「氷魔法〈アイス〉!」
水梨の魔法で、あたりが冷たくなり、氷柱が立つ。
「乗客の避難を最優先!これはもう殺し屋じゃなくて殺人鬼集団なのでは…!?…いやまあいいや!さぁ!こちらに逃げてください!」
ひらりが乗客を安全な場所に誘導する。
蒼もひらりに続き乗客を誘導する。普通科が筆頭となり避難を進め、その間に殺人科や掃除科達が殺し屋…いや、殺人鬼達を倒す。
「こいつら…やっぱり殺し屋じゃないんじゃ…だってこんな、乗客を巻き込むようなこと殺し屋はしないと思うんだけど…」
「確かに。まぁとりあえず全滅させるぞ」
「了解!!」
「フン。こんな煌びやかな舞踏会場で暴れるだなんて…なんてはしたない。それ相応の罰を与えなくては。ねぇ?お兄様?」
「そうだな」
「…まあいいですわ。お兄様はいつまでも冷静でつまらないこと…」
どうやら乗客の避難は完了したよう。速球に敵を片付ける殺人科。
「何人か生きたまま連れて帰ろうかしら。拷問のしがいがありそうだわ」
「荷物になるんでやめときましょう教官」
「全員に追加任務を与えます!ここにいる新たな敵達を1人残らず討伐すること!そして、船の被害を最小限に抑えること!!いいですね!?」
「了解!!」
全員が、ひらりに向かい敬礼する。まるで軍のようだ。
一方、一般乗客の中に紛れ込んでいたイポクリジーアの者たちは、少々混乱していた。
「ほんとあいつら…表は悪い奴らって感じで親しまれてるのに、根は正義の塊…全く、むかつく…でもまぁここは面倒臭いし…とりあえず一般人のふりをして逃げましょう」
と、いう魅麗の判断で、イポクリジーアの者たちは何も騒ぎを起こさず、おとなしく客として紛れ込んでいたのだった。
そしてイポクリジーアの邪魔が入らいためスムーズに敵を討伐することができたマジカルシークレット。
だが、さらなる問題があった。
「ここまで騒ぎになって…もう警官たちも出てきてしまっていますし…どうするつもりですの?ひらり」
「もういっそのこと私たちの正体バラしちゃう?そうすれば世間的にもこの組織はいい組織って認められるかもだし…というか、都月さんはこのこともお見通しだったのかしら…?」
「さぁ?でももしかしたら…」
「…」
ひらりとリリーは顔を見合わせる。
「貴様ら!!何をしている!」
「け、警官さんたち…」
どうやら彼女たちが思っているより先に、警官が到着していたようで…
あたふたするひらりの前に出たリリーは、説明をし始めた。
「少し驚かれるかも知れませんが…私たち、マジカルシークレットの一員ですの。それで、この殺人鬼たちを食い止めさせていただきました…こいつら、発砲もしていましたし…」
「そうだったんですか…」
警官も、リリーの真面目さに押されたのか、あっさり信じ込む。
「えっと…ご協力いただき、ありがとうございます…船内の平和を守ってくださって。でもあとですみませんが取り調べの協力をしていただきたく…」
「ええ、構いませんわ」
「ありがとうございます。何かお礼をさせてください。何か…」
「何も。いりませんわ。ただ一つ…私たちが船内の平和を守ったことは、秘密にしていただけませんか?ほら、私たちは職業柄…ね?」
「は、はい…」
リリーはにこりと微笑み、取り調べ室へと向かった。
「…無事、おさまってよかったね」
「はい…」
「それじゃあ、君たちの仕事はこれで終わり!!残りの1日は好きに過ごしな!」
「ほ、ほんとですか!?」
「やったー!!」
みんなが喜ぶ。
「じゃ、あとは各自、好きに過ごしてね」
ひらりが蒼と水梨にウィンクする。
「…!」
2人とも、先ほどの続きを話そうと…
「ほらほらみんな、あっち行きましょ」
彩がみんなを押す。
「私、ずっと蒼くんが好きだった…」
「俺も、ずっと水梨のことが好きだった…」
2人はにこりと微笑んだ。
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