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若き覇王に、甘くときめく恋を

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若き覇王に、甘くときめく恋を

88 - 第四章 永遠の愛を、二人で EP.2「ドキドキの久我邸へ訪問」①

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2025年02月26日

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「当日は車で迎えに行くから」


「はい、お待ちしてます」


──夢見心地で電話を切ると、不意にハッとしたように現実に返されて、忘れていた不安がまたむくむくと頭をもたげた。


当たり前だけれど、貴仁さんの家って、あの大企業のKOOGAをひきいる久我家なんだよね……。それって、一体どのくらい敷居が高くて……。


以前に彼から聞かされた、家政婦に執事までいてという話が思い出されると、そのスケールの大きさは想像もつかなくて、にわかに緊張感が押し寄せるようだった──。


ひとしきり期待に胸のふくらむ思いと、拭い切れない不安とが入り混じった数日を過ごして、いざ当日が訪れる──。


迎えの車に乗り込むと、これからいよいよ久我家に行くことへ、どうしようもなくドキドキとしてきてつい無口になった。


「どうした? 塞ぎ込んで」


私の様子を察した貴仁さんから声がかけられて、


「……御宅に伺うのって、緊張します」


抱えている胸の内を、もじもじとして告げた。


「あまり緊張しないでほしい」


優しげな笑みが向けられて、「はい、」とは答えてみたけれど、やっぱり簡単には胸の鼓動は収まらなかった。


すると、信号で車が止まった際に、


「……普段は、ほとんど仕事関係の客人しか来ないので、君が家に来てくれることがとても嬉しいんだ。……父が亡くなってからは、使用人たちはいても身内が誰もいなかったからな」


彼はそう話して、心なしか顔に憂いを漂わせた。


「そんな顔しないで、貴仁さん……」


自らの緊張も吹き飛んで、彼の物憂げな表情に心が奪われる。


「あっ、ああすまない。君の緊張を解くつもりが、逆に気をつかわせてしまったか」


頭の上に、いたわるように温かな手の平がぽんと乗せられると、それだけで気持ちがじんわりと落ち着いてくるようで、「お邪魔するのを、楽しみにしていますね」と、ようやく素直な思いを伝えることができた。

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