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処刑の日は、淡々と決められた 。
形式的な会議 。
戦状況報告と並べて読み上げられる一文 。
「捕虜、魔法・信仰国家の王子の処刑は ____
三日後、王都中央にて公開処刑とする 。」
異論が出ることはなかった 。
誰もが、それを「妥当な結末」として受け入れた 。
翡翠の王子もまた、静かに頷いた 。
王子として 。
軍事国家の第一王子として 。
____ そうしなければならなかった 。
牢へ進む足取りが、重い 。
理由はわかっている 。
だが認めたくなかった 。
ろうの前に立つと、琥珀の王子は既にこちらを見つめていた 。
まるで、来ることがわかっていたかのように 。
「… 決まったのですね」
先に口を開いたのは、琥珀の王子だった 。
翡翠の王子は否定も肯定もせず、短く答える 。
「三日後だ 。」
それだけで、十分だった 。
琥珀の王子は目を閉じ、深く息を吸う 。
そして、静かに笑った 。
「思ったより…、早いですね 。」
その笑顔に、翡翠の王子の胸が締め付けられる 。
なぜ、そんな顔ができる 。
なぜ、恐怖よりも____安堵が先に見える 。
「… 後悔はないのか 。」
思わず、口にしていた 。
王子として聞くべき言葉では無い 。
琥珀の王子は少し考えてから、首を振る 。
「後悔は…、あります 。」
「でも…それ以上に、選んだ結果です 。」
「選んだ、?」
「ええ 。ここに来ることも 。」
「貴方に捕まることも 。」
「… こうなる未来も 。」
翡翠の王子は言葉を失った 。
____ 知っていて、来た ?
「それでも此処に来たのは、」
「俺が王子だからです 。」
その言葉は、誇りでも虚勢でもなかった 。
ただの事実 。
「俺が死ねば、国は希望を失います 。」
「でも同時に、戦争は『終わらせる理由』を得る 。」
それは、王子として完璧な選択だった 。
だからこそ____一人の人間として、あまりにも残酷だ 。
「… 愚かだ」
吐き捨てるように言う 。
琥珀の王子は、否定しなかった 。
「そうかもしれません 。」
「でも…貴方は、愚かじゃない 。」
「何 、?」
「まだ、どこか迷っている 。」
その一言で、全てを見透かされた気がした 。
「処刑を告げる役目」
「監視を続ける役目」
「… 俺という存在に、触れること 。」
琥珀の王子は鎖の音を鳴らしながら、1歩近づく 。
牢の中で、許されるギリギリの距離まで 。
「全部、貴方が選択したもの」
「それは…俺に対しての優しさじゃないですか?」
違う 。
そんなはずはない 。
翡翠の王子はそう言い返そうとして ____ できなかった 。
その瞬間 、
琥珀の王子の指先が、翡翠の王子の手に触れた 。
ほんの一瞬 。
鎖の届く範囲で、確かめるように 。
「… やめろ」
声は低く、震えていた 。
「申し訳ありません、」
「でも…、知りたかったんです」
「何を」
「貴方が、まだ『人』かどうか」
その問いに、答えられなかった 。
振り払えばいい 。
命令すればいい 。
だが、翡翠の王子は ____ 動かなかった 。
それどころか 、
自ら、その指を包み込んでしまっていた 。
温かい 。
確かに、生きているのだ 。
____ 彼を、守りたい 。
そう思ってしまった瞬間 、
翡翠の王子は理解した 。
これは情だ 。
愚かで、弱みだと教えられてきたもの 。
否定しようのない、致命的なものだ 。
「… 忘れるな 。」
絞り出すように言う 。
「三日後」
「それまで、絶対に俺の前から居なくなるな」
琥珀の王子は、ゆっくりと微笑んだ 。
「はい」
「貴方が来てくれるのなら 。」
その言葉が、決定打だった 。
牢を出たあと、翡翠の王子は壁に手をついた 。
深呼吸をしようとするも、咳き込んでしまう 。
呼吸が、上手くできない 。
三日後 、
自分はこの手で ____
この温もりを、断ち切らなければならない 。
それでも、
触れたいと思ってしまった 。
それが、終わりの始まりだった 。
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あるあるだと思われるんですけど、
1回保存し忘れてデータ全消しで萎えました …
💬 待ってます! 🫣
前回700♡嬉しすぎました😳💗
ありがとうございます!
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝ 350 ♡