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#シリアス
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今日も日本探しの情報収集をしつつ、
船内での与えられた仕事も取り組む。
「お父さん、服薬の時間ですよ。」
「また薬か…いらねェって言ってんのに」
「体調あんまりよろしくないんでしょ?
ちゃんと飲まないと治りませんよ?」
今日はマルコ隊長が他の事で手一杯な為、
お父さんの薬を届けに行きつつ
健康状態のチェックをする。
お父さんは渋々ながらも薬を口に含み、
水と一緒に飲んだ。
「おっ、ちゃんと飲んだ。良かったぁ…」
「可愛い娘に説教されちゃァ仕方ねェ。」
いつもなら渋って飲まないと聞いてはいたんだけどなぁ……
可愛い娘に…か
「ねぇお父さん、私はいい娘なのかな…」
お父さんの昨日の健康管理表を見ながら
現在の健康状態についての記録を書き留めつつ
無意識にそう尋ねてしまう。
ときどき見る夢で、私は色んな人から責められている……
多分元居た日本で何かあったんだろうとは思うけど、
皆さんに嫌な思いをさせていないかふと不安になることがある……
「ん…?何だァ急に…?」
お父さんは不思議そうな顔をして私を見た。
そんなお父さんの顔を見て
何か変な事を言ってしまったのではないかと
我に返り恥ずかしくなってくる……
「ああいや、ごめんなさい何でも…」
ああ…何を言ってんだろ私……
「よォ、ありがとないぶき。後は大丈夫だ、
戻っていいよい。」
と、船長室にマルコ隊長がやってきた。
「マルコ隊長、お疲れ様です…。」
「おうマルコ、薬なら飲んだぜ。」
「おっそうかい。普段俺にガタガタ言われるからねいあんたは…?
今日は可愛い娘が来たからちゃんと飲んだか。」
隊長は笑いながらさらりと
個包装のチョコを私に差し出した。
そしてそこにはメモも貼られている。隊長と目が合うと、隊長はそっと微笑んで
口元に人差し指を当て、“内緒”というような素振りをする。
マルコ隊長……
ああ…もう……この人は……
「じゃ、じゃあ私はこの辺で…!
それとごめんなさいお父さん、さっきの話は忘れて下さい…!!」
チョコレートを受け取り、隊長とお父さんに頭を下げると船長室を急いで出た。
どうしよう…心臓がすごくうるさい……
マルコ隊長は本当、いつも優しくしてくれるんだよなぁ……
そういえばだが、最近マルコ隊長が
いつの間にか隣にいることが多い気がする…。
食事の時も
「よォ、隣いいかい?」
「はい。どうぞ。」
日本の情報共有中も……
「そういや日本って他にどんな特徴あんだ?」
「うーんとですね…
「話聞いてると本当個性的だなって思うねい…そういや、お前らんとこの出身地は何があんだい?」
「俺んとこっスか?暑い地域だったんで、雪めっちゃ新鮮だったんすよ!
これが雪かぁっつって感動したっけな〜」
「俺んとこはよ______」
いつの間にか会話に入ってきてるときもあるし
「あ、やばい落とし……
「よっと…。ほらよい、大丈夫か?」
「あ、ありがとうございます…。」
手から持っているものを落とせば、すぐ拾って差し出してくれる。
颯爽と現れるんだよなぁ隊長は…
「いぶきには、安心して過ごしてもらいてェんだ。」
安心して…か…
安心してますよ、マルコ隊長……?
記憶を失くした挙句身寄りがない私をあなたは助けてくれたんですから
それに皆さんには内緒で私にだけチョコを……
『こっそり一人で食ってくれ。みんなには内緒だ。
あんまり無理すんじゃねェぞ?
マルコ』
チョコに貼られているメモを読みながら、
私は彼の今までの優しさを思い出す度に、
胸がドキドキと高鳴る……
マルコ隊長……このままだと私は
あなたの事好きになって、記憶が戻ったとしても
離れ難くなっちゃうかもしれない……