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🪼🫧 海月 シー 🔑🌙ᙅ⩬
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⚠️
※嘔吐表現があります!
※鳴海隊長が原作より優しめです
※ノベルも二次創作も初の試み(下書き段階では)なので下手です、、、
大丈夫でしたら、どうぞ!
Safe to Shatter.
第1話 隠さなくては。
「….なあ、…….だれか、」
だれか、僕が死ぬことを許してください。
もう、嫌なんです。
どれだけ刀を振るい、どれだけ鍛錬を積み上げたところで。
あと一歩、あと一秒。
たったそれだけの、けれど絶望的な差で、
救えたはずの命が、目の前で崩れていく。
_____あの時、
肺が引きちぎれるほど全力で走ったはずだ。
でも、
必死に抱き起こして、止血処理をしても、間に合わなかった。
手のひらに伝わる生温かい血の感触と、
鼻の奥を突く、吐き気を催すような鉄の匂い。
それが広がってくる時、いつも深く心にのしかかるのは、
___________間に合わなかった、絶望。
だんだんと、自分の腕の中で縋るように動いていた手から、力が抜けていって。
何度も、何度も名前を呼びかけて。
でも、返事が返ってこなくて。
…..その目から光が消え、濁っていく様子を、
ただただ見届けることしかできなくて。
『バイタル、消失しました…..。』
心臓が潰れそうになる。
….しばらくして、立ち上がって、遺体を運んだ。
その冷たくなった体は、僕のせいで死なせてしまった「証拠」そのもの。
いつだったか、
もうすべて放り出して逃げてしまいたくなった。
この罪悪感から逃れられるなら、自分の首にまで手をかけようかと。
けれど、そんなわけにはいかなかった。
向き合わなければならない。
元同期だった、仲間の隊員の葬式にだって、僕は「副隊長」として参列する。
横で、遺族の方が涙を流している。
その姿に、唇を噛んで、血が出るくらい噛んで、
心の中で繰り返す。
「____その人は、僕が殺したんです。」
帰って、暗い部屋のベッドの中で、
目が腫れて開かなくなるまで泣き続けて、
________そんな夜を、何度繰り返しただろうか。
忘れたかった記憶。忘れたはずの記憶。
でもまだ頭のどこかにこびりついていて、きっと一生離れない。
救った命は、テレビや新聞でいくらでも報道される。
救えなかった命は、誰も数えていない。
知っているのは、自分だけ。
………僕、子供の頃から頑張っとるんですよ。
今も、ずっと、ずっと、ずっと。
血反吐を吐きながら、喉の奥まで血の味がするまで自分を追い込んで、ここまできた。
それを認めてくれた人がおる。
僕なんかを信じて、ついてきてくれるアホどももいる。
それで満足すべきや。わかってる。
…..せやのに。
『どうして、間に合わなかったの?』
ああ、また。まただ。
これは、亡くなった人の声なんかやなくて、
僕が、僕自身にかけている解けない「呪い」の言葉。
………さいっていやな、僕。
これは、自分で選んだ道だ。
自分の意思で入った、防衛隊やないか。
それやのに、仕事のこと、不幸自慢みたいに吐き出して、
自分を可哀想な人間や、なんて……。
気持ち悪い。
僕の中にある、誰にも________。
亜白隊長にも、兄貴にも、誰一人として明かしたことがなかった、
どろっどろの、地獄みたいな自己嫌悪。
…..ああ、隠さなくては。
こんな感情、見せたらあかん。
いつからか、そう思うようになった。
だって、自分より辛い人間なんて、もっとたくさんおるんやから。
僕は人を殺してるんやから。
だから、だから……。
そうやって、心に蓋を厚く厚く塗り重ねていった。
自覚すらできないほど深く、意識の底へ。
「夢」というものは、現代科学でも未だ全容は解明されていないが______
“深層意識の現れ” であることが多い、とされている。
ピリリッ、ピリリリッ_________。
「……んん」
耳元で鳴り続けるアラームの音が、
腫れぼったい脳に容赦なく響く。
もう朝か。
…あと五分、いや一分だけでいいから寝かせてくれへんかな。
布団の中で眉を寄せ、微かな抵抗を試みる。
ピリリリリリッ!
「……ああ、もう。うっさいなあ、起きるって……」
再びけたたましく鳴るアラームを、鉛のように重い腕を伸ばして止める。
そして、体をゆっくり起こした瞬間、ズキリ、と。
「い゛っ…」
頭が、重力に逆らうのを嫌がるように疼いた。
…今日もか、とため息を吐く。
ここ最近、ずっとこうや。
この時期特有の怪獣発生率の増加。
それに比例して増える事務作業の山。
加えて、新人の訓練指導。
理由は嫌というほど見当がつく。
ペタ、ペタ…
冷たい床を歩き、洗面台の鏡を覗き込む。
….そこに映っていたのは、いつもの飄々とした糸目ではなく、隈の浮いた青白い顔をした、ひどく疲れ切った男だった。
そういえば、今日、何か変な夢を見ていた気がする。
ひどく冷たい、感じの…。
「…..なんやったっけ。」
「……まあ、気にしてもしゃーない。薬だけ飲んで出よか。」
誰に言うでもなくそう呟いて、気休めの頭痛薬を水で流し込み、
口角を上げて、「保科宗四郎」の顔を作る。
(…何より、滅多にない非番。楽しまんと損やろ。)
そう、自分に言い聞かせ、家の扉を開けた。
——今思えば、これが間違いの始まりだったのかもしれない。