テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
1,419
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
〇〇「ねえ」
ゲームの準備しようとした手を止める。
〇〇「その前にちょっといい?」
樹「なに」
ジェシー「どうした」
慎太郎「また恋バナ?」
〇〇「違う」
少し笑う。
〇〇「ジムの話」
高地「お、健康的」
きょも「いいじゃん」
北斗「……」
〇〇「行くか迷ってて」
ソファに座り直す。
〇〇「でもさ」
〇〇「どうせ続かない気がするんだよね」
樹「分かる」
即答。
ジェシー「三日坊主タイプ?」
〇〇「うん多分」
慎太郎「正直だな」
〇〇「しかも」
ちょっと嫌そうな顔。
〇〇「風磨に見てもらうことになるの」
樹「あー」
ジェシー「それはきつい」
慎太郎「スパルタ確定じゃん」
高地「厳しそうだね」
きょも「追い込まれそう」
〇〇「そうなの!」
〇〇「絶対やばいじゃん」
〇〇「“甘えんな”とか言われるやつ」
ジェシー「言うなそれ」
樹「想像つくわ」
慎太郎「逃げ場ないな」
〇〇「だから迷ってる」
〇〇「やりたい気持ちはあるんだけど」
〇〇「続かないのに行くのもなって」
少し悩んだ顔。
高地「目的があるならいいと思うけどね」
〇〇「体力つけたい」
〇〇「あとちょっと絞りたい」
ジェシー「意識高いじゃん」
慎太郎「偉いな」
樹「じゃあやれよ」
〇〇「でも続かない」
即戻る。
きょも「最初は軽くでいいんじゃない?」
きょも「いきなりスパルタじゃなくて」
〇〇「でも風磨だよ?」
ジェシー「逃げ道なし」
樹「詰んでるな」
高地「回数決めるとか?」
〇〇「回数か……」
少し考える。
北斗「……」
今まで黙ってたけど、
ふと口を開く。
北斗「別に毎日行かなくていいだろ」
全員少し意外そうに見る。
北斗「週1とかでいい」
北斗「続ける方が大事」
〇〇「……」
少し目を向ける。
〇〇「続ける方……」
北斗「無理すんな」
短く。
〇〇「……」
少しだけ考えて、
〇〇「じゃあ週1ならいけるかも」
小さく言う。
ジェシー「ゆるっ」
慎太郎「でもそれがいいかもな」
樹「続けば勝ちだし」
高地「うん、それ大事」
きょも「いいと思う」
〇〇「……」
少しだけ安心した顔。
〇〇「じゃあやってみる」
決意というより、
軽い一歩。
北斗「……」
その様子を見て、
少しだけ視線を外す。
ジェシー「よし」
手を叩く。
ジェシー「じゃあゲームいくか!」
慎太郎「待ってました!」
樹「やっとだな」
高地「何やる?」
きょも「楽しみ」
〇〇「負けないから」
さっきより少し元気な声。
迷いはまだあるけど、
空気はまた軽くなっていく。
ジェシー「てかさ」
コントローラー持ちながら、
ふと思い出したように言う。
ジェシー「誰が一番筋肉あるかじゃね?」
慎太郎「急に?」
樹「なんだそれ」
高地「面白そうだけど」
きょも「確かに気になる」
〇〇「え、見たい」
すぐ乗る。
ジェシー「だろ?」
ニヤッとする。
慎太郎「まぁ俺らだろな」
軽く腕を曲げる。
樹「はい始まった」
ジェシー「いやでもさ」
ジェシー「普通に俺じゃね?」
自信満々。
慎太郎「いやいや俺もあるから」
張り合う。
ジェシー「じゃあ見せる?」
慎太郎「いいよ?」
そのまま2人で腕出す。
ジェシーの腕、
しっかり筋肉ついてる。
慎太郎も負けてない。
〇〇「すご……」
素直に驚く。
〇〇「やば」
ジェシー「だろ?」
慎太郎「俺もいい線いってるだろ」
樹「まぁこの2人だな」
高地「うん、納得」
きょも「すごいね普通に」
〇〇「触っていい?」
ジェシー「いいよ」
〇〇、軽く触る。
〇〇「かた!」
リアクション大きい。
慎太郎「俺も触って」
〇〇「うん」
触る。
〇〇「え、こっちもやば」
ジェシー「どっちが上?」
〇〇「……ジェシー」
ジェシー「よし!」
慎太郎「くそー!」
笑いが起きる。
樹「で、他は?」
高地「俺は普通だよ」
軽く見せる。
〇〇「でもちゃんとある」
きょも「俺もそんな感じかな」
さりげなく見せる。
〇〇「バランスいいね」
素直な感想。
樹「俺はやってねぇし」
ジェシー「いやでもあるだろ」
軽くいじる。
そして——
自然と視線が一人に集まる。
北斗。
樹「で?」
ジェシー「北斗は?」
慎太郎「見せろよ」
〇〇「見たい」
即。
北斗「……やだ」
即拒否。
ジェシー「なんでだよ!」
慎太郎「絶対あるだろ」
樹「隠すなよ」
〇〇「ねえ」
少し前のめり。
〇〇「見せて」
北斗「……」
少しだけため息。
北斗「ちょっとだけな」
渋々。
袖を少し上げる。
そこそこ筋肉ついてる。
〇〇「え」
目が止まる。
〇〇「あるじゃん」
思ったよりって顔。
ジェシー「ほらな」
慎太郎「隠すタイプだわ」
樹「一番タチ悪い」
〇〇「ずる」
ぽつっと言う。
北斗「……なにが」
〇〇「普通にしてるのにあるの」
北斗「別に」
すぐ戻す。
〇〇「……」
ちょっとだけ見てる。
さっきのジムの話がよぎる。
〇〇「……いいな」
小さく呟く。
北斗「……」
一瞬だけ視線向ける。
でも何も言わない。
ジェシー「で結論」
ジェシー「1位俺」
慎太郎「2位俺」
樹「はい決定」
高地「平和なランキング」
きょも「面白いね」
〇〇「いいな筋肉」
少しだけ本気で思ってる顔。
ジェシー「ジム行けよ」
慎太郎「風磨に鍛えてもらえ」
〇〇「それが嫌なの!」
すぐ戻る。
笑いが起きる。
〇〇「ねえ」
ふとまた声を出す。
〇〇「腹筋は?」
全員「は?」
ジェシー「急に?」
慎太郎「どした」
〇〇「いや」
〇〇「腕あるなら腹筋もあるでしょ」
真顔。
樹「理論雑すぎる」
高地「気になるけどね」
きょも「確かに」
ジェシー「じゃあやる?」
ニヤッとする。
慎太郎「いいよ?」
ジェシーが軽くTシャツめくる。
しっかり割れてる。
〇〇「え、すご」
目が丸くなる。
〇〇「やば」
慎太郎も負けじと見せる。
慎太郎「どう?」
〇〇「ある!」
〇〇「ちゃんとある!」
ジェシー「ちゃんとってなんだよ」
樹「評価雑」
高地「でも分かる」
きょもも少しだけ見せる。
〇〇「バランスいいねやっぱ」
きょも「ありがとう」
軽く笑う。
高地「俺はうっすらかな」
〇〇「健康的って感じ」
樹「俺はない」
即。
ジェシー「潔いな」
慎太郎「で」
視線がまた集まる。
北斗。
〇〇「……」
じーっと見る。
〇〇「北斗は?」
北斗「……やだ」
即拒否。
ジェシー「またかよ」
慎太郎「見せろって」
樹「流れだろ」
〇〇「ねえ」
少し近づく。
〇〇「見せて」
北斗「……」
少しだけ顔をしかめる。
北斗「なんでだよ」
〇〇「気になる」
ストレート。
ジェシー「いいぞいけ」
慎太郎「見たいわ」
樹「諦めろ」
北斗「……」
ため息。
北斗「一瞬な」
観念。
少しだけ服を上げる。
しっかり筋肉ついてる。
割れてる。
〇〇「……え」
固まる。
〇〇「やば」
小さく言う。
〇〇「あるじゃん」
ジェシー「だから言ったろ」
慎太郎「隠してるタイプ」
樹「一番モテるやつな」
北斗「うるせぇ」
すぐ戻す。
〇〇「……」
まだ見てる。
〇〇「ずるい」
ぽつっと。
北斗「……だからなにが」
〇〇「なんで普通にしててあるの」
北斗「知らねぇよ」
そっけない。
〇〇「……」
少しだけ考えて、
〇〇「私もやる」
突然。
ジェシー「え?」
慎太郎「なにを」
〇〇「腹筋」
真顔。
樹「影響されやすすぎ」
高地「いいじゃん」
きょも「ジムの話にも繋がるね」
〇〇「うん」
少しだけやる気出てる。
〇〇「でも風磨は嫌」
ジェシー「そこは変わらんのな」
笑いが起きる。
さっきまでの真剣さも、
また少し軽くなっていく。
コントローラーを持って、ゲーム開始。
ジェシー「よっしゃいくぞー!」
慎太郎「負けねぇ」
樹「はい初心者どこ」
〇〇「ここ」
即答。
ジェシー「潔いな」
高地「優しくいこうね」
きょも「楽しめばOK」
北斗「……」
静かにコントローラー持つ。
最初のゲームスタート。
〇〇「え、待って操作分かんない」
開始5秒。
慎太郎「早い早い」
ジェシー「ジャンプ!」
〇〇「どれ!?」
樹「終わったな」
画面の中で——
〇〇のキャラ、すぐやられる。
〇〇「え!?」
〇〇「今の何!?」
ジェシー「何もしてない」
慎太郎「立ってただけ」
爆笑。
〇〇「ちょっと!」
きょも「落ち着いて」
優しくフォロー。
きょも「このボタンで動いて」
〇〇「これ?」
きょも「そうそう」
少し近づいて教える。
〇〇「……」
真剣。
でも——
数秒後。
〇〇「また死んだ!」
ジェシー「才能ないな!」
慎太郎「逆にすごい」
樹「ここまで下手なの珍しい」
〇〇「うるさい!」
ムキになる。
高地「でも楽しそう」
〇〇「楽しいよ!」
でも負け続ける。
北斗「……」
横でプレイ。
普通にうまい。
ジェシー「北斗強くね?」
慎太郎「安定してる」
樹「こいつ地味にうまいタイプ」
〇〇「え、ずる」
北斗「……普通だろ」
〇〇「普通じゃない」
〇〇「なんでそんなできるの」
北斗「……慣れ」
短い。
〇〇「……」
少し悔しそう。
次のゲーム。
〇〇「今度こそ」
気合い。
スタート。
数秒後——
〇〇「落ちた!!」
ジェシー「早すぎるだろ!」
慎太郎「0秒退場」
樹「伝説」
〇〇「違うの!」
〇〇「今の事故!」
きょも「うん、事故だね」
優しく乗る。
〇〇「でしょ!」
すぐ信じる。
高地「かわいいな」
北斗「……」
そのやり取り見ながら、
少しだけ口元緩む。
〇〇は何度やっても負ける。
でも——
〇〇「もう一回!」
やめない。
ジェシー「根性あるな」
慎太郎「そこだけは強い」
樹「メンタルだけ最強」
〇〇「勝つまでやる」
きょも「いいね」
北斗「……」
ちらっと見る。
北斗「……こっち」
ぽつっと言う。
〇〇「え?」
北斗「そのボタン」
〇〇「あ、これ?」
北斗「そう」
短く教える。
〇〇「……」
少し集中。
プレイ。
今度は——
〇〇「え、生きてる!」
ジェシー「奇跡!」
慎太郎「成長した!」
樹「1秒延びた」
〇〇「うるさい!」
でもちょっと嬉しそう。
〇〇「できたかも」
北斗「……まぁな」
小さく。
その一言で、
〇〇少し笑う。
ゲームはまだ続く。
勝ち負け関係なく、
笑いがずっと絶えないまま。
次のゲームに切り替わる。
ジェシー「これならいけるだろ」
慎太郎「協力系な」
樹「〇〇でもワンチャンある」
〇〇「“でも”いらない」
ちょっとムキになる。
きょも「一緒にやろ」
〇〇「うん」
今度はチーム戦。
〇〇ときょも、同じチーム。
ジェシー「それズルくね?」
慎太郎「保護者付き」
樹「介護レベルだろ」
〇〇「失礼」
スタート。
〇〇「え、これなにするの」
きょも「こっち来て」
自然に誘導。
〇〇「うん」
画面の中で少しずつ動く。
〇〇「動けてる!」
ジェシー「成長!」
慎太郎「奇跡継続中」
樹「歴史的瞬間」
〇〇「うるさい!」
でもちょっと嬉しい。
きょも「ナイス」
〇〇「え、今のいい?」
きょも「いいよ」
その一言でさらに調子に乗る。
〇〇「よし!」
勢いで突っ込む。
そして——
〇〇「落ちた!!」
全員「はやっ」
ジェシー「秒で戻ったな」
慎太郎「安定の〇〇」
樹「安心感ある」
〇〇「もう!!」
でも笑ってる。
高地「楽しいねこれ」
北斗「……」
静かにプレイしながら、
時々〇〇の画面を見る。
〇〇「待って待って」
〇〇「どうやって戻るの」
きょも「このボタン」
〇〇「あ、これ」
戻る。
〇〇「できた!」
慎太郎「成長スピードえぐい」
ジェシー「1ミリずつな」
樹「誤差」
〇〇「ちゃんと見て!」
きょも「ちゃんとできてるよ」
フォロー。
〇〇「でしょ!」
すぐ笑う。
そのままゲーム続行。
途中——
北斗「……そっち行くな」
ぽつっと。
〇〇「え?」
でも遅い。
〇〇「やられた!」
ジェシー「言うの遅い!」
慎太郎「北斗ナイス指示」
樹「全然間に合ってねぇ」
北斗「……」
少しだけ眉ひそめる。
〇〇「今のなんで!?」
北斗「突っ込みすぎ」
〇〇「……」
少しだけ考える。
〇〇「じゃあゆっくり行く」
次。
慎重に動く。
〇〇「……」
ゆっくり。
ジェシー「逆に遅い」
慎太郎「極端」
樹「0か100」
〇〇「どっちがいいの!」
きょも「今くらいでいいよ」
〇〇「これ?」
きょも「うん」
〇〇「……」
そのまま進む。
そして——
〇〇「え、クリアした!」
ジェシー「おお!」
慎太郎「初クリア!」
樹「歴史更新」
高地「すごい!」
きょも「ナイス!」
〇〇「やった!」
めっちゃ嬉しそう。
思わず隣を見る。
北斗の方。
〇〇「できた」
ちょっと自慢げ。
北斗「……見てた」
短く。
〇〇「……」
少しだけ笑う。
その一瞬だけ、
2人の空気が少しだけ変わる。
でもすぐ——
ジェシー「次いくぞ!」
慎太郎「まだまだ!」
樹「終わらせねぇ」
〇〇「もう一回!」
また賑やかに戻る。
笑い声の中、
時間はどんどん過ぎていく。
16:00。
ゲームも一段落して、部屋には少しだけゆるい沈黙が落ちる。
ジェシー「いや〜やり切ったな」
慎太郎「もう夕方かよ」
樹「時間溶けすぎ」
高地「ちょっと休憩しよ」
きょも「賛成」
ソファにだらっと座り直す流れの中で、
北斗がキッチンへ向かう。
手慣れた動きでカップを並べていく。
少しして戻ってくると、テーブルにそれぞれの分を置く。
ジェシー「ありがとう」
慎太郎「助かる」
樹「ナイス」
きょも「いい匂い」
その流れで、〇〇がカップを見て少し固まる。
〇〇「……あ」
ぽつっと。
〇〇「私コーヒー飲めない」
ジェシー「今言う!?」
慎太郎「遅すぎるって」
樹「なんでここまで黙ってたんだよ」
〇〇「だって出てきたから」
悪びれない顔。
高地「まああるあるだね」
きょも「苦手なんだっけ?」
〇〇「うん。あと眠れなくなる」
軽く説明する。
その会話の間も、北斗は何も言わずに聞いている。
ただ一度だけ、視線がカップから〇〇に移る。
すぐに立ち上がる。
北斗「待ってろ」
それだけ言って、キッチンへ戻る。
ジェシー「さすがだな」
慎太郎「完全に把握してる動き」
樹「慣れてるってレベルじゃない」
高地「自然だね」
きょも「優しいね」
〇〇「え、なに?」
きょとんとしたまま。
本当に気づいていない顔。
数分後。
北斗が戻ってくる。
手には別のカップ。
北斗「……これ」
テーブルに置く。
〇〇が覗く。
〇〇「これなに?」
北斗「紅茶」
短く。
一瞬。
〇〇の動きが止まる。
〇〇「……え」
少しだけ目を丸くする。
〇〇「なんで知ってるの?」
北斗「前言ってた」
それだけ。
〇〇「……」
小さく瞬きしてから、
ふっと笑う。
〇〇「覚えてたんだ」
北斗「別に」
すぐ視線をそらす。
でもその一言が自然すぎて、
わざとでもなく、ただ当たり前みたいにそこにある。
ジェシー「そういうの一番刺さるやつ」
慎太郎「無自覚が一番やばい」
樹「普通に優しすぎるだろ」
きょも「いいね」
高地「気遣い自然なのすごい」
〇〇は紅茶を一口飲む。
〇〇「……おいしい」
小さく言って、
少しだけ肩の力が抜ける。
北斗はそれを横目で見て、
何も言わずにソファへ戻る。
ただそれだけ。
なのに、
部屋の空気はさっきより少しだけ静かで、やわらかくなっていく。
16:00。
ゲームも一段落して、部屋には少しだけゆるい沈黙が落ちる。
ジェシー「いや〜やり切ったな」
慎太郎「もう夕方かよ」
樹「時間溶けすぎ」
高地「ちょっと休憩しよ」
きょも「賛成」
ソファにだらっと座り直す流れの中で、
北斗がキッチンへ向かう。
手慣れた動きでカップを並べていく。
少しして戻ってくると、テーブルにそれぞれの分を置く。
ジェシー「ありがとう」
慎太郎「助かる」
樹「ナイス」
きょも「いい匂い」
その流れで、〇〇がカップを見て少し固まる。
〇〇「……あ」
ぽつっと。
〇〇「私コーヒー飲めない」
ジェシー「今言う!?」
慎太郎「遅すぎるって」
樹「なんでここまで黙ってたんだよ」
〇〇「だって出てきたから」
悪びれない顔。
高地「まああるあるだね」
きょも「苦手なんだっけ?」
〇〇「うん。あと眠れなくなる」
軽く説明する。
その会話の間も、北斗は何も言わずに聞いている。
ただ一度だけ、視線がカップから〇〇に移る。
すぐに立ち上がる。
北斗「待ってろ」
それだけ言って、キッチンへ戻る。
ジェシー「さすがだな」
慎太郎「完全に把握してる動き」
樹「慣れてるってレベルじゃない」
高地「自然だね」
きょも「優しいね」
〇〇「え、なに?」
きょとんとしたまま。
本当に気づいていない顔。
数分後。
北斗が戻ってくる。
手には別のカップ。
北斗「……これ」
テーブルに置く。
〇〇が覗く。
〇〇「これなに?」
北斗「紅茶」
短く。
一瞬。
〇〇の動きが止まる。
〇〇「……え」
少しだけ目を丸くする。
〇〇「なんで知ってるの?」
北斗「前言ってた」
それだけ。
〇〇「……」
小さく瞬きしてから、
ふっと笑う。
〇〇「覚えてたんだ」
北斗「別に」
すぐ視線をそらす。
でもその一言が自然すぎて、
わざとでもなく、ただ当たり前みたいにそこにある。
ジェシー「そういうの一番刺さるやつ」
慎太郎「無自覚が一番やばい」
樹「普通に優しすぎるだろ」
きょも「いいね」
高地「気遣い自然なのすごい」
〇〇は紅茶を一口飲む。
〇〇「……おいしい」
小さく言って、
少しだけ肩の力が抜ける。
北斗はそれを横目で見て、
何も言わずにソファへ戻る。
ただそれだけ。
なのに、
部屋の空気はさっきより少しだけ静かで、やわらかくなっていく。
紅茶の時間のあと、空気はさらにゆるくなる。
ジェシー「もう動けない」
慎太郎「完全に休憩モード」
高地「ソファ最高」
きょも「ずっとここでいいね」
樹「じゃあ誰か音楽かけて」
ゆったりしたBGMが流れ始める。
その中で、
〇〇はソファの端に座りながら紅茶を飲んでいる。
そこへ樹がぽんっと隣に座る。
樹「なあ」
〇〇「ん?」
樹「今日ずっと元気じゃん」
〇〇「楽しいから」
即答。
樹「単純」
〇〇「褒めてる?」
樹「まあな」
軽く笑う。
そのまま自然に会話が始まる。
樹「ゲームのときさ、お前マジで下手だったな」
〇〇「うるさい」
樹「でも諦めないのはすごい」
〇〇「そこは認めて」
樹「いいよ」
さらっと言う。
〇〇「あとさ」
〇〇「樹が一番うるさい」
樹「え?」
〇〇「リアクション大きい」
樹「お前に言われたくねぇ」
〇〇「私はかわいいでしょ」
樹「自分で言うな」
2人で笑う。
そのやりとりが妙に自然で、
周りもそれを見て少し和む。
ジェシー「そこ仲いいな」
慎太郎「ずっと喋ってるじゃん」
きょも「いい雰囲気だね」
高地「同い年みたい」
〇〇「楽しいだけだよ」
樹「それな」
軽くハイタッチ。
パチン。
北斗は少し離れた位置でそれを見ている。
北斗「……」
何も言わない。
ただ視線だけ少し動く。
〇〇は気づかず、
樹とまだ喋っている。
〇〇「ねえ樹」
樹「ん?」
〇〇「さっきのゲームさ」
樹「うん」
〇〇「私成長したよね?」
樹「……微妙」
〇〇「え」
樹「でも前よりマシ」
〇〇「やった」
嬉しそうに笑う。
その笑顔を見て、
樹も軽く笑う。
樹「ま、頑張れよ」
〇〇「うん」
自然な距離。
気を使わない会話。
その空気を見ながら、
部屋はゆっくりと落ち着いていく。
ソファの上、
それぞれが思い思いにくつろぐ中で、
時間だけが静かに流れていく。
そのまま、ゆるいBGMだけが流れている時間が続く。
〇〇は紅茶を飲み終えて、カップをテーブルに置く。
〇〇「……ふぅ」
小さく息を吐いて、ソファにもたれる。
樹は隣でまだ軽く喋っているけど、内容はもうかなりどうでもいい雑談になっている。
樹「でさ、あの時のゲームさ」
〇〇「うんうん」
適当に相づちを打ちながら、完全にリラックスモード。
ジェシーは床に座って伸びてる。
ジェシー「もう動きたくない」
慎太郎「わかる」
高地「昼寝できそう」
きょも「ほんとそれ」
部屋全体が“終わった日”の空気になっている。
北斗は少し離れた位置でスマホを見ている。
でも、完全に画面に集中しているわけじゃない。
ときどき視線だけ、ソファ側に戻ってくる。
〇〇と樹はまだ何か話している。
〇〇「それさ、絶対私悪くないよね?」
樹「いや半分お前」
〇〇「えー」
樹「でもそこがいい」
〇〇「褒めてる?」
樹「褒めてる」
軽く笑い合う。
そのやり取りに、きょもが小さく笑う。
きょも「ほんと仲いいね」
高地「空気合ってる」
ジェシー「ずっとあそこ二人で完結してる」
慎太郎「放置でいいやつ」
〇〇「放置すな」
笑いながら返す。
そのとき。
北斗が立ち上がる。
北斗「……水」
短く言ってキッチンへ行く。
それだけの動きなのに、
一瞬だけ部屋の空気が少しだけ動く。
〇〇は気づかず、
樹と話し続けている。
樹「で、次のゲームどうする?」
〇〇「もうちょい簡単なのがいい」
樹「逃げてるな」
〇〇「違うし」
軽い笑い。
キッチンの方でコップの音がする。
北斗は水を飲みながら、
少しだけ振り返る。
ソファの上で笑っている〇〇と樹。
その光景を見て、
何も言わずに視線を戻す。
そして静かに戻ってくる。
北斗「……」
元の場所に座る。
また何もないように時間は流れていく。
でも、
それぞれの距離だけは、
少しずつそのまま残っているまま。
ゆるいBGMのまま、少し落ち着いていた空気に、
ジェシー「なあ」
ジェシー「そろそろ恋バナ戻す?」
慎太郎「出た」
樹「今日のメインきた」
きょも「好きだねほんと」
高地「でも確かに気になる」
〇〇「え、また?」
〇〇「さっきやったじゃん」
樹「まだ足りない」
ニヤッとする。
〇〇「なにそれ」
ジェシー「じゃあ今度はこっちが聞く番」
〇〇「え」
空気が少し変わる。
慎太郎「全員から1個ずつな」
〇〇「多くない?」
樹「逃げ禁止」
〇〇「やだ」
でも笑ってる。
〇〇「いいよ」
少し姿勢を正す。
〇〇「来い」
ジェシー「よし」
最初にジェシー。
ジェシー「今一番気になる人は?」
〇〇「直球すぎ」
〇〇「えー……」
少し考えて、
〇〇「いない」
即答。
ジェシー「嘘つけ」
樹「はい終了」
慎太郎「逃げたな」
〇〇「ほんとだって」
きょも「まあ様子見だね」
高地「うんうん」
〇〇「次」
慎太郎。
慎太郎「最近ドキッとした瞬間」
〇〇「またそれ系?」
慎太郎「重要」
〇〇「……」
少し考えて、
〇〇「急に名前呼ばれたとき」
ジェシー「誰でもじゃん」
〇〇「誰でも」
樹「防御広すぎ」
〇〇「だってびっくりするし」
きょも「分かる」
高地「あるね」
〇〇「次」
樹を見る。
樹「俺か」
少し笑う。
樹「じゃあさ」
樹「一番楽しい人誰といるとき?」
〇〇「……今」
樹「またかよ」
〇〇「ほんと」
樹「雑」
〇〇「うるさい」
軽く笑う。
そして最後。
全員の視線が自然と北斗へ。
少しだけ空気が変わる。
〇〇「北斗」
北斗「……」
〇〇「最近さ」
〇〇「一緒にいて落ち着く人って誰?」
北斗「……」
少し間。
北斗「別に」
〇〇「またそれ」
〇〇「逃げ禁止」
ジェシー「きたきた」
慎太郎「ここが本番」
樹「一番難問」
きょも「どう答えるんだろ」
高地「気になるね」
〇〇は少し前のめりになる。
〇〇「ちゃんと答えて」
北斗「……」
視線を少しだけ上げる。
北斗「……寝てるとき」
〇〇「え」
一瞬固まる。
〇〇「誰が?」
北斗「……お前」
部屋が一瞬止まる。
ジェシー「出た」
慎太郎「それ言うんだ」
樹「強いな」
きょも「正直だね」
高地「自然だね」
〇〇「……」
少しだけ目をそらす。
〇〇「それってさ」
〇〇「安心ってこと?」
北斗「うるさくないから」
〇〇「ひど」
でも笑ってる。
〇〇「じゃあ次」
さらに攻める。
〇〇「ドキッとする瞬間は?」
北斗「……ない」
即答。
〇〇「絶対あるでしょ」
北斗「ない」
〇〇「じゃあいいや」
ふっと笑う。
〇〇「私が決める」
ジェシー「出た」
慎太郎「支配してる」
樹「完全に主導権」
きょも「楽しそう」
高地「いい関係だね」
〇〇は軽くソファに背を預ける。
〇〇「みんな答え下手すぎ」
〇〇「修行し直し」
ジェシー「なんのだよ」
笑いが広がる。
その中で、
北斗だけは少しだけ視線を外しながら、
静かにその空気を聞いている。
笑いが少し落ち着いて、ソファの空気がまたゆるく沈む。
ジェシー「いや今日ほんと喋ったな」
慎太郎「恋バナ回すぎる」
樹「脳みそ使ったわ」
きょも「でも嫌いじゃないよね」
高地「うん、こういうのいい」
〇〇「ね」
紅茶のカップをくるくる回しながら、
〇〇「なんかさ」
〇〇「みんな私のこと好きすぎじゃない?」
ジェシー「は?」
慎太郎「自意識過剰」
樹「急に何言ってんの」
〇〇「いやだって」
〇〇「質問めっちゃ来るじゃん」
きょも「それはノリ」
高地「そうそう」
〇〇「ほんとに?」
少しだけ目を細める。
〇〇「じゃあさ」
〇〇「今ここで“誰が一番気になってるか”正直に言って」
一瞬、空気が止まる。
ジェシー「またそれ?」
慎太郎「今日何回目?」
樹「ブレないな」
きょも「攻め強いね」
高地「平和にいこうよ」
〇〇「逃げ禁止」
にこっと笑う。
視線がまた順番に動く。
まずジェシー。
ジェシー「俺は仕事」
〇〇「はい却下」
ジェシー「即切りかよ」
樹「テンポ良すぎ」
次、慎太郎。
慎太郎「秘密」
〇〇「また?」
〇〇「それ一番ずるい」
慎太郎「便利だからな」
きょも「安定」
高地「ブレないね」
樹を見る。
樹「俺?」
少し笑って、
樹「今は楽しいやついるけど」
〇〇「言わないやつね」
樹「言わない」
〇〇「はい保留」
そして——
視線が自然と北斗へ。
空気が少しだけ変わる。
〇〇「北斗」
北斗「……」
〇〇「今、一番気になる人は?」
北斗「……」
少しだけ間。
北斗「別に」
〇〇「またそれ」
〇〇「ちゃんと答えて」
北斗「……いない」
即答。
〇〇「ほんとに?」
北斗「ほんと」
短く。
〇〇「ふーん」
少しだけ目を細める。
〇〇「じゃあさ」
〇〇「今のこの空間は?」
北斗「……」
一瞬止まる。
北斗「うるさい」
〇〇「それ褒め?」
北斗「違う」
即答。
〇〇「じゃあ次」
さらに攻める。
〇〇「一緒にいて落ち着く人は?」
北斗「……」
少しだけ視線を上げる。
北斗「……」
ほんの一瞬の間。
北斗「寝てるやつ」
〇〇「またそれ!」
ジェシー「出た安定回答」
慎太郎「それ好きすぎだろ」
樹「完全に固定」
きょも「分かりやすいね」
高地「安心枠だね」
〇〇「じゃあ私はそれでいいや」
〇〇「寝てるとき担当」
北斗「勝手に決めるな」
〇〇「攻めだから」
軽く笑う。
その一言で、
また部屋に笑いが広がる。
でもその中で、
北斗だけは少しだけ視線を外したまま、
何も言わずにその空気を聞いている。
時間はそのまま、
ゆっくりと続いていく。
夜になると、部屋の空気はさらにゆるくなっていく。
樹「じゃあ夜どうする?」
ジェシー「まだいける」
慎太郎「普通にお腹すいた」
きょも「なんか作る?」
高地「外出るのもだるいしね」
〇〇「ねえ」
少しだけ身を乗り出す。
〇〇「タコパしない?」
一瞬の間。
ジェシー「いいじゃん!」
慎太郎「優勝」
樹「賛成」
きょも「楽しそう」
高地「やろうやろう」
北斗「……別にいい」
さらっと。
〇〇「決まり!」
一気に決定。
ーーー
ソファ前の大きなテーブルに、プレートが置かれる。
床にクッションや座布団を並べて、みんなでぐるっと円になる。
慎太郎「なんか合宿感あるな」
樹「修学旅行みたい」
ジェシー「テンション上がるやつ」
きょも「材料どれから入れる?」
高地「準備しよ」
〇〇「たこ切るの私やる」
樹「大丈夫?」
〇〇「やる」
慎太郎「すぐ張り切る」
ジェシー「危なっかしいやつ」
〇〇「うるさい」
笑いながらキッチンから材料が運ばれてくる。
テーブルの上に広がる、たこ・生地・ねぎ・天かす・チーズ。
樹「王道いくか」
きょも「チーズ多めもいいね」
高地「バランス考えよう」
慎太郎「誰か絶対焦がすだろ」
〇〇「それ私?」
ジェシー「有力候補」
〇〇「失礼」
北斗は黙って、生地を流し込む係になっている。
無駄がない動き。
〇〇「あ、北斗上手そう」
北斗「普通」
短く返す。
〇〇「普通が一番怖い」
ジェシー「分かる」
樹「地味に万能タイプ」
きょも「安定だね」
焼き始めると、部屋にいい匂いが広がる。
ジュワッという音に、自然とテンションが上がる。
慎太郎「来た来た」
樹「これだよこれ」
ジェシー「一発目誰いく?」
〇〇「はい!」
即手を上げる。
〇〇「私ひっくり返す」
高地「いいよいいよ」
きょも「挑戦大事」
北斗「……焦げるなよ」
〇〇「言ったな?」
慎太郎「フラグ」
ジェシー「終わった」
樹「実況始まった」
〇〇「見てて」
ヘラを入れる。
少しぐらつく。
〇〇「あっ」
樹「言った」
慎太郎「はい」
ジェシー「早い」
〇〇「まだ!」
必死にひっくり返す。
なんとか成功。
〇〇「できた!」
高地「おお」
きょも「ナイス」
北斗「……まあ」
小さく。
〇〇「“まあ”やめて」
笑いが広がる。
次々に焼けていくたこ焼き。
チーズがとろけたり、ちょっと焦げたり、誰かが失敗したり。
樹「それ絶対俺のだろ」
慎太郎「いや違う」
ジェシー「俺の黒い」
高地「混ざってるね」
きょも「それも楽しい」
〇〇は笑いながら食べる。
〇〇「おいしい」
素直に言う。
北斗は少しだけ見て、
北斗「……うまいな」
短く。
〇〇「でしょ」
たこ焼きが焼けては消えていくのを繰り返して、テーブルの上はちょっとした戦場みたいになってくる。
樹「次これ絶対チーズ入ってるやつな」
ジェシー「はい俺の領域」
慎太郎「いや俺のだろ」
きょも「もう全部混ざってるよ」
高地「平和にいこう」
〇〇「熱っ!」
〇〇「でもおいしい!」
口の中を押さえながらも幸せそうに笑う。
北斗は黙って、手元のたこ焼きをひっくり返す。
焦げそうなやつをさりげなく救ってるのを、誰かが見て笑う。
樹「北斗地味に優秀なんだよな」
ジェシー「職人タイプ」
慎太郎「黙って全部整えてるの怖い」
北斗「……うるさい」
短く返すだけ。
〇〇はふと横を見る。
〇〇「ねえ」
北斗「……」
〇〇「それ、焦げる前に助けてくれた?」
北斗「別に」
〇〇「絶対そうじゃん」
北斗「偶然」
〇〇「はいはい」
ちょっと笑う。
そのやりとりを見て、きょもが小さく笑う。
きょも「自然だね」
高地「うん、いい感じ」
ジェシー「ここだけ空気違う」
慎太郎「なんか馴染んでるのが怖い」
樹「いや今さらだろ」
焼きながら食べながら、時間はどんどんゆるく流れていく。
途中でジェシーがふざけて大量にソースをかけて、
〇〇「ちょっとそれ多い!」
ジェシー「これが正解」
〇〇「絶対違う」
慎太郎「味濃すぎ」
きょも「でも美味しいかも」
高地「うん、意外といける」
樹「適当すぎるなこの会」
笑いがまた広がる。
〇〇は頬をゆるめながら、ふと手を止める。
〇〇「なんかさ」
ジェシー「ん?」
〇〇「今日ずっと笑ってる気がする」
樹「いいことじゃん」
〇〇「うん」
小さくうなずく。
その横で北斗は、黙ってたこ焼きをひっくり返す。
北斗「……焼けた」
ぽつっと言う。
〇〇「あ、それちょうだい」
自然に手が伸びる。
北斗「熱いぞ」
〇〇「大丈夫」
受け取って、一口。
〇〇「……うま」
少し目を細める。
その一瞬、
北斗は何も言わないまま視線を外す。
でも空気は変わらず、柔らかいまま。
ジェシー「じゃあさ」
ジェシー「最後にもう一回焼くか」
慎太郎「まだ食うのかよ」
きょも「いけるいける」
高地「もうちょっとね」
樹「終わる気ないな」
〇〇「まだいける」
北斗「……好きだなこういうの」
小さく。
誰にも拾われそうで拾われないくらいの声。
でも、そのまま夜は続いていく。
笑いと匂いと、少しの温度を残したまま。
たこ焼きのプレートはまだじゅうじゅう音を立ててる。
少し落ち着いたタイミングで——
樹「なあ」
ぽつっと。
ジェシー「ん?」
慎太郎「どうした」
樹「ゲームやるか」
〇〇「え、また?」
樹「違う違う」
ニヤッとする。
樹「罰ゲームあり」
ジェシー「出た」
慎太郎「仕掛けてきたな」
きょも「どんなの?」
高地「軽めにね?」
〇〇「やだ」
即。
樹「逃げんなよ」
〇〇「絶対ろくでもないじゃん」
樹「簡単だって」
少し前のめりになる。
樹「負けたやつ、質問に正直に答える」
〇〇「それもう恋バナじゃん」
ジェシー「確定じゃん」
慎太郎「地獄」
きょも「でも面白そう」
高地「平和にいこうね」
〇〇「やだ!」
でも笑ってる。
樹「じゃあやる?」
〇〇「……やる」
結局乗る。
ジェシー「よし決定」
慎太郎「誰が負けるかな」
北斗「……」
何も言わないけど、そのまま参加。
ーーー
簡単なミニゲームスタート。
数分後——
樹「はい」
樹「〇〇負け」
〇〇「え!?」
ジェシー「早すぎる」
慎太郎「安定すぎ」
きょも「でもいい流れ」
高地「優しくね」
〇〇「待って!」
〇〇「まだ1回目!」
樹「関係ない」
ニヤッとする。
樹「じゃあ質問」
〇〇「やだ」
樹「逃げ禁止」
〇〇「……なに」
樹「今日一番ドキッとした瞬間」
ジェシー「きた」
慎太郎「攻めるね」
きょも「優しめに…」
高地「大丈夫?」
〇〇「……」
少し止まる。
視線がふっと動く。
〇〇「……」
一瞬だけ、北斗の方を見る。
でもすぐ戻す。
〇〇「……覚えてない」
ジェシー「嘘つけ」
慎太郎「絶対ある」
樹「正直に」
〇〇「……」
少しだけ悩む顔。
〇〇「……」
小さく息を吐く。
〇〇「名前呼ばれたとき」
樹「誰に?」
〇〇「……誰でも」
ジェシー「逃げた」
慎太郎「ギリ回避」
樹「浅いな」
〇〇「うるさい」
でもちょっとだけ照れてる。
樹「じゃあもう一回いくか」
〇〇「え?」
ジェシー「終わらんぞこれ」
慎太郎「地獄ループ」
きょも「でも楽しいね」
高地「ほどほどにね」
北斗「……」
静かにそのやりとりを見てる。
樹はまたニヤッと笑う。
樹「次誰かな」
空気がまた少しだけ動き出す。
さっきより少しだけ踏み込んだまま。
樹「じゃあこのままいくぞ」
指を立てる。
樹「5回」
ジェシー「多っ」
慎太郎「容赦ねぇ」
きょも「長期戦だね」
高地「ゆるくね?」
〇〇「ちょっと待って!」
〇〇「私また負けるやつじゃん」
樹「その可能性高い」
〇〇「やだ!」
でももう始まる流れ。
ーーー
【1回目】
慎太郎「はいストップ!」
結果——
慎太郎「〇〇」
〇〇「なんで!?」
ジェシー「持ってるな」
樹「じゃあ質問」
〇〇「もうやだ」
樹「今一番会いたい人」
〇〇「えー……」
少し考える。
〇〇「……きょも」
きょも「え?」
〇〇「推しだから」
ジェシー「理由が軽い」
慎太郎「でも納得」
樹「はい次」
ーーー
【2回目】
ジェシー「はい!」
ジェシー「……北斗」
北斗「……」
慎太郎「きた」
樹「いい流れ」
〇〇「お」
ジェシー「質問!」
ジェシー「一番気になってる人」
北斗「……」
少し間。
北斗「いない」
全員「えー」
樹「つまんね」
慎太郎「防御硬すぎ」
〇〇「ほんとに?」
北斗「ほんと」
短い。
ーーー
【3回目】
樹「次!」
結果——
樹「〇〇」
〇〇「また!?」
ジェシー「確率おかしい」
慎太郎「引きすぎ」
きょも「すごいね」
高地「人気者だね」
〇〇「違うし!」
樹「質問」
〇〇「やだ!」
樹「今日一番気になった人」
空気が少しだけ変わる。
〇〇「……」
少し止まる。
〇〇「……」
視線がふっと動く。
一瞬だけ——北斗。
でもすぐ逸らす。
〇〇「……いない」
ジェシー「嘘」
慎太郎「絶対いる」
樹「分かりやす」
〇〇「いない!」
ちょっとムキ。
ーーー
【4回目】
慎太郎「はい!」
慎太郎「……樹」
樹「俺か」
ジェシー「いいね」
〇〇「きた」
慎太郎「質問」
慎太郎「今一番楽しい人」
樹「今」
即答。
ジェシー「またそれ」
〇〇「雑」
樹「でもほんと」
軽く笑う。
〇〇「ふーん」
ーーー
【5回目】
ジェシー「ラスト!」
結果——
ジェシー「……〇〇」
〇〇「もうやだ!!」
全員爆笑。
慎太郎「4回目だぞ」
樹「才能」
きょも「すごい確率」
高地「愛されてるね」
〇〇「違うって!」
樹「ラスト質問」
少しだけトーンが落ちる。
樹「今一番ドキッとする人」
静かになる空気。
〇〇「……」
さっきより長く止まる。
〇〇「……」
手元のたこ焼きを見て、
少しだけ息を吸う。
〇〇「……」
また一瞬だけ、
北斗の方を見る。
でも今度は少し長い。
〇〇「……」
小さく、
〇〇「……わかんない」
逃げたようで、
でも逃げきれてない答え。
ジェシー「これは深い」
慎太郎「一番リアル」
樹「まぁそうなるか」
きょも「無理しなくていいよ」
高地「うん」
空気が少しだけやわらかく戻る。
〇〇「終わり!」
〇〇「もうやらない!」
ジェシー「楽しかっただろ」
〇〇「楽しかったけど!」
慎太郎「素直だな」
樹「またやろうな」
〇〇「やらない!」
笑いが戻る。
でもその中で、
北斗は静かにたこ焼きをひっくり返しながら、
一度だけ、〇〇の方を見る。
何も言わずに。
ーーーーーーーーー
北斗side
たこ焼きの鉄板の前。
ジュワッという音と、みんなの笑い声。
北斗はずっと同じ場所に座ったまま、手だけ動かしてる。
生地を流して、ひっくり返して、
焦げそうなやつをさりげなく直す。
その間ずっと——
視線は自然と、〇〇にいってる。
樹の「5回な」で始まったあの流れ。
最初はただのノリだと思ってた。
でも——
〇〇が当たり続ける。
何回も。
逃げるような答え。
でも、
完全には隠せてない表情。
北斗「……」
無意識に、手が少し止まる。
“きょも”
そう言ったとき。
軽い理由だったけど、
どこか安心した自分がいる。
でも次。
“今日一番気になった人”
あの一瞬。
視線。
確実にこっちを見た。
すぐ逸らしたけど、
あれは見間違いじゃない。
北斗「……」
またたこ焼きをひっくり返す。
少し強くなって、
形が少し崩れる。
慎太郎「おい崩れてる」
北斗「……うるせぇ」
短く返す。
でも頭の中は別のことでいっぱい。
最後の質問。
“今一番ドキッとする人”
〇〇は止まった。
今までで一番長く。
あの沈黙。
そして——
またこっちを見た。
今度は少し長く。
北斗「……」
視線を合わせる前に、
わざと逸らした。
見たら、
何か分かってしまいそうで。
結果は“わかんない”。
でも、
あれは本当に分からない顔じゃない。
迷ってる顔。
揺れてる顔。
北斗「……はぁ」
小さく息を吐く。
手元のたこ焼きを整える。
焼けたやつを皿に移す。
〇〇が笑ってる。
樹と。
他のみんなとも。
その中に、
さっきの表情はもうない。
北斗「……」
心臓が少しうるさい。
でも、
顔には出さない。
いつも通り。
北斗「……焼けた」
ぽつっと言う。
〇〇「ちょうだい」
何もなかったみたいに手を伸ばしてくる。
北斗「熱いぞ」
〇〇「大丈夫」
普通の会話。
いつも通り。
でも——
さっき見たものだけが、
頭から離れない。
北斗「……」
静かに、もう一度たこ焼きをひっくり返す。
その動きだけが、
やけに丁寧になっていく。
ーー
〇〇「ねえ」
たこ焼きを頬張りながら、ふと顔を上げる。
〇〇「北斗もいっぱい食べたら?」
北斗「……」
鉄板の上で手は止まらないまま。
〇〇「ずっと焼いてるじゃん」
〇〇「全然食べてないでしょ」
ジェシー「たしかに」
慎太郎「裏方すぎる」
樹「職人モード」
きょも「食べなよ」
高地「せっかくだしね」
北斗「……別にいい」
短く。
〇〇「よくない」
すぐ返す。
〇〇「はいこれ」
近くの皿から一つ取って、普通に差し出す。
〇〇「今ちょうどいいやつ」
北斗「……」
一瞬だけ手が止まる。
そのまま受け取る。
北斗「……熱いぞ」
〇〇「大丈夫だって」
特に深い意味もなく、
ただ“焼いてる人が食べてないから”ってだけ。
北斗は一口食べる。
北斗「……うまい」
小さく。
〇〇「でしょ」
何も考えてない笑顔。
すぐまた次のたこ焼きに目を向ける。
〇〇「これチーズだ」
ジェシー「それ俺!」
慎太郎「違う俺!」
樹「また始まった」
きょも「平和にね」
高地「分けよう」
いつもの賑やかな空気に戻る。
北斗「……」
もう一つ取って食べながら、
さっきの罰ゲームを思い出す。
あの時の視線。
あの一瞬の間。
でも——
北斗「……」
あれはただ、
みんなに見られてたから。
変に目が合わないように、
気を使ってただけ。
それ以上でもそれ以下でもない。
そう考える。
考えるけど、
完全には消えない違和感。
〇〇はもう普通に笑ってる。
さっきのことなんて何も残ってないみたいに。
北斗「……」
視線を外して、
またたこ焼きをひっくり返す。
さっきより少しだけ雑に。
でもすぐ整える。
北斗「……」
何も言わないまま、
またいつも通りの空気に戻る。
18:30。
テーブルの上には、たこ焼きの名残り。
紙皿とピックがそのままで、誰も動く気配なし。
ジェシー「もう無理」
慎太郎「腹パン」
樹「片付け誰?」
きょも「あとで」
高地「休憩優先」
〇〇「賛成〜」
ソファと床にそれぞれ崩れる。
〇〇はソファにもたれて、軽く伸び。
〇〇「はぁ…満腹」
樹「食いすぎ」
〇〇「樹もね」
樹「否定できん」
ジェシー「デザートいく?」
慎太郎「まだ入る」
きょも「すご」
高地「甘いのならいける」
〇〇「アイス食べたい」
樹「いいね」
ジェシー「賛成」
〇〇はスマホを取り出す。
〇〇「じゃあ頼むね」
慎太郎「任せた」
きょも「楽しみ」
高地「ありがとう」
〇〇「よし、注文した」
樹「早」
ジェシー「さすが」
そのとき——
北斗「……お前ら」
少し間。
北斗「いつ帰る?」
ジェシー「え?」
慎太郎「急に?」
樹「なんだよ」
きょも「どうしたの?」
高地「何かある?」
〇〇「……どうしたの?」
北斗「いや」
北斗「明日もあるだろ」
ジェシー「全員オフです」
慎太郎「帰る理由ゼロ」
樹「居座る気満々」
きょも「ゆっくりしたい」
高地「いい時間だしね」
北斗「……」
少しだけ黙る。
樹「邪魔?」
ジェシー「出た」
慎太郎「それだ」
〇〇「なにそれ」
笑う。
北斗「……違う」
即。
〇〇「まだいていいでしょ」
北斗「……好きにしろ」
ぶっきらぼう。
樹「はい許可」
ジェシー「解散なし」
慎太郎「継続」
きょも「よかった」
高地「安心」
〇〇「じゃあさ」
スマホをもう一度開く。
〇〇「アイスだけじゃなくて、飲み物も頼む?」
樹「いいね」
ジェシー「ジュース?」
慎太郎「炭酸」
きょも「お茶もほしい」
高地「バランスよく」
〇〇「どうせならさ」
少しニヤッとする。
〇〇「お酒もいく?」
一瞬の間。
ジェシー「いいね!!」
慎太郎「きた」
樹「それな」
きょも「軽めなら」
高地「飲みすぎ注意ね」
〇〇「任せて」
指を動かす。
〇〇「じゃあ弱いやつと普通のやつ両方頼むね」
樹「有能」
ジェシー「神」
慎太郎「楽しみ増えた」
〇〇「はい、全部注文完了」
スマホを置く。
〇〇「これで完璧」
樹「30分待ちか」
ジェシー「余裕」
慎太郎「それまで休憩」
きょも「のんびりしよ」
高地「いい時間だね」
〇〇「ね」
ソファに沈む。
ゆるい空気。
でもさっきより少しだけテンションが上がってる。
北斗「……」
静かにその様子を見る。
少しだけ息を吐く。
結局、
誰も帰らない夜になりそうだと、
なんとなく分かってる。
そのまま、ゆるい時間。
誰も動かず、会話も途切れ途切れ。
テレビもつけず、ただそれぞれがだらっとしてる。
ジェシー「……眠くなってきた」
慎太郎「わかる」
樹「食後のそれな」
きょも「ちょっと横になる?」
高地「ソファ争奪戦だね」
〇〇「もう座ってる人勝ちでしょ」
樹「それな」
〇〇はソファの端で、クッション抱えながらぼーっとしてる。
〇〇「……」
少しだけ目がとろんとしてる。
北斗は少し離れた位置からそれを見てる。
北斗「……」
何も言わない。
でも視線は一瞬だけ止まる。
ーーー
ピンポーン。
全員「来た」
慎太郎「早」
ジェシー「神」
樹「誰行く」
〇〇「はーい」
立ち上がろうとする。
その瞬間——
北斗「……いい」
すっと立つ。
北斗「俺行く」
〇〇「え、ありがと」
北斗はそのまま玄関へ。
ジェシー「気遣い」
慎太郎「珍し」
樹「なにそれ」
きょも「優しいじゃん」
高地「ね」
北斗は何も言わず受け取って戻ってくる。
袋をテーブルに置く。
北斗「……はい」
〇〇「ありがとう」
袋を開ける。
〇〇「アイスきた!」
ジェシー「よっしゃ」
慎太郎「チョコある?」
樹「俺それ」
きょも「これ美味しそう」
高地「フルーツ系もあるね」
〇〇「ちゃんとバランス考えました」
樹「ドヤ顔やめろ」
笑いが起きる。
次に飲み物。
ジェシー「お酒もあるじゃん」
慎太郎「最高」
樹「誰から開ける?」
〇〇「乾杯する?」
きょも「いいね」
高地「軽くね」
それぞれ手に持つ。
〇〇「じゃあ」
少しだけ笑って、
〇〇「今日お疲れ〜」
全員「お疲れー!」
カチッと軽く当てる。
一気に飲むわけじゃない、
ゆるい乾杯。
ジェシー「うま」
慎太郎「最高かよ」
樹「完全オフ」
きょも「いい時間だね」
高地「落ち着く」
〇〇も一口飲む。
〇〇「……美味しい」
少しだけ笑う。
その横で、
北斗も静かに一口。
北斗「……」
何も言わない。
でも——
さっきよりほんの少しだけ、
空気に馴染んでる。
乾杯のあと、
それぞれがゆるく飲みながら、アイスをつつく。
ジェシー「これうま」
慎太郎「それ当たり?」
樹「一口くれ」
きょも「ちょっとちょうだい」
高地「回ってるね」
〇〇「平和」
笑う。
その流れのまま、
北斗も静かに口を開く。
北斗「……それうまい?」
少しだけ〇〇の方を見る。
〇〇「これ?」
スプーンを持ち上げる。
〇〇「美味しいよ」
北斗「……じゃあ一口」
〇〇「いいよ」
自然に差し出す。
北斗はそのまま一口。
北斗「……うまい」
〇〇「でしょ」
樹「普通に食ってるじゃん」
ジェシー「距離感どうなってんの」
慎太郎「ナチュラルすぎ」
きょも「仲いいね」
高地「いいね」
〇〇「普通でしょ」
北斗「……普通」
さらっと返す。
その空気のまま、
お酒も同じペースで進む。
北斗も無理せず、
でも周りと同じくらいの量をゆっくり飲んでる。
ーーー
ジェシー「てかさ」
慎太郎「うん」
ジェシー「最近どうよみんな」
樹「雑すぎ」
きょも「でも気になる」
高地「たしかに」
〇〇「最近?」
少し考える。
〇〇「仕事ばっか」
樹「だろうな」
ジェシー「忙しそう」
慎太郎「休めてる?」
〇〇「今日が奇跡レベル」
きょも「そっか…」
高地「無理しすぎないでね」
〇〇「うん」
軽く笑う。
樹「北斗は?」
話を振る。
北斗「……別に」
ジェシー「出た」
慎太郎「それじゃわからん」
きょも「ちゃんと話して」
高地「聞きたいな」
北斗「……」
少し間。
グラスを軽く揺らしながら、
北斗「……普通に仕事」
樹「普通って何」
北斗「撮影とか」
ジェシー「ざっくり」
慎太郎「最近なんかあった?」
北斗「……」
少しだけ考える。
北斗「……寝不足」
ジェシー「それはそう」
樹「みんなな」
きょも「忙しいよね」
高地「体調気をつけてね」
〇〇「ちゃんと寝なよ」
さらっと言う。
北斗「……お前もな」
一瞬だけ目が合う。
〇〇「……」
少しだけ笑う。
空気が少し柔らかくなる。
ーーー
慎太郎「俺さ最近ジム行ってる」
樹「続いてんの?」
慎太郎「一応」
ジェシー「すご」
きょも「偉いね」
高地「ストイック」
〇〇「え、すご」
樹「〇〇も言ってたじゃんジム迷ってるって」
〇〇「あー…」
思い出す。
〇〇「どうしよっかなって」
ジェシー「行けよ」
慎太郎「一緒にやる?」
〇〇「いや絶対無理」
笑う。
北斗「……続かないだろ」
ぼそっと。
〇〇「え」
〇〇「なんで」
北斗「……飽きるタイプ」
〇〇「決めつけ」
樹「当たってる」
ジェシー「それな」
慎太郎「三日坊主」
〇〇「うるさい」
きょも「でも楽しくやれば続くよ」
高地「無理ない範囲でね」
〇〇「考えとく」
北斗「……どうせやるならちゃんとやれよ」
〇〇「何その上から」
北斗「……別に」
でもどこか少しだけ柔らかい。
〇〇「……じゃあ教えてよ」
軽く言う。
北斗「……は?」
ジェシー「きた」
樹「巻き込まれた」
慎太郎「トレーナー北斗」
きょも「いいじゃん」
高地「優しそう」
北斗「……やらねぇ」
即。
〇〇「えー」
樹「逃げた」
ジェシー「ダメだこいつ」
笑いが広がる。
そのまま、
最近の話、くだらない話
グラスが少しずつ空いていく。
会話もゆるくなって、
笑い声がさっきより大きくなる。
〇〇「……あれ」
ふと、手元のグラスを見る。
〇〇「なんか」
首をかしげる。
〇〇「ちょっとふわふわする」
ジェシー「出た」
慎太郎「早くない?」
樹「絶対弱いじゃん」
きょも「大丈夫?」
高地「無理しないでね」
〇〇「大丈夫〜」
笑ってるけど、
少しだけ目がとろんとしてる。
〇〇「楽しいから平気」
樹「それ危ないやつ」
ジェシー「典型」
慎太郎「ストップかける?」
〇〇「やだ」
即。
きょも「可愛い」
高地「無理はダメだよ」
〇〇「ちょっとだけだから」
グラスをまた持とうとする。
その瞬間——
北斗「……それ以上やめとけ」
すっと手を軽く押さえる。
〇〇「え」
北斗「……顔赤い」
〇〇「そう?」
北斗「……酔ってる」
〇〇「まだいける」
北斗「……いけてない」
即。
樹「正論」
ジェシー「ストッパー北斗」
慎太郎「ナイス」
〇〇「えー」
少し不満そうにする。
でも手は止まる。
北斗はそのまま、
近くにあった水を差し出す。
北斗「……これ飲め」
〇〇「……」
少し見てから、
〇〇「優しいじゃん」
小さく笑う。
北斗「……うるさい」
ぶっきらぼう。
でもそのまま手は引かない。
〇〇は水を一口飲む。
〇〇「……ん」
少し落ち着く。
でも、
体は少しふわふわ。
〇〇「ねぇ」
樹「ん?」
〇〇「今日さ」
〇〇「めっちゃ楽しい」
素直に言う。
ジェシー「酔ってるな」
慎太郎「完全に」
きょも「でも分かる」
高地「いい時間だね」
〇〇「ずっとこのままがいい」
ぽろっと出る本音。
一瞬、空気が少しだけやわらぐ。
北斗「……」
その言葉を聞いて、
ほんの少しだけ視線を向ける。
〇〇は気づかないまま、
ソファに少し寄りかかる。
〇〇「……眠いかも」
ジェシー「ほらきた」
慎太郎「早すぎ」
樹「典型パターン」
きょも「寝ていいよ」
高地「無理しないで」
〇〇「ちょっとだけ…」
そのままクッションに顔をうずめる。
北斗「……」
少しだけ近くを見る。
起こすでもなく、
離れるでもなく、
ただ様子を見てる。
賑やかなままなのに、
その一角だけ少し静か。
夜はまだ続くけど、
〇〇のペースは、ゆっくり落ちていく。
ソファの端。
クッションに顔をうずめたまま、
〇〇「……」
一瞬だけ静かになる。
ジェシー「寝た?」
慎太郎「早」
樹「秒じゃん」
きょも「かわいい」
高地「そっとしとこ」
北斗「……」
少しだけ様子を見る。
でも——
数秒後。
〇〇「……ん」
ゆっくり顔を上げる。
〇〇「寝てない」
ジェシー「いや寝てた」
慎太郎「完全に」
樹「いびきはかいてないけどな」
〇〇「かいてないならセーフ」
きょも「基準おかしい」
高地「大丈夫?」
〇〇「うん」
少しだけふらっとしながら座り直す。
〇〇「せっかくオフだし」
グラスをまた手に取る。
〇〇「楽しみたい」
樹「待て」
ジェシー「ストップ」
慎太郎「やめとけって」
きょも「無理しないで」
高地「ほんとに」
でも〇〇は笑って、
〇〇「大丈夫だって」
そのまま一口飲む。
北斗「……」
すぐに手を伸ばす。
北斗「やめろって」
グラスを軽く止める。
〇〇「えー」
北斗「……さっき寝てただろ」
〇〇「一瞬」
北斗「同じ」
即。
樹「正論すぎる」
ジェシー「ぐうの音も出ない」
慎太郎「完封」
〇〇「でもさ」
少しだけ北斗を見る。
〇〇「楽しいのに終わるの嫌」
ぽろっと。
場の空気が少しだけやわらぐ。
きょも「気持ちは分かる」
高地「うん」
ジェシー「でも無理はダメ」
樹「楽しむ=飲むじゃないだろ」
慎太郎「それな」
〇〇「……」
少しだけ考える。
でも手はまだグラスを持ってる。
北斗「……」
小さく息を吐く。
北斗「じゃあ一口だけ」
全員「え?」
北斗「それ以上なし」
〇〇「……」
少し目を見開く。
〇〇「いいの?」
北斗「……約束守るならな」
〇〇「守る」
即。
ジェシー「甘」
樹「甘いな」
慎太郎「優し」
きょも「いいじゃん」
高地「バランス」
〇〇は小さく笑って、
ほんの一口だけ飲む。
〇〇「……美味しい」
満足そう。
そのままグラスを置く。
北斗「……はい終わり」
すっと遠ざける。
〇〇「えー」
北斗「約束」
〇〇「……はーい」
少し不満そうだけど、
どこか嬉しそう。
〇〇はそのままソファに寄りかかる。
〇〇「じゃあ喋る」
ジェシー「それでいい」
慎太郎「それが正解」
樹「飲まずに楽しめ」
きょも「いっぱい話そ」
高地「ね」
〇〇「うん」
笑う。
さっきより少しだけふわふわしてるけど、
ちゃんと起きてる。
北斗はその様子を見て、
何も言わずに少しだけ視線を外す。
でも——
さっきより近い距離にいるまま。
〇〇はクッション抱えたまま、少しふわっとした顔で笑う。
〇〇「ねぇ聞いて」
ジェシー「きた」
慎太郎「酔いトーク」
樹「内容濃いやつだろこれ」
きょも「楽しみ」
高地「なになに?」
〇〇「最近さ、タイムレスでさ」
少し思い出して笑う。
〇〇「原ちゃんがね」
樹「原ちゃんね」
〇〇「めっちゃ真面目にダンス練してて」
ジェシー「うん」
〇〇「“ここ揃えたい”って何回も止めるの」
慎太郎「ストイック」
〇〇「で、勝利くんも真面目に合わせてて」
きょも「いいね」
〇〇「そこまでは普通じゃん?」
樹「うん」
〇〇「風磨がさ」
全員「あー」
〇〇「横でめっちゃ真似してんの」
ジェシー「出た」
慎太郎「絶対やる」
〇〇「しかも微妙にズレてるの」
樹「悪意あるやつ」
〇〇「原ちゃんが“違います!”って言うたびに」
〇〇「風磨が“え、完璧じゃない?”って」
ジェシー「うざいなそれ」
慎太郎「想像できる」
きょも「可愛いけどね」
高地「空気和ませてる」
〇〇「でさ」
笑いながら続ける。
〇〇「勝利くんが最初普通にやってたのに」
〇〇「途中からツボ入って」
樹「え」
〇〇「笑いこらえてんのに肩震えてんの」
ジェシー「珍しい」
慎太郎「勝利が?」
〇〇「そう!」
〇〇「でも原ちゃんはガチだから気づいてなくて」
樹「カオス」
〇〇「最終的に風磨が“じゃあ一回全部俺に任せて”って言って」
ジェシー「嫌な予感」
〇〇「全員の振りまとめるって言い出して」
慎太郎「やばい」
〇〇「で、やったら全部ズレてて」
全員「ははは」
〇〇「原ちゃん“もういいです!”って」
樹「キレた」
ジェシー「でも優しいやつ」
きょも「いいチームだね」
高地「楽しそう」
〇〇「めっちゃ楽しかった」
少しふわっと笑う。
〇〇「でもちゃんと最後は揃えたよ」
樹「さすが」
慎太郎「締めるとこ締める」
ジェシー「いい話」
〇〇「あとね」
まだ続くテンション。
樹「まだあるの?」
〇〇「勝利くんがさ」
きょも「うん」
〇〇「休憩中に静かに座ってたのに」
〇〇「風磨が急に隣来て」
ジェシー「うん」
〇〇「“お前今日真面目すぎない?”って絡み出して」
慎太郎「うざ絡み」
〇〇「勝利くん最初無視してたのに」
〇〇「最後“うるさい”って小声で言ってて」
樹「レア」
ジェシー「それはレア」
きょも「見たい」
高地「微笑ましい」
〇〇「で、そのあと普通に2人で笑ってた」
少しだけ優しい顔になる。
〇〇「なんかいいなって思った」
そのまま少しだけぼーっとする。
ジェシー「いい現場だな」
慎太郎「楽しそう」
樹「〇〇も楽しそうだったしな」
〇〇「うん」
素直に頷く。
北斗「……」
静かにその話を聞いてる。
表情は変わらないけど、
ちゃんと聞いてる。
〇〇はそのまま少し笑って、
またクッションに寄りかかる。
〇〇「……楽しい話いっぱいある」
樹「まだいく?」
ジェシー「夜長いぞ」
慎太郎「語れ語れ」
きょも「聞きたい」
高地「うん」
〇〇「じゃあ次——」
少しふわっとしながらも、
楽しそうに続けようとする。
夜はまだ、続く。
それから沢山話す〇〇
〇〇はクッション抱えたまま、少しにやっとする。
〇〇「じゃあさ」
樹「まだあるの?」
〇〇「北斗の話していい?」
ジェシー「お、きた」
慎太郎「本人いるけど?」
きょも「聞きたい」
高地「気になる」
北斗「……やめろ」
小さく。
でも〇〇は止まらない。
〇〇「一緒に過ごしてるじゃん?」
樹「おい待て情報量」
ジェシー「さらっと言うな」
慎太郎「普通に爆弾」
きょも「仲良しだね」
高地「へぇ〜」
北斗「……」
無言。
〇〇「でさ、洗濯一緒に回すのね」
樹「もうアウト」
ジェシー「続けろ」
慎太郎「聞く」
〇〇「最初はちゃんとそれぞれネット入れてたの」
きょも「ちゃんとしてる」
〇〇「でもめんどくさくなって」
樹「出た」
〇〇「そのまま一緒に入れて回してんの」
ジェシー「雑」
慎太郎「リアル」
高地「まあ分かる」
〇〇「で、干すときにさ」
少し北斗を見る。
〇〇「この人毎回怒ってくるの」
ジェシー「なんで?」
慎太郎「何がダメ?」
〇〇「“ちゃんと分けろ”って」
樹「普通ではある」
きょも「気になる人もいるよね」
高地「うん」
〇〇「でもさ」
〇〇「もう見慣れてるなら良くない?」
さらっと言う。
ジェシー「え?」
慎太郎「今なんて?」
樹「聞き間違い?」
きょも「見慣れてる?」
高地「え?」
北斗「……おい」
低く。
〇〇「だって私、弟いるから普通なの」
樹「いや基準違う」
ジェシー「それは違う」
慎太郎「全然違う」
〇〇「え?」
きょも「それはまた別だね」
高地「うん、別問題」
〇〇「でもさ〜」
少しふわっとしながら、
〇〇「いちいち分けるのめんどくさくない?」
樹「ズボラ発動」
ジェシー「完全に」
慎太郎「北斗が正しい」
〇〇「でしょ?」
北斗を見る。
北斗「……でしょ?じゃない」
即。
〇〇「えー」
北斗「……普通に考えろ」
〇〇「普通だって」
北斗「……普通じゃない」
樹「珍しくちゃんとしてる」
ジェシー「北斗が正論」
慎太郎「これは北斗側」
きょも「うん」
高地「ちゃんと分けたほうがいいね」
〇〇「でもさ」
まだ引かない。
〇〇「この人さ」
北斗を指さす。
〇〇「“たまに可愛くないのもあるだろ”とか言うの」
一瞬、空気が止まる。
ジェシー「……は?」
慎太郎「え?」
樹「おい」
きょも「……」
高地「……」
北斗「……」
完全に固まる。
〇〇「意味わかんなくない?」
〇〇「可愛いとか関係なくない?」
ジェシー「いや待て」
慎太郎「それは」
樹「北斗?」
きょも「どういうこと?」
高地「気になるね…」
北斗「……」
一瞬だけ目を閉じる。
北斗「……お前が言うな」
低く。
〇〇「え?」
北斗「……何でもない」
ジェシー「逃げた」
慎太郎「逃げたぞ」
樹「説明しろ」
きょも「気になる」
高地「うん」
〇〇「なにそれ〜」
ちょっと笑う。
〇〇「意味わかんないんだけど」
北斗「……」
何も言わない。
でも耳が少し赤い。
樹「図星か」
ジェシー「これは図星」
慎太郎「珍しい」
きょも「北斗が困ってる」
高地「レアだね」
〇〇は気づかず、
クッション抱えて笑ってる。
〇〇「ほんと変だよね」
北斗「……お前がな」
小さく。
でもどこかいつもより静か。
周りはニヤニヤしてる。
その空気の中で、
北斗だけ少しだけ視線を逸らす。
ジェシー「いやちょっと待って」
慎太郎「情報多すぎる」
樹「一回整理させろ」
きょも「うん」
高地「落ち着いて話そう」
〇〇「え、なに?」
まだふわっとしてる。
樹「まず」
樹「一緒に洗濯してるの?」
〇〇「してるよ」
即答。
ジェシー「同じタイミングで回すだけじゃなくて?」
〇〇「同じ中に入れてる」
慎太郎「アウト」
きょも「びっくりした」
高地「それはさすがに…」
〇〇「えー」
不満そう。
〇〇「だって楽だし」
樹「楽さの問題じゃない」
ジェシー「そういう問題じゃない」
慎太郎「北斗よく耐えてるな」
視線が北斗へ集まる。
北斗「……」
ため息一つ。
北斗「耐えてない」
〇〇「え」
北斗「……毎回言ってるだろ」
〇〇「聞いてない」
即。
全員「ははは」
樹「強い」
ジェシー「無敵かよ」
慎太郎「そりゃ怒るわ」
きょも「ちゃんと聞こうね」
高地「うん」
〇〇「でもさ〜」
まだ納得してない。
〇〇「別に減るもんじゃないじゃん」
樹「いや減るとかじゃない」
ジェシー「概念の話」
慎太郎「価値観」
〇〇「むずかし」
クッションに顔埋めかける。
北斗「……」
ちらっと見る。
北斗「……だからネット入れろって言ってる」
〇〇「めんどい」
即。
北斗「……」
一瞬黙る。
樹「詰んだ」
ジェシー「これは無理」
慎太郎「勝てない」
きょも「でもさ」
きょも「北斗の気持ちも分かるよ」
高地「うん、気にする人は気にするしね」
〇〇「……」
少しだけ考える。
〇〇「じゃあさ」
〇〇「半分だけ分けるとかは?」
樹「妥協案出た」
ジェシー「中途半端」
慎太郎「意味ある?」
北斗「……ない」
即。
〇〇「えー」
また不満。
でも少しだけ笑ってる。
ジェシー「てかさ」
ジェシー「さっきの“可愛くないのもあるだろ”の話」
慎太郎「それな」
樹「そこ掘ろう」
きょも「気になる」
高地「うん」
〇〇「でしょ?」
北斗を見る。
〇〇「意味わかんないよね?」
北斗「……」
視線を逸らす。
樹「北斗?」
ジェシー「説明しろよ」
慎太郎「逃げんな」
きょも「ちゃんと話して」
高地「気になるなあ」
北斗「……別に深い意味ねぇよ」
樹「嘘つけ」
ジェシー「あるだろ」
慎太郎「絶対ある」
〇〇「なにそれ」
ちょっと笑いながら、
〇〇「気にしてるってこと?」
北斗「……違う」
即否定。
でも少しだけ間がある。
樹「間あったな」
ジェシー「今の間なに」
慎太郎「バレてるぞ」
きょも「素直に言えばいいのに」
高地「うん」
北斗「……」
小さく息を吐く。
北斗「……普通に」
北斗「見えるだろ」
〇〇「……?」
一瞬きょとん。
〇〇「何が?」
ジェシー「おい」
慎太郎「分かってない」
樹「無自覚怖い」
きょも「〇〇…」
高地「天然だね」
〇〇「え、何?」
本気で分かってない顔。
北斗「……もういい」
顔を逸らす。
樹「逃げた」
ジェシー「完全に逃げた」
慎太郎「これは面白い」
〇〇「えー気になるんだけど」
北斗「……気にすんな」
〇〇「余計気になる」
笑う。
そのまま、
またクッション抱えて少し寄りかかる。
〇〇「でもさ」
〇〇「結論、分けた方がいいの?」
きょも「うん」
高地「うん」
ジェシー「うん」
慎太郎「うん」
樹「満場一致」
〇〇「……」
少しだけ考えて、
〇〇「じゃあ気が向いたらやる」
樹「やらないやつ」
ジェシー「絶対やらん」
慎太郎「未来見えた」
北斗「……やれよ」
小さく。
〇〇「……考えとく」
ちょっとだけ笑う。
気づけば——
時計は20:00。
ジェシー「え、もうそんな時間?」
慎太郎「はや」
樹「一瞬じゃん」
きょも「ほんとだ」
高地「びっくり」
〇〇「……」
ソファにもたれたまま、
少しだけぼーっとしてたけど、
ふっと顔を上げる。
〇〇「……あ」
樹「どした」
〇〇「お風呂入りたい」
ジェシー「急だな」
慎太郎「今?」
きょも「いいと思うけど」
高地「さっぱりするしね」
〇〇「なんか酔い覚ましたい」
軽く頭を押さえる。
〇〇「ちょっと回ってる」
樹「そりゃな」
ジェシー「飲んでたし」
慎太郎「正解かも」
〇〇「入ってくる」
立ち上がろうとする。
でも少しふらっとする。
北斗「……待て」
すっと近づく。
〇〇「大丈夫」
北斗「……大丈夫じゃない」
即。
樹「サポート入った」
ジェシー「頼もしい」
慎太郎「任せた」
きょも「気をつけてね」
高地「ゆっくりでいいよ」
〇〇「平気だって〜」
言いながらも、
バランスがちょっと不安定。
北斗「……ほら」
軽く腕を支える。
〇〇「……」
一瞬だけ見上げる。
〇〇「ありがと」
北斗「……別に」
そのままゆっくり歩かせる。
リビングから廊下へ。
樹「いってら」
ジェシー「溺れるなよ」
慎太郎「それはやばい」
きょも「やめなって」
高地「ちゃんと見てあげてね」
北斗「……見てる」
短く。
〇〇「子どもじゃないんだけど」
少し笑う。
でもそのまま支えられて進む。