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前回、俺は銀色の瞳《ひとみ》と金髪ツインテールと白い半袖Tシャツと黒いスカートが特徴的な黄竜《こうりゅう》と麒麟《きりん》と陰《いん》と陽《よう》の力を持つチート美少女……いや美幼女に神の鈴と書いて【神鈴《かりん》】という名前を契約の代わりにつけた。
カリンは昔、力を暴走させてしまったせいで【封印石】に封印されてしまったらしい。
だが、俺がその石に触れたことにより、封印が解かれた。
ちなみに、俺は魔法もスマートフォンもスキルも使うことができない。
よく考えたら、俺はチートではなく単に幸運に幸運が重なって今に至っている。
まあ、今さらそんなことを考えたところで何も変わりはしないのだがな……。
俺は仰向けで横になっている俺に抱きついているカリンに「離れてくれ」と言うと、カリンは『女の子座り』で座り、俺はあぐらをかいて座った。
「それで? いつになったらここから出られるんだ?」
俺がそう言うと、カリンはこう言った。
「そんなことする必要ないよ! 私と一緒に、ずーっとここに住むんだから!」
彼女は無邪気《むじゃき》な笑顔で俺にそう言った。
「残念だけど、それはできない」
俺は、なんの躊躇《ためら》いもなく、キッパリとそう言った。
カリンは、キョトンとした顔でこう言った。
「どうして? ここにいれば安全だよ」
俺は頭で考え終わる前に、こう言った。
「俺にはな、血はつながっていないが、ここまで一緒に旅をしてきた大切な家族がいるんだよ。だから、早く帰ってみんなを安心させてやらないといけない。だから、ここにはいられない……」
カリンは俯《うつむ》くと、こう言った。
「……そんなの……いやだ」
「カリン、分かってくれ。俺はただ……」
「もういやなんだよ! 前のマスターもその前のマスターもその前の前のマスターも結局は私を置いてどこかに行っちゃった! どうして人間はいつも私よりも他者を選ぶの! ねえ、どうして? どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうし……」
「カリン! 俺の話を聞け!!」
俺はカリンの中から溢《あふ》れ出してくる黒いものを外に出さないように、ギュッと抱きしめた。
「今のは俺の言い方が悪かった、すまない。でも、俺はお前を見捨てるつもりなんてない。俺はお前を家族として迎え入れたいだけなんだ。言ってる意味、分かるか?」
カリンは俺を抱きしめると、両目からポタポタと涙を流しながら、こう言った。
「本当に……本当に、私を……うぐっ……見捨てたりしない?」
「当然だ。世界がお前を見捨てても、俺だけは、お前と見捨てない。だから、俺の家族になってくれないか?」
カリンは、泣きすぎたせいで顔も声もめちゃくちゃになっていた。
「あ、ありがどおおおおおおお! わだじは、ナオトのがぞぐに……なる!! だがら……だがら!」
俺はカリンの頭を撫でながら、こう言った。
「落ち着くまでこうしててやるから、今は存分に泣け。だけど、これだけは忘れるな。お前は化け物でもましてや絶望でもない。お前は俺の……いや俺たちの希望だ」
カリンは俺をギュッと抱きしめながら、こう言った。
「ゔん! わがっだ! ごれがらよろじぐね。ナオト。う、う、うええええええええええええん!!!」
俺はカリンが泣き止むまで、ずっとカリンを抱きしめながら、頭を撫でていた……。
*
____その頃、チエミ(体長十五センチほどの妖精)たちはバランスボールくらいの大きさで上半分が黒で下半分が白の球体を攻撃していた。
けれど、何をしてもビクともしなかった。
それどころか、どんどん耐久度が上がっているように思えた。
いったい、これはどんな素材でできているのだろうか。
彼女たちはそんなことを考えながら、その球体に食べられてしまったナオトを助けるためにその球体を破壊しようとしていた。
「ナオトさんを! 返しなさい!」
チエミは、そう言いながら球体をポカポカと殴《なぐ》っている。
「……ナオトを……返せ!」
『|魂を狩り・喰らう大鎌《ソウルスラッシャー》』という固有武装で球体を破壊しようとしているシズク(ドッペルゲンガー)の目からは嫉妬《しっと》ではなく、殺意が感じられた。
「ご主人を返して! 返してよおおおおおおお!!」
ミサキ(巨大な亀型モンスターの本体)は、手から血が出るほど、殴《なぐ》りまくっている。
「私はお賽銭《さいせん》分のナオトの血をまだ吸ってないんだから、早く返せー!」
ルル(白魔女)は両手を振り上げながら、ギャーギャーと騒《さわ》いでいる。
「我が主《あるじ》を早急に返せ! もし、これに応じなければ我《われ》の本気を見せることになるぞ! これは脅《おど》しではない! 本気だ!」
『|黒影を操る狼《ダークウルフ》』こと、ウーちゃん(シズクが名付け親)は球体に精神攻撃をしていた。
それぞれがナオトの帰還を望み続けていたその時、奇跡《きせき》は起きた。
今までビクともしなかった球体の上半分が口を開けるように急に動き出したからだ。
彼女たちは何事かと思いながら、一列横隊になると警戒態勢を保ったまま、その場に待機した。
「ふうー! やっぱり外の空気は美味しいなー!」
すると、球体の中から背伸びをしながら、ひょっこり出てきた者がいた。
それはどこからどう見ても、ナオトであった。
みんながそばに行こうとすると、その後《あと》に見知らぬ美少女……いや美幼女が出てきた。(それと同時に球体も消えた)
「久しぶりに外に出れたのはいいけど、私が封印されている間に、ずいぶんと生態系が変化したわね。なんかモンスターと人間を合わせたような気配を感じるわ」
「ん? ああ、そういえばモンスターチルドレンのこと、まだ教えてなかったな」
「モンスターチルドレン?」
俺は首を傾げながら、こちらを見るカリンにモンスターチルドレンのことを教えようとした。
「えっと、モンスターチルドレンっていうのは……」
その時、ナオトは何かに押し倒された。
「イタタタ……な、なんだよ、急に。別にこんなことしなくてもいいだろう……って、なんだ、お前らか。びっくりさせるなよ。危うく後頭部強打で失神するところだったぞ。それに……」
『バカああああああああああああああああああ!!』
全員が口を揃《そろ》えて、そう言った。
「私、ナオトさんにもう会えないかもしれないって本気で思ってたんですよ! 少しは自分のことを考えてください!!」
その後、チエミ(体長十五センチほどの妖精)はナオトの頭を殴《なぐ》り始めた。
「ナオトのバカ! 私はナオトのいない世界では、もう生きられないぐらい好きなんだから、もうあんな無茶なこと二度としないで!」
シズクは、そう言うとナオトのお腹に顔を埋めた。
「ご主人! 君は僕にとってもなくてはならない存在なんだから、もうあんな無茶しないで! お願いだから!」
ミサキはそんなことを言ったあと、ナオトのお腹に顔を埋めた。
「ナオトは私の大事な食糧《しょくりょう》でもあるんだから、あまり無茶はしないでほしいなー」
ルルは、いつも通り棒読みだったが、それを言い終わるとナオトの首筋に噛《か》み付いた。
そして、チューチューと血を吸い始めた。
「我が主《あるじ》よ、我《われ》はどこまでも主《あるじ》についていくが、もうあんな無茶は二度としてはダメだぞ?」
『|黒影を操る狼《ダークウルフ》』は、そう言いながら、ナオトのそばに行くと、お座りをした。
どうやら、俺はまたやってしまったようだな。
これからはもう少し考えて行動しないと、みんなにも迷惑《めいわく》をかけるから、これからはできるだけ無茶な行動をするのは控《ひか》えよう。
さて、そろそろ、こいつらをなんとかするか。
「よしよし、泣くな、泣くな。俺はここにいるから安心しろ。でも、すまなかったな。単独行動しちまって」
俺は全員の頭をチエミ、シズク、ミサキ、ルル、ウーちゃん(オオカミ)の順番で撫でながらそう言った。
すると、ウーちゃん(オオカミ)以外のほぼ全員が大声で泣き始めた。(ルルは嬉しそうに血を吸い続けている)
『うわああああん! 本当に良かったよおおおおおおお!!』
俺は、泣いている子たちが泣き止むまでの間、優しく頭を撫でたり「俺はここにいるから、もう泣くな」と言いながら、慰《なぐさ》めていた。
いつかみんなが大人になるその時まで、俺はこの子たちを守っていかなければならない気がした。