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ハオヒョンのことが好きだと気づいてからの僕は、明らかに以前とは違った対応をとってしまっている。
「ハンビナ、おいで」
「む、無理ですっ//」
「なんで?前は来てくれたんじゃん」
「なんでもですっ!//」
えーといって自分の膝を叩くヒョンを無視して、僕は隣の席に座った。
確かに前なら自然にヒョンの膝の上に座れていただろう。
でもヒョンが好きだと自覚してしまった今、そんなことを平気でできるわけが無い。
1人で悶々としていると、いつの間にかハオヒョンが立っており、手にはバイオリンが握られていた。
「ハンビナ、今日のリクエストは?」
「この前ハオヒョンが教えてくれたあの曲がいい!」
「ん、あれね。了解」
ハオヒョンがふーと息を吐いた次の瞬間、部屋はバイオリンの音色が響き渡った。
ヒョンのバイオリンの音色はまるで彼のように優雅で綺麗な音でとても心地いい
それにバイオリンを弾いているハオヒョンは、この世のものとは思えないほど神秘的なのだ。
綺麗な音楽に耳を済ませる。
好きだなぁ_____
そんな感情が浮かび上がってきては、ハオヒョンと一緒にいられるこの時間がこの上なく愛おしいと感じられる。
でも、同時に悲しみが込み上げてきてしまうのも許して欲しい。
許されない恋をしてしまった自分を恨めしく思ってしまう。
僕はバイオリンの音色がいつの間にか止んでいることにも気づかずに、俯いてしまった。
「……ハンビナ?」
「…え?」
「大丈夫?悲しそうな顔をして俯いていたから」
「あ、ごめんなさい。折角弾いてくれたのに……」
「気にしないで。何かあった?」
優しく問いかけてくれるハオヒョンに、好きだと言ってしまいそうになるのを必死で抑えた。
何か別のことを言わなくては…
そう思った僕はとんでもない事を口にしてしまった。
「……ヒョンは、好きな人いますか?」
「え?」
しまったと思った時には遅かった。
ヒョンは目を点にして固まってしまっている。
僕は怪しまれないように必死に言い訳をした。
「あ、えーと…ヒョンからそういう話聞いた事ないなぁ…って」
「……いるよ」
「…っ」
わかりきった答えのはずだったのに、ヒョンに直接言われると涙がこぼれそうななる。
なんで僕はこの質問をしてしまったのだろか。
こんなの自分で自分を傷つけるだけなのに。
俯いてしまいそうになるが、怪しまれないためにも僕はなるべく笑顔で返事をした。
「そ、そうなんですね。その人はどんな人なんですか?」
悲しむだけだとわかっていながら、どんどんと質問をしてしまう自分の口が恨めしい。
「可愛い人だよ。笑顔がとっても素敵で誰にでも優しい素敵な人。」
愛おしそうに目を細めるヒョン
あーあ、こんなの勝ち目ないじゃん__
「っ…ヒョンとその人の恋、僕応援してます!あ、そういえば僕用事があるので先に失礼しますね」
「え?あ、ちょっと」
もう涙がこぼれそうになったので、早口でその場を後にした。
ハオヒョンが僕を呼び止める声が聞こえたが、振り向くことなく全力で走った。
今でもこんなに涙が止まらないのに、ハオヒョンとあの人が付き合ったその日はどうしたらいいのだろうか。
そんな日が来ないことを祈りながら、1ヶ月が経った頃、ある噂が出回っていることを知った。
僕……正確には、僕とハオヒョンに関する噂だった。
その噂を知ったのはつい最近のこと。
ある朝、いつものように登校すると友達や知り合いにおめでとうと祝福をされたのだ。
別に僕の誕生日でもなければ、何か特別なことがあった訳じゃない。
一体何が起こっているのかと思い、クラスに入ると親友であるギュビンが僕の肩に手を回し嬉しそうに呟いた。
「ハンビナ、聞いたよ!やっと付き合えたんだって?おめでとう!」
「…は?」
見てるこっちムズムズしたよ、と愚痴を零すギュビンに対し、僕は上手く反応が出来ない。
耳を疑った。
なんの話をされているのかさっぱりわからない。
イタズラ好きのギュビンの事だからいつもの冗談だろうと笑い飛ばしたいが、彼の目からおめでとうという気持ちが伝わってくるので、冗談ではないとわかる。
「ちょ、ちょっとまって。誰と誰が付き合ったって?」
ギュビンには前々から恋愛相談には乗ってもらっていた。
そのギュビンがこんなにも嬉しそうに祝ってくれているということは……まさか?
いや、そんなこと……有り得るわけがない
僕が心底驚いてギュビンに質問をすると、はぁ?と言ったふうに答えた。
「え?なに惚けてるんだよ。あ、さては恥ずかしいんだな、この野郎〜」
「ま、それもそうか。だってお前、ずっと好きだったもんな」
「____ジャンハオ先輩のこと」