テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
54件
ねぇ重いって...ほんとにさ……ね…… 救われてる妹と苦しんでる兄の対比がぁぁぁぁぁ……
ねぇぇぇぇ…重いって…重いよぉ…😭😭😭😭😭
うわ重い重い… 奏ちゃんは異世界に来て 救われてるけど音也くんは異世界に 来てより苦しんでるんやなぁ…
俺がオトヤになる前、音也だった頃は、多分相当長かったと思う。俺は特に、不自由なく生活していた。親はかなりの口下手で、言葉を短縮しすぎて勘違いさせることが多々あった。奏はそれで相当傷付いたらしく、見かねた両親は妹ととのコミュニケーションを俺に一任した。別に、嫌だとかそういうのはなかった。俺が補足して安心して過ごせるなら、それでいいと思った。ただ、どうして。
俺はお菓子は食べれなかったのにな。
中学生に上がった頃、学級委員長になった。別にやりたいわけじゃない。誰も挙げないから、なっただけ。なのに、どんな行事のリーダーも俺が抜擢された。思い知った。目立てば目立つほど、肩書きはついて回るものだと。でも頼みごとを断るほど無下にできる訳もなく、俺は頼みごとをされたら引き受けた。色んなところを巡り巡って、最後は俺のところに頼み事が来る。そこからだっただろうか。誰も俺の事を「音也」としては見てないって思うようになったのは。「優等生」やら、「学級委員長」やら、何かと都合のいい存在として見られるのが、堪らなく苦痛だった。頼みごとは少しづつエスカレートしていって、どんどん「音也」は押しつぶされて行った。時々家にいる妹を見て、いいなと感じた。お菓子を食べて、絵を描く暇があって。友達が沢山いて。羨ましいな。
ある日耐えられなくなって、親に相談した。学校で過ごすのが少し苦しいと。初めて親に相談した。
「勝手にすればいい」
それが両親の答えだった。酷く見えた?それは大間違い。やっぱり言葉が足りないんだな。親はこう言いたかったんだ。
『そんなに辛いなら、学校を休むのは勝手にしてもいい。』
それだけで救われた気持ちになれて、翌日は学校に登校した。その日だった。
異世界召喚されたのは。
声を上げる暇もなく、おじさん……前の王様に勇者が現れたと叫ばれて。大量の拍手でつぶされた。その後は近衛兵の人にどこかに連れていかれて、無理やり英雄に仕立てられた。カナデは苦労していたが、今までと違う生活に目を光らせていた。やっぱりこの子は俺とは違う。絶対に相容れない、そうあってはならない人間だ。
なぜこんなことをするか問うても、口を開けば英雄だから、勇者だから、誰も俺の名前なんて呼んでくれなかった。剣術指導の先生に弱音を吐いたら「勇者は弱音は吐かない」と、そう言われた。誰も、勇者になりたいなんて望んでないじゃないか。その日から弱い所は見せられなくなった。戦いたくない、これ以上戦場に痛くない、そんなこと言えるはずもなかった。帰りたいだなんてもってのほか。どんどん、壊れていく感覚があった。その気持ちから逃れたくて、どんどん睡眠と鍛錬に依存するようになった。カナデは頼れなかった。理解できないだろうから。
なんでこうなるんだろうな。
俺は、俺はただ、 音也として見て欲しかっただけなんだ。贅沢なんて言わなかった。それだけでよかったのに。
「……はやく休みたい。」
いつになったら、終わるのか。