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貴方の最期まで一緒にいるよ

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貴方の最期まで一緒にいるよ

3 - 君を殺した自分への罰 3

♥

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2023年11月29日

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創作

自分の服はとても少なかった。学校の制服、外出用の服が上下セットで2セット位しか無かった。

母親が息子に金はかけずに男ばっかりに貢いでいた。その一人が柚汰だろう。こんな母親と付き合っていた位だから母親は相当猫被りをして男を釣っていたに違いない、猫被りをしていなかったら柚汰は付き合っていなかっただろう。そんな事を思いながらも俺は荷物を纏めていた。そう頑張っている俺を隣で眺める柚汰は微笑んでいる様な真顔の様な何を思っているのか分からない顔をしている。静かな空間が続いている中、柚汰が口を開いた。

「璃翔君の親、めっちゃ毒親だね、俺には貢いでくれてたのに」

俺が思っていた通りだった、今まで稼いできた母親の金は全部男のもとへ持っていかれていたのだ。そう思うと、毒親だとしても哀しくて堪らなかった。少しでも幸せな日々を過ごしたかった。だから愛されている奴が嫌いだ、憎い。きっと柚汰も幸せな家庭で育ったのだろう。

そう思ったら隣で微笑んでいる男が憎くて仕方が無いのだ。

殺したい。

その四文字が思い浮かんだ。いっその事さっき柚汰が持っていた刃物を取り上げて殺したい位だった。そう思い続けていると段々視界がぼやけていったり、暗くなっていったり、その繰り返しだった。そんな事を思い込んでいると柚汰が口を挟み、俺は我に戻った。

「ねえ、どうしたの?手止まってるよ」

何故か分からないけどその言葉に腹が立った。

殺したい

殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい

柚汰が持っていた刃物を俺が遂に取り上げてしまった。

「は?なにしてっ」

俺は柚汰を押し倒し、刃物を上にあげた。

こんな憎い生き物要らない。おれの視界から消えて欲しい。

「いいよ、殺して」

勢いよく下げようとした手は止まってしまった。

「その代わり、寂しいから一緒に死んで」

しょうもない事ばっかり言ってくる。俺は死にたくないんだ。死ぬのは柚汰だけで良い。

「何?殺さないの?」

俺は涙が溢れた。此奴の事嫌いなのに、死ねばいいのに、って思ってたのに。

何故か殺せない。殺したいのに。

そんな事を思って泣いていると、柚汰に刃物を取り上げられた。

「死ぬ時は一緒だよ」元気つけてくれているのか分からない言葉を投げかけられた。

「ね、はやく俺の家行こうよ。この家、死体で臭い」

その通りだった。死体の匂いがどんどん臭ってきて、物凄い鼻にくる匂いだった。

荷物を纏め終えた所だった。スクールバッグの中には教科書類、筆記道具やら学生証が入っていた。補助バッグには体操服、外出用の服を入れた。その他、俺が好きな本を敷き詰めた。

「さ、行こっか」

そう言われ、俺は自分の家を出た。もうここの家に戻ってくることは無いだろう。

手を持っていかれ、その後には手を繋ぐ様に手を持ち替えられた。

とても暖かくて、子供体温と言ってもいいだろう。

「璃翔君の手、冷たいね」

俺は柚汰と違って手が冷たいのだ。今まで生きてきた中で人の温もりを感じたことがなかった。

だからこの瞬間は嬉しいのかもしれない。

「俺と幸せになろうね」

そう言われた時、一瞬固まってしまった。気が合わないのに幸せになんてなれるのだろうか。

きっと飽きたら捨てられる。もしくは殺されるかもしれないのに。

そんな幸せという言葉を俺は信じない。誰が信じるものか。

「ね。もし辛かったら俺と死ぬんだよ」

「信じませんよ、その言葉」

「いいよ、これから分からせるんだから、幸せというやらを」

嬉しいのか分からない言葉を投げ掛けられ、俺は反応に困ってしまった。

「..何歳ですか?」俺は話を遮るように聞いた。

「20」

まだ成人してまもないらしい、高校時代とかはモテていただろう。

そんなしょうもない話を考えながら、俺は柚汰に聞かれた。

「何年生?」「まだ中学生なったばっかり?それともまだ小学生…」

身長のせいで舐められているのか、と思った。

「中二です、」腹が立ちながらもそう答えた。

「え、あ、そうなの!?ごめんごめん、遂身長で」

「うるさいです、生まれつきなんだからしょうがないです」

「身長ちっさいのかわいいね、撫でやすい」

「それさっきも言ってましたよ」

「そうだっけ」

こんな他愛の無い話ばっかで盛り上がる、つまらないのにずっと話してられる。

俺は心をちょっとでも許せるようになったのか、

そんな事を思いながらも柚汰の家に着いた。

高級そうな高層建てのマンションだった。

やっぱり此奴は幸せな家庭で育ったものだろう。

ここは何時まで経っても腹が立つ。憎いと思う。

でもさっきよりかはその気持ちを抑えられた気がした。

「階段がいい?エレベーターがいい?」

「エレベーター、」

「分かった、じゃ、こっち」そう言い、俺の手を引っ張りエレベーターの方へと歩き出した。

エレベーターはいつも1人で乗ることが多かった。人と乗ったのは初めてで、不思議な感覚だった。

此処は、恐らく30階建ての高層マンションだ。こんな高層マンションに来るのは初めてだ。

柚汰が何階のボタンを押すか見ていると、何階か気になる?と声をかけてきた。

「別に、」「あっそ」その言葉の後にボタンを押した。その押した階は23階。とても上の階だった。

きっと見晴らしが良い事だろう。でも、ずっと見ていたら目が不思議な感覚に包まれるかもしれない、と思っていたら柚汰が話かけてきた。

「怖くない?」

「行ってみないと分かんないですよ」

「ま、そうだよね」「楽しみにしといてね」

その言葉の後に頷くと、エレベーターの音が聞こえた。もう着いたのか、と心の中で思っていた。

「あそこ、一番奥の部屋」指を指された方を見ると、とても上品なドアだった。俺には一生目にする事は無かったかもしれないこのドアは俺にとって興味を持つものだった。

「気に入った?」

「気に入りはしません、少し気になっただけです。」

「そっかー〜、」

「寒いでしょ、中入ろっか」

そう言い、ドアに鍵を挿し音を立てて開けた。そこには綺麗に整頓されているリビングが見えた。

「さ、入って」

そう言い、柚汰は俺の手をもう一度掴み直して、引っ張った。

入った先にはいい匂いが漂っていた。恐らく柔軟剤などの匂いがこびりついてこうなったであろう匂い。

良い匂いだからか、頭に霧がかかったような気持ちになる。可愛い言葉に言い換えたらふわふわする感じだった。

「気に入った?」さっきもそれを聞かれた。俺が黙っているまま柚汰の方を見る。そしたら微笑んだ顔で此方を見ている。

「あ、はい、」

「そっか、良かった」

本当に嬉しいのか微笑んだ顔から笑顔になった。枯れてかかっていた花がまた元気になり、鮮やかな色の花に戻っていく感じがした。

「荷物、そこ置いてていいよ」

そう言われ、俺は荷物を置いた。俺は一生、此処で暮らすのだろうか。




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