかった。