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コメント
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はあほんとに密かに待ってました更新ありがとうございます💖次回も楽しみにしてます!
さちこさん、第10話読みました! R視点とK視点が交互に入る構成、すごく良かったです。特にRが爺に「覚悟」を問われて「心配ない」と答える場面、背筋が伸びる感じがしました。立場と恋心の狭間でちゃんと自分を決めているのが伝わってきます。 そして夜にかのんが訪ねてくる展開…「るい様のおかげです」のくだり、お互いに昨晩のことを思い出して照れてるのが可愛すぎます。Rの「そうか…それは良かった」の柔らかい笑顔、胸に刺さりました。二人ともまだ特別な関係を望んでいないと言いながら、もう戻れない距離感になっているのが切なくも美しいです。 続きが待ち遠しいです!
R side
朝すぐに、昨晩の客を送り出した。
縁側に腰を掛け、ぼんやりと庭を眺める。
かのんは寝られたのだろうか…。
爺に寝処へ引き戻された後、かのんの濡れた瞳を思い出していた。
あの涙の理由を探し続け、なかなか眠れなかった。
R「…ふぅ……」
目を瞑り、深く息を吐く。
ふと、かのんの言葉が思い起こされる。
ーーまた会えますから。
別れ際にかのんが早口で言った、その言葉。
記憶違い…では、ないよな…。
思わず顔が綻ぶ。
今晩、呼び出してみるか…?
かのんが元気かどうか確認できれば、それでいい。
顔を見られれば十分だ。
朝御飯を終え、稽古場に向う。
R「…っ」
ふいに足が止まる。
その途中に、かのんがいた。
ドクン…
心臓が強く脈を打った。
こちらには気付いておらず、隣の家臣と何か話している。
顔色が少し悪いような気がする。
瞼は腫れていないか…目を凝らすが、遠くてそこまでは分からなかった。
かのんだけを見つめたまま、動けない。
そうしていると、かのんが笑った。
俺が見たことの無い笑顔。
…元気そうだな…。
少しは安心していいはずなのに、胸が痛む。
思わず視線を外した。
今は見なくていい、呼び出した時にちゃんと様子を見れば。
だが、また視線が戻ってしまう。
すでにかのんは反対側へ歩き出していた。
その背中を、見えなくなるまで見送る。
また、会える。
朝の光がやけに眩しい。
夜が果てしなく遠く感じた。
先ず…やるべき事をやらねば。
再び稽古場に向けて歩き出すと、その先に爺が立っていた。
目を細め、口元が緩んでいる。
今の、見られていたのかもしれない。
額にじわりと汗が滲む。
爺「若様、こちらへ」
爺の手の先が、すぐ近くの部屋に向いた。
中に入るとゆっくりと膝を揃えて座る。
俺も腰を下ろす。
R「なんだ、改まって」
動揺が伝わらないよう、しっかりと目を合わせる。
爺「ええ…若様のお姿を…噛み締めておりました…」
爺がふっと柔らかく笑う。
R「どういう意味だ」
爺「若様にも大切な方が現れたのだな…と…」
R「な…っ」
見抜かれていた。
みるみるうちに顔が熱くなり、取り繕いは一瞬で剥がされてしまった。
R「…これは……っ」
爺「私が居なくなったあと、若様を支えて下さる方がいらっしゃれば…と思っていたのです」
否定の言葉が喉まで出かかったが、爺は坦々と続ける。
爺「正直、気付いた時はしばらく考え込みましたが……、かのん殿、人柄と働きぶりには信用があるようですから」
“かのん”の名前が出てきて、もう逃げられない。
心臓の音が早くなる。
R「調べたのか」
爺「まぁ…少々…」
いつから…。
爺は俺よりも早く、気づいていたのだろうか。
R「やはり爺には、頭が上がらないな…」
後ろ頭を掻く。
すると、爺の表情が変わった。
爺「…ですが、若様のお立場を脅かす存在となるなら…私は情けをかけません」
R「…っ」
少しも逆らえない時の、低い声。
息を呑む。
爺「覚悟はございますか」
心臓が一つ強く鳴る。
――覚悟。
その言葉を、ずっと考えていた。
恋を自覚したばかりの頃の俺は、何もかもが情けなかった。ただ想いに振り回されるだけで、目の前のことすら見えていなかった。
だが、今は違う。
かのんを大事にしたい。
そのために、まず果たすべきことを果たす。
ようやく、その覚悟が自分の中に根付いてきている。
爺の目を見て、背筋を伸ばした。
R「ああ、心配ない」
爺が、俺の目を真っ直ぐ見据える。
まるで心まで見透かされているようだ。
暫くして、爺は目じりと眉を下げた。
爺「そうですか」
爺がいつもの柔らかい雰囲気に戻る。
同時に俺の身体の緊張も解け、強く握っていた拳の力が緩んだ。
爺「お引き止めしてすみませんでした。では、御稽古へいってらっしゃいませ」
爺がゆっくりと頭を下げる。
R「あぁ」
廊下へ出ると、張り詰めていた息がようやく漏れた。
爺とこの会話をして、何かが変わったような気がする。
誰かに言葉にして伝えたことで、自分自身にも誓いを立てているような気がした。
この後の稽古にも、自然と力が入った。
ーー夜。
布団に横になり、天井を見つめていた。
一層身を引き締めて過ごしたからか、身体が普段より重く感じる。
結局、かのんを呼び出さなかった。
かのんの顔色が悪かったのを思い出して、今晩はやめておこうと思った。
R「…はぁ……」
会わないと決めたのに、かのんの顔が何度も浮かぶ。
もういい…潔く寝てしまおう。
布団をかける。
その時だった。
K「…失礼いたします」
かのんの声がして、反射的に身体がそちらを向いた。起き上がるか起き上がらないかの中途半端な体勢で戸口を見つめる。
呼んでいないのに…。
襖が開くとかのんがいた。
後ろには爺の姿。
俺と目が合うと、何も言わず静かに頷き、そっと襖を閉めた。
やはり、爺か…。
俺がいつまでもぼんやりしてる姿を見兼ねて、呼び出したのだろう。
かのんが枕元に少し離れて座り、顔をあげる。
その顔は、案外疲れているという様子でもなかった。
K「…もう…お休みでしたか…? 」
起き上がりかけの俺を見て、かのんの顔色が変わる。
R「いや…っ、ただ、横になっていただけだ」
K「…そうでしたか…」
少しの間が空く。
きっと、同じ事を考えている。 昨晩の事。
だが、それに触れてもお互いに良いことが無い気がした。
R「……昨日は、眠れたか?」
これくらいなら、聞いても良いだろうか。
すると、答えを探すようにかのんの目が泳いだ。
そして、何か思い出したように耳が僅かに赤く染まる。
K「……はい…よく、眠れました…」
明らかに気恥ずかしそうだ。
R「なんだ」
K「…っ」
かのんが膝に置いていた手をぎゅっと握る。
間違った質問でもしてしまったのだろうか…。
K side
眠れたのかーー、
そう聞かれて、昨晩るい様に抱き締められた事をありありと思い出した。
きっと眠れない、そう思いながら床に就いた。
でも、布団をかけた瞬間、るい様の温かさを思い出してそのまま気持ち良く眠ってしまったのだ。
あんなに悲しかったのに。
激しく心を揺さぶられたのに。
それでも、るい様のあの優しい温もりが全てを包んでくれた。
K「…はい……、よく、眠れました」
それを一度に思い出して、居た堪れなくなってしまった。
俺の落ち着かない様子を見て、るい様が不思議がっている。
黙ってばかりも、きっと良くない。
着物と一緒に、膝の拳をぎゅっと握る。
K「るい様の…おかげです…」
言葉を選んだつもりだったけど、やはり恥ずかしい。熱くなる顔を隠すように少し俯いた。
R「……」
るい様が、きょとんと目を瞬かせた。
“おかげ”とは……と、顎に指先を当てて考え込んでいる。
R「……ぁ…」
答えに辿り着いたのか、るい様が小さな声を漏らした。
きっと、俺を抱き締めたあの場面を思い出している。
そう考えると、 自分の顔がさらに熱くなった。
何を言われるのだろう。
俯き気味にるい様の表情を見つめる。
R「…そうか… 」
るい様の口元が柔らかく緩む。
R「……それは良かった…っ…」
そう言って、るい様がほっと息をつく。
目尻が柔らかく下がり、肩の力まで抜けたように微笑んだ。
K「……っ///」
その表情が、胸に真っ直ぐ飛び込んできた。
不意を突かれ、胸がきゅっと締め付けられる。
K「ッ…ゴホッ、ゴホッ…!」
息をするのを忘れていた。
咳込んでしまう。
R「大丈夫か?!」
咄嗟に近付いて来たるい様が、俺の背中を擦る。
るい様の手のひらが触れた所から熱くなり、益々だめになっていく。
R「かのんー?」
自分のせいとも知らず、心配するるい様。
慌てた姿すら、愛おしい。
恋という言葉だけでは、足りなくなっていた。
K「…申し訳ありません…大丈夫です…っ」
若様と一人の家臣に戻るなんて、もう無理だ。
でも、るい様と何か特別な関係になりたいとは少しも思わない。
以前のように、るい様の傍らで穏やかな時間を過ごせるだけで、それで十分だ。
その時は、本気でそう思っていた。
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