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いぶきが船長室から出た後…
「なァマルコ、さっきいぶきがしんみりした顔で聞かれた。
“いい娘になれてるか”……なんてよ」
と、オヤジは複雑そうに顔をしかめながら言った。
「不安そうに、どこか悲しそうな目をしてやがった。
いつか別れが来るっつーのは理解してんだろうなァ…」
「……そうだろうな…。」
それもあるだろうが、
尋ねた意図はそれだけじゃねェと俺は思っていた。
『___分かんないです、…っ、自分でも…。
分からないけど、何か辛くて…。ごめんなさい……____』
『___私…嫌な気持ちになる夢を見るんです……
朝起きるといつも嫌な気持ちになってしまって…。___』
あいつに以前住んでいる場所を思い出せそうか
尋ねた時、何故泣き出したのか
いつも嫌な気持ちになる夢を何故見るのか
イゾウに持ってた金を見せて尋ねた際、
どんなところだったかを思い出そうとして
途中で気持ちが悪くなってしまったと聞いた。
日本の行方を探す中で
ときどき冷や汗を掻いたり、過呼吸になったりするのか……
医療室に落ちていた“あれ(遺書)”がきっと答えだ
あれにはたくさんのことが書かれていた……
「あいつはどんな気持ちで…これを書いたんだ……」
オヤジの体調状態の確認が終わって医療室へ戻ると、
引き出しに締まっていた遺書を取り出した。
これはもしかしたら以前カバンから落ちたんだろうな…。
いぶきと初めて出会ったとき、
あいつはでけェカバンを持っていたからな…。
俺が温かい飲み物をいぶきに淹れて戻った際、
自分でも記憶が戻る手掛かりがないかカバンを漁ってた。
多分漁っていた弾みで目の届かねェ場所に落ちてしまったんだろう……
「ある意味俺が先に見つけといて良かったかもしれねェ……」
何となく訳があるんだろうとは思ってはいたが…
正直かなり衝撃的だった
“バタンッ”…!!
「おいマルコ!!エースの奴がでっけェ魚釣ったんだとよ見に来いよ!!」
「ラクヨウ、てめェ部屋入るときはノックしろって何回言えば分か……
「ほら行くぞ、マジですげェんだってこれが!」
医療室の扉を勢い良く開けたかと思えば肩を回され、
甲板に強引に連れていくラクヨウ。
こいつの勢いで遺書を引き出しの中にしまう暇がなく、
とりあえず上着の内ポケットに忍ばせる。
“これ”を知るのは今は俺だけで十分だ。
「お前ら見ろよこれ!おーいサッチ、今日の飯はこれだ頼んだぞ!」
「おおっ!?いきなり投げてくんじゃねェエース!!
んで、何がいい?やっぱ刺し身か?」
「これだけ大きいから半分は刺し身で半分は焼いて食べるとかでもいいかも?」
「おっいぶきナイス!よーし、食べ比べしようぜ食べ比べ!」
甲板へ着くと、奴らと楽しそうに話してるいぶきの姿が。
まだあいつは記憶が定かではねェ……
しかし嫌な夢を見たり過呼吸を起こしたりすんのは
体が日本に対して拒否反応を起こしてるんだろう。
そんな状態で遺書を直接本人に見せて尋ねることはしねェよい……
それにみんなに遺書の事を話したりも……
オヤジにももちろん、話してはいねェ。
ただこれは、みんなを信用してねェわけじゃねェ。
何かの弾みでいぶきに知れ渡って、
あいつが更に体調を崩したり、
嫌な記憶を呼び起こさせちまったりする可能性があるからだ。
#シリアス
100
かえっていぶきを追い詰める形になる…。
船医として、いぶきを好いてる一人の男として、
俺はあいつを守りてェんだ_______